表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

ギルド加入と、憧れのマイホーム


 赤髪の青年、ヴァニクはメイルタウンに着いてすぐガラの悪い男たちに連れられ、ギルドというところに連れていかれた。


「ヴァニクって言ったか?お前さんは、なぜここに?」


 先頭を歩く、ひげ面の男がヴァニクに聞いた。


「なぜって、・・・俺にもわからねぇっす」

「わからねぇって!?ガハハハハハ、隠すなよ!まぁ、あらかた目標もなく金を稼ぎに来たとかだろ。ここにはそんな奴らばっかさ、グロウリスの身体は高く売れっからな!」

「そ、そんなとこっすかね。ハハハ」


 ヴァニクは苦笑いしながら、答えた。

 街の風景は全体的に茶色っぽいがところどころにある、金属質の家具やつぎはぎだらけの建物が異彩を放っていた。


「雰囲気、かなり出てるな。西部劇とのミスマッチ感というか・・・」

「ん?なんか言ったか」

「い、いや。不思議な街だなと思って」

「不思議か、確かにそうかもな。・・・この町はな、開拓の最前線なんだ。だが、政府は各地の開拓地に資金を回そうとしない。おかげで、植物もまともに生えないグロウリスどもの敷地から無理やり住居の素材を引っ張ってこなきゃならねぇ。こんなとこじゃ生きるのも命がけさ。食料だけは、困らねぇがな!ガハハハッ!」


 男は、懐から骨付き肉を取り出しむさぼりつくように食らって見せた。確かにところどころに家畜小屋が見える。食料に困らないのは確からしいが、この荒野で、野菜は足りていなさそうだ。


「着いたぜ、俺たちのギルドに」

「こ、ここが」


 先頭を行っていた男が振り返りヴァニクに言った。ギルドと呼ばれたその場所は、町の外からも見えた、時計塔だった。近くで見るとそのでかさが再確認できる。町の中心に位置するその時計塔は全面が金属でできており、町の雰囲気からは到底考えられないような見た目だった。


「驚いたか?でけぇだろ、うちのギルドは。とりあえずは、ギルドに登録して来いよ、話は通してあるからな」


 行ってこいっ!っとヴァニクの背中をたたき男はヴァニクを時計塔の中へと叩き込んだ。


「ようこそ、メイルタウンギルドへ」


 開きっぱなしの入り口から中に入ると、入り口の横に立っていた女性から声を掛けられた。


「ヴァニク様ですね、登録の準備はできております三番カウンターへどうぞ」

「う、うっす」


 きれいなブロンドのロングを揺らす、女性はずっと微笑んでいた。その作ったような表情は少し不気味さを感じたがヴァニクはないにも言わずその場を離れ、言われた通り三番カウンターへと向かった。・・・はずだった。


「三番カウンターってどこだよ!いわれてもわかんねぇよ。・・・仕方ない、さっきの女の人に聞きに行こう」


 ヴァニクは、入り口まで戻り先ほどの女性に話しかけた。


「あ、あの~。すみません、三番カウンターってどこですか?」

「あ~、すみません。初めての方でしたね。これからご案内いたします」

「す、すみません」


 相変わらず、顔は笑っていても。内側から流れ出すこのどす黒いオーラがヴァニクの首を絞めているようだった。

 コツコツとヒールを鳴らしながら前を歩く女性が小声で言うのが聞こえる。


「ちっ、てこずらせやがって。面倒なことさせんなよ。死ね。すぐ死ね・・・」

「あ、あの~」

「はい、何でしょう?」


 笑顔が怖い。ヴァニクは、何でもないです。っと、口をつぐんだ。


「着きましたよ」

「あ、ありがとうございます」

「いえいえ、あなたのこれからのご活躍、期待しております。でわ」


 女性はヴァニクをカウンターに案内すると、ぺこりとお辞儀をしてその場を去っていった。

 小声で罵声を吐き捨てて。


「・・・死ね」

「・・・聞こえてる聞こえてる・・・」


 ヴァニクは小声でそう言うと、案内されたカウンターへと入っていった。

 カウンターにはきれいな黒髪の女性が座っていた。白を基調とした適度にひらひらした衣装は、スーツのようであり、ドレスのようでもあった。


「ヴァニク様ですね。お待ちしておりました、私は、これからあなたのお仕事のお手伝いをさせていただく、ギルド員のジュディー・ミーアと申します。気軽にミーアとお呼びください」

「はぁ、ミーアさん」

「はい、ミーアですよ。うふふ。それではギルドへの登録を始めます。お名前は、ヴァニク・ハルビン。さまでよろしかったでしょうか?」

「は、はい。それで」


 ハルビンとは、ヴァニクが現実世界でゲームをプレイするときに使うユーザーネームの二つ目だった。しかし、なぜ名乗ってもいないセカンドネームを知っていたのか。これもあの謎の少年の作り出したゲームであるからなのだろうか。


「それでは、登録に必要な各書類をお持ちしますので少々お待ちください」

「はい。分かりました」


 そういって、ミーアが席を外した後、ヴァニクは少しあたりを見渡した。昼間だからだろうか、ギルドにはあまり人が見当たらなかった。しかし、カウンターには誰かしらが入って、受付の女性たちと話していた。


