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魔神の城編9話

9話


「城主のゴルマか? 姿を見せろ!」


 魔神像の炎の中に浮かんだ黒い影は形を変え、額に一本角を生やした瞳のない赤く光る目が三つ。

 魔像みたいに大きな口の両端には長い牙が生えた顔が炎の中でゆらめいている。


「さよう、我はゴルマだ。お前も我を倒して名を上げようとする愚か者か、名を名乗れ!」


「私はナンム、ノノ・ナンムだ」


「ナンムだと……。昔、そんな名を……」


「物知りの者が言うには大昔の種族だそうだ。私の他に同じナンムに会ったことがない。私は多分ナンムの最後の一人だろう」


「なるほど、その名の種族は世界王に使えていた、闇の一族……。まだ生き残りが居たとはな」


「だから、私は簡単に死なない。ようは済んだんだ。別にお前なんか倒す気もない、ここから出してくれ!」


「ソレはダメダ、我が城に入った、こそ泥は生かして帰さん! ガアッ ガアッ ガアッ!」


 炎の中のゴルマ王は青白い炎の火球を口から連射した! 


 火球を避けて走り回ったノノ・ナンムは、横からジャンプして炎の中のゴルマ王に斬り込んだ。


 なに、剣が突き抜けた。


《ノノ・ナンムさん、アレは実態ではありません》


 マーカスか、あの黒霧は?


《勝ちました。私はヤツに、幽閉されたので恨みを》


「おまえはマーカスか、久しぶりだな。城に仕えていたのに今まで……」


《あなたの下僕のシケーに幽閉されてました。彼は私の存在が怖くなり、私を騙して幽閉したのです》


「何、シケーが。ヤツは? で、お前は逃亡したと……。我の知らぬとこで何が」


《私は勇者レラクルニスがあなたに倒されたあと、復讐を誓い仕えていました。我が友人の勇者レラクルニスの仇を、ノノ・ナンムさん。私はヤツの弱点を探す為に仕えた。ヤツの本体は、あの後の魔像です。斬るならアレを!》


 なるほど、炎の中の姿は幻影か。


 なら。


 ノノ・ナンムは、再度の火球攻撃をさけ、魔像の後に回り込むと、魔像の背から駆け上り頭上まで行くとひっとっ跳びして、頭上から長剣を振り降ろした。


 ガ・キーンという音とともに長剣は折れ魔像の頭が割れた。


 着地したノノ・ナンムに。


《やった! 向こうに上に登る階段があります》


 魔像の割れた頭のヒビがだんだん下に。すると、下方からナニか吹き出してきた。


 なんか、熱そうだ。早く出ないとヤバそう。


 ノノ・ナンムは、暗い広間の中をマーカスの導きで階段を見つけ上に走った。

 

 思ったより下には落ちてなかった。

 階段を一気に駆け上がった。


「ノノ、無事!」


 一階には、傷だらけで胸当ての布が無く、腰巻きの布だけだったドナが。


「ドナこそ、大丈夫?!」


「大丈夫よ、あたしほどタフな単眼族は居ないよ。コペラの汁は?」


「ココに」


 ノノ・ナンムは首からかけ、懐に入った布袋を触って確認した。


  ズズズッ


「なに? 地面が揺れてる!」


《まずい、早く城から逃げてください!》


「ドナ、出るよ!」


 二人は、急いで城を出て石の橋を渡った。



「おや、見ろ。城がウィ〜」

「火を吹いてるねぇ。あの二人はどうなったかね……」


  クワァア


「ん、どうした走鳥!」


「おい、走ってくるのはあの二人じゃないのかウィ〜」

「だよ、あの二人だ。まさか、城主を倒しちまったのか?! しかも城が爆発したわ!」


「お〜い!」


  ハアハアハアハア


「水、ない?」

「酒しかないな」

「あー。あんたの酒、忘れてたよ」


「そりゃないわウィ〜」


「薬を届けたら、酒持ってくるよ」 

「今度こそ約束だぞウィ〜。もうあんまりね〜んだ」

「奥さん、ありがとう。あんたの情報のおかげで助かった。城に幽閉された男が力になってくれた」



「おねえさん、二人は走鳥で、シュロたちの村に帰ったんだろ」


「お母さんは助かったの」


「ガキどもは、黙って聞けねーのか」


「おねえさん、オラ、小便に行ってくるから続き話すの待ってくれ」


「ええ、待ってるわよ……私も行こうかしら」


「オレも」

「ワシも」

「あたいも」


 男たちは畑の前に横並びで。


 女たちは家や森の中に消えた。


 中には畑での女も。


「ローラさん、家の便所さ使って」

「ありがとうニシーさん」


「休憩ね……」 


 

 あたしとノノは走鳥に乗り急いでコロロの村に帰った。


「ドナ、村の様子が変だ……」


「ノノ、ナニ? やけに静かね。出るときはお祭り騒ぎで見送ってくれたのに」


              つづく

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