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詩❲心理描写-暗❳

作者: 日浦海里

最初はほんの一滴だった


凪いだ水面のようだった私の心に

ある日一滴の黒い水が落ちてきた


それは小さなさざ波を立てて

波紋が広がりはしたけれど

落ちた黒いその染みは

水面に広がるにつれ薄れていって

やがては消えたかのように見えた



しばらく後に

あの黒い水がまた一滴

私の心に波を立てた


今度も以前と同じように

波紋は心に広がった後

黒い色は薄れていった

けれど気づかないほどに

水は薄く薄く濁った



小さな濁りは

やがて増殖するかのように

私の心に広がりはじめた


黒い水はまるで染みのようで

一度浮かぶと消えることなく

その色は濃くなる一方だった


水面に浮かぶ綺麗な記憶は

黒い水によって

汚され、塗り潰されて

真実か偽りかもわからないような

汚れた映像に書き換えられた


そうしていつしか

水面が元の色がわからなくなるぐらいに

薄汚れたころ


今度は青い水滴が落ちた


それは瞬く間に水面を染めたかと思うと

また、私の心は、

凪いだ水面のように

静かに戻った


正確には戻っていないのかもしれない


青い水滴は水面も白く染め

波の立つことのない場所になってしまったのだから

最後までお読みいただきありがとうございます

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