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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

私が好きな

作者: 私

「ねぇねぇ次はおにごっこしようよ!」賛同の声が上がる

「さーいしょはグー、じゃんけんぽい!」私が鬼役になる

「いーち、にーい、さーん・・・」わずかな興奮と緊張感の中、20まで数える


ひたすら追いかけ、追いかけられ、甲高い声を響かせながら子供の遊びを楽しむ。

そうして汗をかき、へとへとになったところで家に帰る。私が好きな放課後だ。


「ただいまー」おかえり。と、二つの返事が帰ってくる

「いただきまーす」汗を洗い落とした後、お母さん作ってくれたご飯を食べる

「でね、その時ね、追いかけてた子が転んじゃってね」今日あった、印象深いことを両親に話す

その後は、お父さんがソファーに座って見ているテレビを、よく内容も分からずに見て、なんとなく面白いところで笑って、笑いつかれて眠くなり、そのままソファーで寝る。私が好きな両親と夜の時間だ。


私は友達が好きだ、従兄弟が好きだ、鬼ごっこが好きだ、褒められるのが好きだ、話すのが好きだ、買い物が好きだ、かわいいものが好きだ、お菓子が好きだ、数学が好きだ、ファッションが好きだ、旅行が好きだ、彼氏が好きだ、デートが好きだ、化粧が好きだ、サークルの仲間が好きだ、スポーツが好きだ、キャンプが好きだ、仕事終わりのコーヒーが好きだ、タバコが好きだ、お酒が好きだ・・・・




・・・・私はこれらが好きだった。


あの頃の友達はどこにいるかも知らない、両親は病気で死んだ、従兄弟は事故で死んだ、人と話すのが怖くなった、何が可愛いなのかわからなくなった、味がわからなくなった、勉強は辛い、着飾るという行為が疲れる、お金がない、人が怖い、体が常にだるい、辛くで何もわからない、生きるために無駄なものも買えない。


いつの間にか、好きなものがなくなっていた、好きがどんなものだったかもわからない。

辛い時、悲しい時、不安な時、いつも頑張ってきた、諦めちゃいけない、負けちゃいけないと誰かから言われた、なぜ、頑張らなくちゃいけなかったんだろう、なぜ諦めちゃいけなかったんだろう。

今まで頑張ってきた成果が今なのだろうか、前に進めば不安や恐怖、辛いことやめんどくさいことばかり。

あぁ辛い、怖い、悲しい・・・・死んでしまおうか、終わりにしてしまおうか。幾度とそう思う、一度もしたためしはない。けど何となく、今回は実行できそうな気がする。

悪夢を終わらせることを――――――


「やめてください!」

「・・・・なんですか」

「あなたにどんな辛いことがあったか私は知りません、ですが、死んだら何もかも終わってしまう!だから、そこから一回離れて、私と話しませんか?愚痴を聞くことぐらいなら、私でもできると思います!」

「・・・・・・」

「・・・一度、私に騙されてください!騙されて、一度死ぬことをやめてみてください!」


私はこの人に話をした、両親が死んだこと、頼れる親戚が誰一人としていないこと、彼氏に裏切られたこと、今まで辛かったこと、悲しかったこと、怖かったこと。

私は今まで曇天のようだった心が、少し晴れたような気持になって、死ぬことをやめた。




 私は死のうとしていた、だがビルの屋上で男に説得され、死ぬことやめた私は家に帰り、考えてみることにした。

 考えることというのは、死のうと思う少し前に考えた「なぜ頑張らなくちゃいけないのか」についてだ、私は今まで頑張ってきた、いろいろなことを頑張ってきた、そのたびに挫折しそうなときは、人を励ますような曲を聴いたり、本を読んだりしてまた頑張ろうと思ってきた。

 だがしかし、根本的になぜ頑張らなくちゃいけないのかとちゃんと考えたことがなかった、勉強や就職活動なんとなくで頑張ってきた、なぜ頑張らなくちゃいけないのかが分かれば、私はこの先どんな辛いことがあっても乗り越えられる気がする。だから、考えた、考えた結果結論が出たので記す。


 まずそもそもとして、頑張るとは何だろう、辛いと思うことをし続けることだろうか、生きることだろうか、私は、人によって違うと思う、生きている中で楽しいことが多く、死ぬなんて選択肢に入らない人は、生きることは頑張ることではないだろう。

 辛いと思うことをし続けることは、頑張ることだと断定することもできないだろう、辛くないことでも頑張るという表現を使う場合がある。その他にもいくつか頑張るの定義を考えたが、すべて例外などがあるため、違うと思う。よって、頑張るとは、その人がこれは頑張らなければできない、と思う行動などをする事が、頑張るということなのだと結論付けた。

 今の私にとっての頑張るは、生きることだ、今の私にとって生きるためにすることのすべてが頑張らなくてはできない。

 次は、私にとっての頑張る、つまり、生きることをなぜしなくてはならないのかを考える、考える、考える、考えた。考えた結果、無かった。そんなものはなかったそもそもとして、生きるということ自体に意味がなかった、人間に尊さなどない、感情に意味などない、人間は有機生命体が自己増殖する過程で変化を繰り返し続けた中の段階であり、それ以上でもそれ以下でもない、そこに意味などない。

 もちろん、私個人にも生きる価値などない。


 だが、生きる理由はある、それは一次的な主観によって得られる幸福だ。幸福も、客観的に見ればただの現象に過ぎないが、主観から見れば生きる理由そのものだ。だから、人に生きる理由はある、生きるという選択肢を取り続けるならば、それは幸福を得るためと固定化される。

 これらを踏まえて、私は結論に至った、生きる理由などないということだ、私が好きな物や事、人はすべて好きではなくなったか死んだ、今では思い起こすだけで辛いだけだ。だから、私は死ぬ。


 この遺書を読んだ皆様へ、私の自殺は一時の衝動による物ではありません。私なりの生きる理由を考え、結論を出し、それを踏まえた上で生きるか死ぬかを決定した故に起こしたものです。ですので、ご心配なく貴方の今後の人生をお過ごしください。

 これを見て私の考えに賛同して、死のうかな、とお考えの方へ、お辞めなさい、貴方はおそらく考えが足りない。浅はかで、それこそ一時の衝動というものです。私は考えなしの自殺を咎めます。もっともっと考えて、考えて、考えた末、死にたいと思ったのなら、ご自由になさってください。私は、待っております。


あぁ狂うしいほどに清々しい。

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