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獣人世界の色々

朝日が顔に差し込み、目が覚める。

大きくあくびをし、ローブを払いのけ、目から流れる涙をぬぐった。

その時に包帯で巻かれた腕が目に入った。

折られた左腕はまだ痛みを感じるが、砕けた右手は痛みもなく形も治りほぼ完治し、握ったり開いたりすることができた。足首も痛みがなくなり、おぼつきながらではあったが立ち上がることができた。

治癒術と応急処置だけでここまで治るとは思いもしなかった。

あたりを見回すとミールだけでなく、マジ―ルやハイエナ達がみんな眠っていた。だが、牛たちや兵士の姿は見えなかった。

皆を起こさないよう静かに歩き、教会を出た。

外には兵士たちが何やら話している。

俺の事に気付くと兵士たちがお互い頷き、俺の所に来た。

「怪我の具合はどうだ?」

一人の兵士が声をかける。

「マジ―ルと治癒術のおかげで右手は回復した」

「腕はまだ治らんか」

「ああ、痛みが残っているが治癒術をかけてくれればすぐに治ると思う」

「そうか」

それを聞くと、俺に話しかけてきた兵士が兜を取った。

それに続き、皆兜をとった。

こうしてみてみると、兵士はみんな犬の獣人だけだった。

「君に頼みたいことがある」

神妙な顔つきで言った。

「怪我が治ってからでいい。我がプリンス、『ウルフェン』を開放してくれ!」

跪いて、俺の右手を取り、自身の頭に近づけた。

「あのーこれは?」

「我が国、ドゥージー王国の忠誠の儀です。これから私達はあなたの下す命にすべて従います」

「何なりとお申し付けください」

残りの兵たちも一斉に跪き言った。

「いや、何もそこまで」

「そこまでやるほど、我々にとっては重大な事なのです」

俺の言葉を遮りながら兵士は真剣な眼差しで俺を見つめる。

「・・・一体、何が遭ったんだ?」

俺がそう聞くと、苦虫を食い潰したような顔になった。

「・・・少々長くなりますので、場所を移しましょう」

「わかった」

俺と俺に声をかけた兵士は場所を昨夜イノムーのいた休憩室に移った。

「君は身なりからして異国の者らしいが、この国についてどこまで知ってる?」

「全く知らない」

「ネッコー国の事もか?」

「ああ」

真剣な顔で答えたが、犬兵はポカンとしている。

「ま、まあ、それは置いといて、話を戻そう」

頬を掻きながら言った。

「もともとこの大陸は、ドゥージー王国とネッコー国の2つに分かれていた。2年前、我々ドゥージー国はネッコー国と戦争をした」

「戦争の理由は?」

「偏見と差別から戦争になった。元々そんなことはなかったんだが、突然それが起こったんだ。最初はチンピラたちの喧嘩だったのだが、それがますます激しくなり、死人が出始めた。そこに貴族が面白半分に武器を横流しするだけでなく、政治にも介入し始め、手が付けられなくなった」

「決着はついたのか?」

「勝敗という形で決しようとはしなかった。和平という形で進もうと3人の王が立ち上がったんだ」

「それが、ウルフェン」

「の、父である狼王ろうおう『オースタイン』。そして、ネッコー国から獅子王『ライオネル』、虎王こおう『ガウェイン』の3人だ。3人を中心に民を落ち着かせようと呼びかけたが、怒りは収まらなかった」

「じゃあ、和平は失敗に終わったのか?」

「いいや、和平は成功した。ドゥージー王国とネッコー王国のすべてを巻き込んだ最終戦争『狼王の献身』で和平に成功した」

「献身?というか、戦争したかのような口ぶりだけど、王様を無視して戦争したのか?」

「貴族が勝手に戦争を始めたんだ」

「なんで王様を無視して貴族がそんなことをしてるんだ?てか、できるのか?」

「両国の民の怒りを利用して、宛ら英雄様気取りで民を先導し、戦争を起こそうとしたんだ。後々になってわかったことなんだが、両国の貴族が協力し、イヌ族とネコ族の傭兵を使い、裏で争いを起こし、民の怒りを煽っていたんだ。だから、呼びかけも失敗していたんだ」

