魔神の城編10話
10話
「ノノ・ナンムさん、お帰りなさい」
シュロが、小屋から出て来た。
「喜べシュロ。ホラ、コペラの汁だ。お母さんは?」
「家に……。」
「どうしたのシュロ、まさかお母さんが!」
「どうなの、あたしら間に合わなかった?!」
「いえ、母は家のベッドに」
「シュロ、ナニがあった。ナニかおかしいぞ」
《ノノ・ナンムさん、様子を見てきた。子供が人質に囚われてる》
「ナニ、マーカスね。見てきたの?」
《ああ、向こうの小屋だ。老人も》
「ナニ、ノノ?急に独り言?」
あ、マーカス。あんたの声は私にしか聞こえないの?
《そのようですね。私を救ってくれたから、かもしれませんね》
「そうか、で敵は?」
《魔族とヒト族の混血と思われる連中ですね。三人は似てて異様な顔を。もう一人は耳の大きな、丸い目の男です。こいつは手足が異常に細いので、戦闘には向いてなさそうです》
「なるほど、わかったわ。ドナ、シュロ、行くよ!」
「え、どういうコトだノノ!」
「ノノ・ナンムさん、そっちは!」
「シュロ、コペラの汁だ。コレをお母さんに。妹たちはまかせて!」
シュロはノノからコペラの汁を受け取ると、自分の家だろう。反対側の小屋へ走った。
「ノノ、ナニがあった?」
「城から助けた魔道士が、教えてくれたわ、あのブサイク三兄弟が、子どもと老人を人質にして、向こうの小屋に。おそらく長老の小屋だろう。あと、小悪党のターナンも一緒だ」
「やつら、直接村に!」
「そうだ、私らが居ないトコを」
向かった小屋のドアが開き耳の大きな男が出て来た。
「ノノ・ナンム、ソレ以上近づくと中の子どもと老人の生命がないぜ!」
「ターナン、ネロ石に目がくらんだか?」
「ああ、ネロ石の原石だが、ありゃかなりの値打ちもんよ。ここに来れば、まだあると思って来てみりゃ、ガキが持ってたのが全部だった。そんで、奪えば運悪くお前さんらが帰ってきたわけだ……」
「こっちからすれば運良くだターナン。今、子ども等を離せば生命だけは取らないでやる!」
「耳オヤジ、ノノの言う通りにした方がイイわよ。ノノは怒ってるわ。中のブサイク三兄弟は、一度あたしらに……」
「うるせい、黙ってココから失せな!明日の朝までは、帰って来るな。さもないとガキを殺す!」
「ブサイク、また人質か。そんなんで逃げれると思ってんのか!」
「ノノ・ナンムさ〜ん」
「ノノ、シュロの妹だ」
「名前なんだっけオナラだっけ。そんな名前か? 大丈夫だオナラ。すぐに助ける、兄さんにはコペラの汁を渡した。てもう……」
「あ、ナラよ。オはいらないわ。兄さんはコペラの汁を!」
「ドナ、ナラだってよ」
「ちかかったじゃないの」
「グワッ、ハチだ!」
小屋からふたりのブサイクが出て来た。彼らの周りには拳ほどの大きなハチが何匹も。
「ひいっバカ、こっちに来るな!」
「今だ、ナラ逃げろ!」
ノノ・ナンムとドナは武器を取り。
ひいっ!
ノノ・ナンムは、あっと言う間にハチたちを斬り落とし三兄弟を斬った。
ドナは耳男の首筋に槍を。
「ノノ、その剣。半分しか?」
「ああ、ちょっと硬いもの斬ったから折れた。マーカス、あんただろ小屋にハチを入れたのは。老人や子どもたちは大丈夫か?」
《大丈夫だと。もし刺されててもコペラの汁があるのだろ》
「ソレをオレに! 尻を刺された」
「知ってたよ耳オヤジ。だから刺さなかったんだ」
「早く薬を腰がぬけて立てない」
「それは、私たちじゃなく、長老に言いな!」
小屋から子どもたちと老人が出て来た。
「みんな、ハチに刺されなかったかい!」
「大丈夫!」
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「『ノノ・ナンムの冒険、魔神の城』の話はコレでおしまいよ」
「おねえさん、耳男はどうなったの?」
「長老にコペラの汁をもらい生命は助かったと、聞いた。そして村で下僕として働いていたと聞いたけど。もし、キミがドコかで耳男を見たら、彼の子孫か、彼自身かもね。彼はヒト族と魔族の混血だというから、まだドコかで生きてるかもしれないよ」
「ホント?!」
「あ、オジィさんの耳大きいね」
「ワシはヒトだぞ、目も小さい」
「でも、痩せてて手足が細いよ」
「年だからな……」
話を終えた私はジローに乗った。
「さよならローラ・レイ!」
「また来てね!」
ローラ・レイは、珍しい大きな鎧ネズミに乗って歌いながら村を去った。
『ノノ・ナンムの冒険 魔神の城編』 おわり




