ギバル 故郷の悪魔 2
その2
パナ族の住む村の近くの町食堂。
「バレミアの四凶将暗殺なんてぇ話、まだしてんのか、おめえら。戦か始まるぜ」
「イヤなこというね、バレミアになって平和が続いてるっていうのにさ」
「女将、コレは確かな筋からの情報だ……」
「戦も、イヤだけどさ、最近の拉致事件も嫌だね。城の兵隊が犯人探してるのにまだ、わからないんだろ。親戚の娘がね……。わたしゃ戦よりこっちが怖いよ」
「その犯人は若いのしかねらわねえって聴いたぞ女将、あんたは大丈夫だ」
「ちげいねぇアハハハ」
「パナ族が怪しいってよ」
「ナニっ!」
「ロッシュ、やめな」
「パナ族に、女を拐うようなのは居ない!」
「小僧、おまえパナだな。お前が犯人じゃねーのか」
「コノヤロー!」
「ロッシュ!」
ああ、ロッシュが、首長族の親父に飛びかかった。
パナ族は腕っぷしが強いから首長族あたりだとヤバいだろ。
だがロッシュは背が低いから首長族の男の半分くらいか。
ああ、仲裁に入った関係ないやつまで。
やめてほしいなケンカは。
「イテッ!」
「あんたら、ケンカなら外でおやり!」
あ、ロッシュのヤツ女将に盆で頭を。
「ああ、わかった外でやる。おい、おまえ外に出な!」
ロッシュたちは店の外へ。
「はい、メェ~ドラゴンのシッポね」
「それとまんま汁」
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「おねえちゃん、ロッシュはどうなったの? メェ~ドラゴンのシッポは食べれたの?」
「ロッシュは強かったから、首長のおやじをやっつけて、すぐに戻ってきたのよ」
「あんた、見てたのか ? わけ、ねーか。アハハハ」
「見ていたように話すのが上手い語りべよ」
「ちげいねぇ……。つづけてくりゃ」
「食事をすませた、二人は店を出てパナの村へ向かう方面の町の出口へ……」
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ふたりは、岩山の方に歩いていくと大きな池のほとりで山を見上げた。
「ロッシュ、あの山を越えれば村が見えるわね」
「ああ、三年ぶりかな」
「なんだかんだと、あの子が恋しいんでしょ。早く行きましょ」
「待てよ、ノノ。あの子って誰だよ」
「あの子はあの子よ、村長の……」
「恋しくなんかない。あいつは、ただの幼なじみだ!」
「向きになるなよロシュ。村を出る時、あの子、泣いてたよ」
「本当に、ただの幼なじみなんだってば!」
五年ほど前。現れたノノナンムは、村に滞在して、しばらくして村を出るというからオレは一緒に村から出た。
外が見たかったオレは、ノノナンムと一緒に旅に出た。
旅先で、たまたま出会った同村の男と話をしたら戻ってみたくなったんだ。
弟に世話を頼んだ病気がちな母親も心配だったのもある
「ねえノノ。その大剣は、あの連中の一人からいただいちゃたけど、大丈夫かな城の兵士とか取り返しに来ないかな」
「大丈夫よ、鞘とか見た目を変えてあるからちょっと見じゃわからないわ」
「そんな長い剣、ノノの背の高さであつかえるのかい?」
「使えるわ。あなたより大きいわよ、わたし。なんだろうね、この剣触った時にになんかビビッと来たの。『コレは、おまえが持つ剣だ』と言われたような……。で、持ってきちゃた」
「魔剣ぽいなぁ大丈夫なの?」
「大丈夫だ。まだ、上手く使えないが」
と、ノノは数歩先に歩き剣抜いた。
「こいつ長いから槍みたいにも使える。ちょっとしなっつてて、片刃なのは普通の剣とは違うが、そこも気に入ってるんだ」
ノノは長い剣を振り回して道脇の枝を斬った。
「他でも試したが斬れ味は最高だし、あの持ち主が使ってたのに刃こぼれ一つない。奴らを倒した報酬として申し分ない。多分売ったら、かなりいい値だろう。やあっ!」
ノノは、長剣をひとふりし、鞘におさめた。
「でも売る気はないっ!」
「ビックリするじゃないか、こっちに、突くなよ」
「ロッシュ、修行がたらん!」
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「おい、ねえさん。わしは若い頃旅をしててな。ノノ・ナンムの伝説はいろいろ聞いたよ、彼女の長い剣の話もな。岩だって斬っちまう名刀だと。しかし、手に入れた話は聞いたことなかった。その剣の元の持ち主って?」
「あ、この話はまえの話の続きだからね。ウワサに出てきたバレミアの四凶将の一人の物だったんだよ。ノノ・ナンムとロッシュが倒した時に手に入れたのよ。私はそう聞いてるわ」
「そうか、おまえさんイロイロ知ってるなぁ。若いのに」
「あら、私は見た目ほど若くないのよ」
「でも、イイぜ。あんたなら嫁にしてーぜ!」
「おい、オメェ母ちゃんが居るじゃねーか!」
「おいおい、話の続きを聞こう。ねえさん、二人はまだ村に着かねーの?」
「もうすぐよ。果樹酒一杯いただける」
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彼らは村に続く山道を登っていくと。
「あっ!」
「ロッシュ、ロッシュが帰ってきた!」
ロッシュとノノ・ナンムは、山道で薬草を採取していた少女と出会った。
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「おねえさん、ロッシュの知りあいの子なのね。ということはパナ族?」
「そうだよ」
「パナ族って、わたしたちヒトとは、どう違うの?」
「そうか。お嬢ちゃんたちは、もう知らないよね。パナ族は見かけはヒトと同じよ。でも髪は白くてね、まんまるの目で瞳が無いの、背が低い者が多くてね、多分先祖は小人族なのかもしれないわね」
「おい俺は昔、パナ族に山で会ったぜ。まだ、山奥に居るんじゃないか」
「わかったから、続きを。ねえさん酒だ呑んでくれ」
「ありがとう。いただくわ」
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「リヤッ……」
「おかえりロッシュ」
つづく