「戦争でどっちが勝っても貴族が支配するってことか」

「貴族は我々下々の民の事を道具としか思っていない」

兵士の目が鋭くなっていく。

「あの一触即発の戦場で王達が動いてなかったら、双方甚大なダメージを負っていた」

「よく止められたな」

「狼王さまの体を張った説得で止まったんだ。ネコ族からの攻撃を受けてもけっして反撃するなと、剣を納めよと説得した。それに続き、ライオネルとガウェインも説得し、最終戦争は狼王さま一人の犠牲で終わった。狼王さまの後をプリンス、ウルフェンが引き継いだ」

「なるほど、だから献身か・・・みんな素直に聞いたんだな」

「元々王達は民を第一とし、導いてきた良き王達だったから民も答えてくれたのだろう」

「所詮、その場限りの英雄気取りの貴族には敵わなかったわけか」

一見、これで話が終わりそうな勢いだった。

「・・・あれ?じゃあ、なんでデスボナ帝国ってなったんだ?改名したわけではないよな?」

「そこからなんだ。長きにわたる戦いで兵も民も疲弊しきり、悲しみに暮れる中どこからともなく奴らが来たんだ」

「デスボナ帝国か」

「奴らは魔法とは違う不思議な力を持つ9人の者を中心に、兵を連れこの大陸に攻めてきた。9人の者だけでなく、傭兵も一筋縄ではいかない凄腕の兵を大勢引き連れてきた。その圧倒的な力の差に、プリンスは降参した。我々、兵や民の命を保証してくれと条件にしてだ」

「けど、実際は保証とは名ばかりで厳しい税を強いられているわけか」

「ああ。その後はドゥージー城を乗っ取り、傭兵たちが神父と名ばかりの見張りをつけ、大陸中に散らばらせてる」

「だから、あのイノシシとネズミは元傭兵だったんだな」

「情けない!」

拳でテーブルを強く叩きつけ、乗っていた小物が散らばる。

突然の事で俺は少し体がビクッと反応した。

「目の前で王が降伏し守った民の命があるというのに、それを目の前で命が削られてるというのに、守ることができない!」

「反乱を起こせば、どうなるんだ?」

「城にいる9人の者の内、1人が兵を引き連れ、反乱がおきたところに住んでいる民を皆殺しにすると言っていた」

「もし、このままここに住んでいたらみんなは・・・」

「殺されるやもしれん」

「マジか・・・あれ?そういえば、ネッコー国の人達はどうなったんだ?」

「わからん。降伏したあの日以降、ネッコー国の者たちは行方をくらました。一度、ガウェイン一人で暗殺しようと乗り込んだが、返り討ちにあい、今は収容所にいるという噂だ」

