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なろうラジオ大賞2

貴方が落としたのはどの聖女ですか?

作者: 高山小石

 泉の上に泉の精が現れた。

 その左右には、ずらりと12人の同じ顔で同じ服を着た聖女が並んでいる。


「『選択の泉』か。それにしても端のは明らかに違うだろ!」


 勇者は両端の聖女を指した。2人は服がはち切れそうな筋肉聖女とグラマラス聖女だ。


「それは貴方が決めることです。さぁ選んで」


「そ、そんなのわかりきっている。オレをかばって泉に落ちた心優しい聖女は……」


 勇者は残り10人の聖女を見るが、残り10人はほとんど変わらない。

 強いて言えば髪型が若干違う、か? 化粧の仕方も……って、そんなの覚えているもんか!


 勇者は片手を挙げ「すみません。ヒントお願いします」。


「良いですよ。聖女のお好きな花は?」


 10人の聖女はそれぞれ答えた。


「白ユリは思い出の花。いや、ピンクのバラも喜んでいたな。でも、ヒマワリ畑もラベンダー畑も好きだって」


「その4人の中から選びましょうか」


「う。追加のヒントお願いします」


「なにを聞きたいですか?」


「オレのことをどう思っているかで!」


 無表情で「好きです」。


 ため息に続けて「キライ」。


 ニヤニヤして「あったま悪そう」。


 恐ろしそうに「人前ではとても口に出きません」。


「え。これ『好き』で正解?」


「ファイナルアンサー?」


「ううっ」


 勇者の視線がグラマラス聖女に向いたのを、泉の精は見逃さなかった。


「他の聖女にも質問して良いのですよ?」


「じゃあ、両端の聖女に聞きます。オレのことどう思っていますか?」


 鼻で笑いながら「弱そう」と、筋肉聖女。


「おいしそう」

 グラマラス聖女の蕩けるような微笑みに、勇者はぐらりと傾いた。


「『選択の泉』で選んだ相手は、元の方と違っていても、元からその方だったことになりますよ」 


「それって」


「明らかに違う相手を選んでも良いのです」


 勇者の心は決まった。勇者がグラマラス聖女の手を取った瞬間、勇者とグラマラス聖女はかき消えた。


「選択神様、ありがとうございました。これで勇者様を選び直すことができます」


 『選択の泉』とは、異世界を(また)に掛けるマッチングシステム。

 王族勇者聖女など立場的にパートナーを変更しにくいはずなのに、あまりにも多い婚約破棄に心を痛めた神々が作ったシステムだ。


 世界には自分と同じ顔をした人間が3人いるのだ。異世界や並行世界まで含めば、その数は相当数にのぼる。

 希望すれば候補者が集められ、選択者が選択した世界に行った隙間に新しく入れられる。


「新しい勇者はこちらから選んでくださいね」

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白いアイディアですね。 やっぱり、この勇者はグラマラス聖女を選ぶんだ……。
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