「ミーロちゃ~ん、俺、こんなに頑張ったぜ。ほめてくれよ~」

「うんうん、頑張ったね。でも、おじさんならもっと頑張れるはずだよ!」

「え~そうかな~」

「そうだよ!だから、これとこれとこれとこれ、受けてほし~な~」

「それやったら、もっと褒めてくれる?」

「もちっろん」

「じゃあ、受けます!」キリッ

「ありがと~」


「・・・闇だ」


 ヴァニクは、隣のカウンターで行われた闇の深すぎるやり取りを目の当たりにして、ドン引きしていた。

 自分の先行きが不安になってきたヴァニクに、ミーアさんが戻ってきて声をかける。


「どうかされましたか?」

「あ、いや。少し先行きが不安で」

「まぁ、初めはそうでしょうね。でもすぐなれますよ。」

「そうでしょうか?」

「はい、ここで生きていくには働くしかないですから」

「そうっすよね」


 ニコニコの笑みから吐き出される、ナチュラルな棘がヴァニクに突き刺さる。

 そして、ミーアは満面の笑みのまま、カウンターに何枚かの書類を広げる。


「こちらのしょるに署名していただけば、ギルド登録完了になります」

「うっす。・・・?」


 ヴァニクが広げられた書類に目を通す。しかし、その書類の文字は読めない。完全に異界の文字だった。ヴァニクが書類に目を細めると、司会の右半分に黒いウインドウに白文字で日本語が羅列され始めた。


「こ、これは。この書類の日本語訳か!?すごいな、まるでゲームの世界じゃないか!・・・って、ここはゲームの中だったな」

「????・・・、同化されましたか?」

「あっ!何でもないです・・・」


 日本語訳のウインドウを読みながら書類に目を通す。書類は、契約書で、ギルドで撮った仕事の報酬の30パーセントをギルドに納入する。ギルドからの仕事で命の保証はしないなど。生々しいものばかりだったが、必須だっということなのでヴァニクはしぶしぶサインした。その書類をミーアに渡し、その書類をミーアが裏にもっていった。その時だった


(セーブ中・・・〉


 視界の左下でセーブの文字が現れて数秒で消えていった。


「セーブポイントだったのか・・・。つまり、ギルド加入は後戻りできないってことか。・・・じゃあ、もしかしたらほかのルートも・・・いや、ないか。この手のゲームはそういうイレギュラーを殺しておくはずだ。ここまではシナリオ通りってわけか」


 ヴァニクが自問自答してる間にミーアが手に小さなプレートを手にもって、戻ってきた。


「こちら、ギルド加入の照明となります。依頼を受けるときは、こちらのプレートとあちらのケージ版の依頼書を一緒にカウンターに提出してくださいね」


 ミーアがギルド入り口の大きなケージ版を指さして言った。


「それから、ヴァニク様の現在のランクはビギナーです、プレートのランクはビギナーから、レベル1,2,3,4,プロ、レジェンドとなっており、受けられる依頼は自分より一つランクが高い依頼までとなっております」

「なるほど」

「そして、依頼には契約金が発生いたします、自分のランクより上位のランクの依頼は、契約金が高くなりますので、ご注意ください。そして、ヴァニク様のこの町での滞在は、プレートの裏に記されています部屋をお使いください。こちらが、町の地図です。それでは、ヴァニク様のこれからのご活躍期待しております」


 ヴァニクはいきなりどわっと説明され、少し頭が混乱したが。すぐに視界の右上にヘルプ追加の表示が出て、安心した。

 ヴァニクは、ミーアにお辞儀をしてその場を後にした。

 ギルドから出るとついてきていたはずの男達は殆ど捌けていて、ヴァニクを先導したひげ面の男だけが残っていた。


「登録は済んだみたいだな。これで、お前も正式に俺たちの仲間だ、改めて、俺はヒース・ドイル。ドイルと呼んでくれいい。よろしくな」

「俺は、ヴァニク・ハルビンっす。よろしくお願いします!」


 ヴァニクは差し出された手を握り、ドイルと熱い握手を交わした。

 そんなドイルの首には。ランク、プロのプレートが垂らされていた。


 ヴァニクはドイルと別れ、地図に沿って、指定された部屋へとたどり着いた。町外れの平屋、壁は木製だがところどころ姻族の板で補強されている。この町を少し歩いてみてよく見かけた形の家だった。


「今日からここが俺の我が家か・・・、憧れのマイホームがこれとわね。少し悲しくなるぜ。とわ言え、住む場所が手に入っただけでも上場だ、明日からの仕事、いや攻略に備えて今日は早めに休むか」


 ヴァニクは、家の扉を開け中に入った、内装はそこまで悪くない、家具こそほとんどないが、部屋のきれいさは、ついこの前まで誰かが済んでいたのではないかと思えるほどであった。

 ヴァニクは、その場に服を脱ぎ棄て、部屋の隅のベッドに倒れこんだ、今までの、疲れがどっと来たのか、ヴァニクはすぐに眠ってしまったのだった。


〈セーブ中・・・〉

 こんにちは神奈りんです。この度はこのお話に目を通していただき誠のにありがとうございます。よければ今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