「噂か・・・」

「話はそれで終わり?」

女の声が聞こえた。

「私達抜きで話、進めるんだ」

声がする方向に2人が顔を向けると、そこにいたのはミールだった。

ミールが昨夜砕かれた壁の傍から立ち聞きしていたらしい。

「あ、ごめん・・・」

「いいの。私達ねていたし、あとで聞くから」

気まずい雰囲気になっていくのがわかる。

兵士も申し訳なさそうに俺を見つめる。

「で、いつバレてもおかしくない状況で、村人を無視するの?」

ミールが体を壁に寄り添いながら言った。

「それもそうだな。何か策はないか・・・」

兵士が顎に手を置き、考え込む。

「そういえば、君たちはどこから来たんだ?身なりからしてこの国も者ではないが」

「どこからって・・・そうか!」

俺はハッと気づきミールに顔を向けた。

「あそこに連れてけばいいんだ!あそこなら身を隠すのにうってつけだ!」

「あの廃墟に連れていくつもり?昨日見て回った通り、あそこ何もないじゃない」

「確かに何もないけど、掃除すればみんな住めるくらい問題ないくらいだろ?」

「住むのはいいけど・・・」

「当てがあるのか?」

言葉を詰まらせているミールを横に、兵が期待を持った目で俺とミールを交互に見る。

「ほら、あの通りだしさ」

「はぁ・・・」

ミールがため息を吐き、壁から離れた。

「この辺に住んでいる村人を全員集めて。テレポートの準備するから」

「いいのか!?」

「命を落とされても後味悪いだけでしょ?」

「ありがとう!」

兵士が立ち上がり、ミールの前に立った。

「いや、あの」

ミールが引いて後ずさりしているが、兵士はそんなことに構わずミールの手を取り、激しく上下に振り、今にも泣かんばかりに言った。

「君たちには返しても返しきれないほどの恩ができた!心から感謝している!」

「わかったから。放してくれる?暑苦しいんだけど」

「おっと、すまない」

兵士が手を放し、ミールは汗まみれになった手を眉間にしわを寄せ、不機嫌な顔になりつつ服にこすりつけるようにふき取った。

「さっそく、村人を集めてくる。ネコ族の魔女様、お願いしますよ!」

駆け足で休憩室の扉をバンと開け、出て行った。

「暑苦しいやつ」

「まあまあ」

俺がなだめるように言ったが、反応はおろか、俺の顔を向くことなく休憩室から出ていこうとした。

(まだ、引っ張っているのかな?これが長続きしても気持ちのいいものじゃないし、告白するしかないのか)

「そうだ忘れるところだった!」

ミールが扉に手を伸ばした瞬間、さっきの兵士が慌てて戻ってきた。

ミールの体がビクッと反応し、後ろに大きく跳んだ。

「ビックリするじゃない!」

「おっと、すまない」

「もういい!こっから出ていく!」

先程出てきた壊れた壁からミールは出て行った。

「悪いことをしたかな?」

後頭部をポリポリと書きながら兵士は心配そうに言った。

「気にしなくてもいいと思うよ」

「そうか・・・あ、そうそう。最後に聞きたいことがあったんだが」

「なに?」

「何故か兵士の一人が記憶をなくしたついでに女に目覚め、もう一人は風邪を引いたのだが、何か知らないか?」

「女?風邪?」

俺は昨日の事を思い出し、そしてそれに該当する出来事がアアマをよぎり「あっ」と声を漏らす。

(女は多分昨日玉に蹴りを入れたやつで、風邪は身ぐるみをはいだ奴だ)

「何か知っているのか?」

「いやー。多分、あれは気のせいだから、俺は何も知らない」

首を左右に振りながら言った。

「そうか。ならいいんだが」

「力になれなくて済まない」

「いや、君はここまでしてくれたんだ。これからは私たちの番だ!」

「頑張れよ!」

「オウ!」

お互い親指を立て、兵士は歯を見せ、キランと光らせる。

(俺が女にしただなんて言えないな)



その後、ミールのテレポートで先にハイエナと兵士5人、マジ―ル、マコト、雄牛数人と雌牛全員があの廃墟にテレポートした。

兵士達は教会にあった備蓄を全部こちらに運んできた。

残りは準備が整い次第、順次来るそうだ。

「ここはどこだ?」

「こんな町が残ってるとわねぇ」

兵士と昨夜俺に話しかけたハイエナがあたりを見回しながら言った。

「君はここの出身なのかい?」

マジ―ルが俺に声をかけてくる。

「いいや、少なくとも俺はここの出身ではないと思う」

「なんだそりゃ?」

「正直、俺もよくわからん」

「どういうこと?」

「オスども!」

俺とマジ―ルがやり取りしている中、ボスと思われるメスのハイエナが喝を入れるように声を張り上げた。

その迫力のある声に驚き、ハイエナ達に顔を向ける。

「ヘイ!」

ハイエナのオスたちが声をハモらせ、背筋を伸ばし身を引き締めた。

「今日はこの町を掃除しな。1班はあの宿屋、2班、3班は民家を掃除しな」

「わかりやした!」

オスたちはそれぞれ分かれ、建物の中に入っていった。

「この辺に森はあるかい?」

俺に顔を向け聞いてきた。

「あそこのほうへ行くと結構な広さの森があったと思う」

「よし。メスども!狩りに行くぞ!」

「はい!」

ボスのハイエナが俺が指さした方向に向かっていった。

残りのハイエナは皆、体が大きいうえに中々な筋肉質であるが、声が女性特有の物であった。

「ハイエナのメスって、皆ああなの?」

ハイエナ達に聞こえないように姿が見えなくなってからマジ―ルに聞いた。

「ああ。みんな雄牛に負けず劣らず逞しい人たちばかりだ」

「へー」

俺が頷き納得していると、

「チーターのあんちゃん」

野太く逞しい男の声が後ろから聞こえた。

振り向くとそこにいたのは雄牛たちだった。

「来て早々厚かましいんだが、どこか休めるところないか?」

雄牛たちが雌牛達に気をかけながら言った。

「俺達が休んでいる場所でいいんなら、案内するけど」

「そこでいい。案内してくれ!」

「我々も付いて行きます」

犬兵たちも反応した。

「私はここに残ります。後で合流しましょう」

「わかった」

マコトはその場に残り、俺は竜の石像がある礼拝堂のような場所に案内した。

道中、俺は雌牛の事が気になり、マジ―ルに聞いた。

「なあ、なんで雌牛達はあんなにやせ細ってるんだ?」

「彼女らの事か。彼女らはイノムー達に誘拐され、人質にされただけじゃなく、牛族の乳で作れるチーズやらバターを作らされていた」

「乳だけであんなやせ細るのか?」

「まともに飯すらもやっていなかったんだ。それで使えなくなってハイエナ達と一緒に地下牢に閉じ込められていた」

「あー、だから一緒にいたんだ」

そうこう話しているうちに、礼拝堂に着いた。

「ここならみんな休めると思うから、使ってくれ」

皆中に入り、礼拝堂の中を見渡し声を漏らしている。

「凄いな。こんなにきれいな像は初めてだ」

「こんな芸術品があるとは思わなかった」

「ドラゴンの像がそんなに珍しいのか?」

「ああ、像は世界各国にあるんだが、ここまで奇麗な形で残っているのは初めてだ」

「へー」

俺は頷きながら近くにあった椅子に腰を掛けた。

雄牛達は雌牛達を椅子に座らせ、雌牛の面倒をマジ―ルが見始めた。

兵士達は外に付けた荷車から備蓄の食糧を運び出し、それを雌牛達に配り始めた。

「君も食べると良い」

兵士が俺に干し肉を渡した。

そういえば、昨日の夜からまともに物を食べていないことを思い出した。

「ありがとう」

俺は干し肉を受け取り、口にした。

だが、そこで疑問が生じた。

(俺がいた世界では牛や豚を食べていたけど、こっちの世界の肉は何の肉だ?まさか、同族か?それとも人間が動物になってそれを・・・)

俺は余計な考えをなくそうと頭を左右に振り、干し肉を食べ続ける。



マコトがオスのハイエナと一緒に長屋を掃除していると、ポータルが開く音が聞こえた。

「お、意外と早いですね」

「迎えに行ってください。あっしらはもう大丈夫ですので」

「わかりました。お掃除頑張ってください」

「へい!」

マコトは服に付いた埃を払いながら宿屋から出た。

ポータルから子供を連れた雄牛が出てきた。

「みんなどこに行った?」

雄牛がマコトに尋ねる。

「他の皆さんはこの道をまっすぐ行った先にある礼拝堂に行きました。大きい建物なのですぐわかりますよ」

「わかった。さあ、坊主ども行くぞ」

雄牛達は子供達を連れ、マコトに教えられた道に沿って行った。

「ここが救世主様の町ですか」

今度は羊の村長が出てきた。

その後ろには村人達が続々と出てきた。

「僧侶のお方、救世主様はどちらにおられますかな?」

「この道に沿って行くと大きい建物があり、そこにいます」

「よし。皆の者、行くぞー!」

村長が杖を掲げると、若い男が村長を神輿のように肩に乗せ。そして、マコトの教えた道に沿って土埃を巻き上げながら向かった。

「騒がしい奴」

「元気があっていいんじゃない?」

ミールとヴァル、兵士達ががポータルから出てきた。

ポータルは自然と小さくなり消える。

「みんな何してるのー?」

「ハイエナさんたちは町の掃除と狩りをしています。マジ―ルさんと牛さんは礼拝堂にいます」

「狩りかー。私も行こうかなー?」

ヴァルは口に指を当て悩んでいる。

「あたしは疲れたから、しばらく休んでる」

肩を回しながらミールはどこかへ行った。

「では、私は長屋の掃除を手伝ってきます」

「我々も手伝います」

兵士達はマコトと共に引き続き掃除を始める。



外から地響きが聞こえる。

「なんだ?」

気になった俺は立ち上がり、礼拝堂から出た。

地響きが聞こえる方向に顔を向けると、土埃を巻き上げながらこちらに向かってくる何かが見えた。

「いましたぞ!救世主様じゃ!」

あの羊の村長がいる村人たちがこちらに向かっている。

「もう来たのか」

礼拝堂の前に村人たちが着いた。

土埃が肺に入り、むせてしまった。

「なんと!お怪我をしてるではありませんか!」

「え?ああ、これか」

支え木をしている左腕に目を向けた。

「なんと、まあ痛々しいことに・・・」

肩から降り、俺の左腕を撫で下ろすように手を乗せた。

「大丈夫。治癒術のおかげでだいぶ治ってはいる」

「本当に大丈夫なんですか?」

「ああ。それよりも、こんなところに連れてきてすまない。故郷を捨てさせるようなことをさせてしまって」

「いえいえ、我々を助けるとのことで聞いていますので。それに、こんな豊かな所に連れてくださって、私としては感無量です」

「本当に申し訳ない」

「いえいえ、お気になさらないでください」

頭を下げる俺に対して村長がなだめる。

「救世主様のお顔を見れて一安心しました。では、私共はこれから自分の家を探しに行きますので失礼します」

「わかった。俺はしばらくここにいるから、何かあったら呼んでくれ」

「わかりました。よし、皆の者行くぞー!」

村長が杖を掲げると男が村長を肩の上に乗せ、そのまま村人達と町へ行った。

「元気だなー」

村人達を見送っていると、足元に気配を感じた。

見下ろすと、そこにいたのは子牛の獣人だった。

子牛の獣人は黙って俺の顔を見つめている。

「えっと、どうしたのかな?」

俺は腰を落とし、子供と同じ目線にした。

「お母さんがここにいるって」

俺の後ろにある礼拝堂に顔を向ける。

「お母さん?いると思うけど、あまり騒がないでね。お母さんの体に障ると思うから」

「わかった」

子牛は扉を開け、中に入っていった。

その後もどこからかやってきた子牛の集団が中に入ってきた。

「すんません。図々しい子で」

雄牛の獣人が頭を下げる。

「いえ、あなた達も早く会いに行ってください」

「ありがとうございます」

雄牛達も中に入っていった。

俺は立ち上がり、扉越しに中の様子を覗いた。

先程の子供達は自分の母親の所へ向かい再会を果たしている。

母親と抱き合ったり、子供の頭を撫でていたりとして過ごしている。

「よかったな」

「なーにニヤついてるの?」

隣からミールの声が聞こえる。

俺は自分の口を慌てて押さえ、ミールに顔を向けた、

「気持ちわる」

ミールがゴミを見るような目つきで見つめると、どこかへ行った。

「違う!これはそういうやつじゃない!」

俺はミールの後を追おうとしたが、ポータルでどこかへ消えていった。

「なんだよ。嫌味を言いに来ただけかよ」



その後、俺は手伝おうとマコトの所へ向かったが怪我人は休めと言われ帰され、羊の村長の所にも行ったが逆に村人総出で礼拝堂に運ばれてしまった。

礼拝堂ではマジ―ルが雌牛達の面倒を見ていた。手伝おうとしたがマジ―ルが怪我人は動くなというと思ったため、俺は礼拝堂の近場にあった民家に入り、椅子についてる埃を振り払い腰を掛けた。

そして、何もしないまま座っているうちに俺は眠りについた。

「ンガッ!」

よだれを垂らし、自分のいびきで目が覚めた。

よだれを拭いながら立ち上がると、外は夕方になっていた。

民家から出て大きく背伸びをした。

礼拝堂の扉が開き、中から誰かが出てきた。

「フゥー」

大きくため息をしながら出てきたのはマジ―ルだった。

「みんな無事なの?」

俺はマジ―ルに歩み寄りながら声をかけた。

「ああ、あとはきちんと栄養を取れば彼女らは大丈夫だろう」

「よかった」

俺とマジ―ルは近場にあったベンチに腰を掛けた。

「そういえば、マジ―ルは神父をやってはいるけど、傭兵なのか?」

「ん?ああ、そういえばまだこの格好だったな」

マジ―ルは自分の服装を改めて認識した。

「私の場合はこの国の医者なんだが、腕を買われ神父になった」

「そんなに腕がよかったんだ」

「まあ、その後はあの村に左遷されて、酷い上司にこっぴどくされたもんだ」

「なんで左遷されたの?」

「献納品の数を緩くしたのが上にバレたんだ」

「なるほど」

「後悔はしていない。あるとすれば町の人の安否だ」

「無事だと良いな」

「・・・君に頼みたいことがあるんだが」

神妙な顔つきになる。

「町の人をここに連れてきてほしいのか?」

「そうだ。あの人たちは今も苦しんでいると思うと気が気でないんだ」

「俺はいいが、町に入るかな?」

「そこまで大きい町じゃない。パッと見た感じ、ここに町の人を全員連れてきても全然空き家があるくらいだ」

「わかった。怪我が治ったらその町まで案内してくれるか?」

「いいのか?」

「ああ、約束する」

「ありがとう。君はいい人だ」

俺が手を差し出すと、マジ―ルは俺の手を握り握手を交わした。

「さて、私は少し休むよ。疲れた」

「風邪ひくなよ」

「わかった」

俺は立ち上がり、この場を後にした。

そして、マコト達がいる所へ向かった。

マコト達は掃除が終わり、外で休んでいる。

「おつかれ。みんな」

「あ、ガナードさん」

「ガナードの旦那」

みんな一斉に俺の事に気付く。

「ここの宿屋は奇麗になったので、今夜からでも使ってください」

俺は掃除された宿屋に入り、中を確認した。

壁や床は新品のように埃一つ見あたらない。寝室も同じように埃一つ落ちてはいなく、ベットのシーツもシワ一つなくピシッとベットメイキングされていた。もはやリフォームと何ら変わらないほどの変わりようだった。

「なんということでしょう・・・」

目を丸くし、感心しながら宿屋から出た。

「凄いですよね。これ、全部ハイエナさんがやったんですよ」

「いやいや、あっしらは炊事洗濯といった家事でしか取り柄がありませんから」

照れ隠しに頭を掻きながらハイエナ達が言った。

「凄い女子力」

「姉御たちもそろそろ戻ってきますよ。ほら、結構大量にとってきました」

ハイエナ達が雌のハイエナ達に気付き、顔を向けた。

俺とマコトもそこに顔を向けた。

だが、ハイエナの姿はなかった。

あったのは運動会に出てくるような大玉だった。

「なにあれ?」

灰色でシマシマ模様が入った大玉だった。

「珍しい!マルマルが住んでるなんて!」

「マルマル?」

反応したハイエナに俺は首を傾げる。

そうこうしてるうちに、俺らの所に着いた。

「お疲れです!姉御!」

「おう、ちゃんと掃除はしたか?」

先に来たのはあのボスのハイエナだった。

「へい!残り皆さんは?」

「後から来ると思うよ。血抜きをしたいんだが、近くに川はないかい?」

「川ならあっち」

「はいよ。今日は豪勢な食事になるよ。チーターちゃん」

ボスのハイエナが俺の頭をクシャクシャに撫で、川に向かって玉を転がした。

「姉御に気に入られてる!」

オスのハイエナ達は息をのむ様に言った。

「そんなにいいことなのか?」

「あっしらがいくら仕事しても撫でてもらえなかったのに、羨ましい!」

「そう・・・なんだ」

そんなやり取りをしてるうちに、残りのハイエナ達も着いた。ハイエナ達の中にはヴァルもいた。

「イッ!」

俺は自分の目を疑う光景を目にした。

ハイエナ達が担いだり、抱えたりしてるのは中型、大型犬くらいの大きさの幼虫だったり、中には馬くらいの大きさのバッタもいた。

「イヤー!」

余りにも気持ちが悪く、女々しい悲鳴を上げながら腰を抜かしてしまった。

「どうしたんですか?こんなにも美味しそうな昆獣こんじゅうがいっぱいいるというのに」

「昆獣?」

マコトは手を貸し、ゆっくり立ち上がりながら俺は首を傾げた。

「チーターのあんちゃんはこういうの苦手かい?」

一匹のハイエナが俺に昆獣を近づけた。

カブトムシの幼虫みたいな姿だが、俺は虫が大の苦手で気持ち悪い以外の感情が出てこない。

「わ、わかったから近づけないでくれ」

震えた声で言った。

「そんなに苦手かい」

メスのハイエナが幼虫をひっこめる。

「オスども、早く料理しな」

「へい」

オスのハイエナ達は昆獣を受け取り、宿屋に運んで行った。

「姉御の手伝いに行くぞ」

そういうと、メスのハイエナ達はボスのハイエナの所へ向かった。

さしずめ、さっきのあの大玉はダンゴムシだったのだろうと察した。

「ガナードちゃん」

ヴァルが俺を呼ぶ。

ヴァルに顔を向けると目の前にバッタがいた。

「ア゛ア゛!」

声を上げながら後ろに跳び、宿屋の屋根に跳び移った。

「お、俺の傍に近づけるなぁぁぁぁぁ!」

「もう近づけないから、降りてきてー」

ヴァルが腰にバッタを抱え込みながら、余った手を口に当て言った。

俺は降りようと下を見た。

(降りれるかな?)

思いのほか高く、戸惑ってしまう。

「ほら、おいでー」

ヴァルがバッタを地に置き、両手を広げ受け止める姿勢を取った。

俺はヴァルに向かって跳んだ。

「よいしょー」

ヴァルは俺を優しく受け止め、そのままお姫様抱っこをした。

「大きい赤ちゃん」

「やめろ!恥ずかしい」

俺はヴァルから離れた。

それを見てフフッと笑い、バッタを抱えた。

「じゃあ、私も支度してくるから。みんなを呼んできてー」

ヴァルも宿屋の中に入っていった。

「では、私は礼拝堂にいる皆さんに伝えますので、ガナードさんは羊の村長さんの所に行って、伝えてください」

「わかった」



そして、俺は羊たちの所に行き、宿屋に集合するということを伝え、全員宿屋に集まった

ミールはみんなが集まる前に宿屋に来ていた。

「マコト達は奥で待ってる」

「わかった」

ミールに付いて行き、大広間に来た。

テーブルにはあのゲテモノから出来たとは想像できない料理が並べられ、それをみんな先に食べていた。

「やっと来たかい。あんちゃん」

ボスのハイエナが俺に気付き、俺の後ろに立つと背中を押し席に無理矢理つかせた。

羊の村長たちも自分たちの席につかされた。

「さあ、乾杯だよ!お前ら!」

ボスのハイエナが木でできたジョッキを手元に持ってくると、みんなもジョッキを手元に持ってきた。

「カンパーイ!」

みんなジョッキを掲げた。

「なんで乾杯?」

突然行われた乾杯の音頭に俺は戸惑い、ボスのハイエナに顔を向ける。

「ここで新しい生活を始めるにあたっての意気込みと、家族の再会の意をこめたちょっとした宴みたいなものだ」

「なるほど」

「さあさあ、オスどもが作った自慢の料理だ。食べな」

「そうだな。じゃあ、いただきます」

手元にあるフォークを手に取ろうとしたら、何者かにとられた。

「お母さん。怪我人に自分で食べさせるの?」

メスのハイエナが俺のフォークを取り上げていた。

「それもそうだな。あんたが食べさせてやりな。ハイリ―」

「はーい」

ハイリーと呼ばれるハイエナがフォークでミートボールを刺すと、俺に突き出してきた。

「ほら、食べな」

「自分で食べるから、だいじょ――」

俺が話している最中、無理矢理口に突っ込んだ。

「どうだい?」

「・・・おいしい」

文字通り美味しかった。

噛めば噛むほど肉汁が沸き、今まで食べたことがないほどのミートボールだった。

(前の世界で食べようとも思わなかった虫だったが、こっちの世界じゃあこんなにも美味いものだとは)

「口に合ってよかった」

「あっしらが作ったんですけどね」

「わかってるよ」

「そういえば、ハイリーって言ったっけ?」

ミートボールを飲み込み、ハイリーに尋ねた。

「そう。昨日牢屋で会ったよね?」

「ああ。体の方は大丈夫なのか?」

「私は大丈夫さ。あんたは人の事より、自分のことを心配しな」

ハイリーは俺の骨折している腕に目を向ける。

「ん?これの事か?」

骨折した腕を撫で下ろした。

「マコトとマジ―ルがいればすぐ治るさ」

「そうかい?それにしても、あのイノムー相手に骨折で済むなんざあんた中々やるね!」

満面の笑みで俺の背中を強くたたき、俺は『ウッ』と声が漏れてしまう。

「こんな怪我してまであたい等を助けてくれたんだ。いくらお礼をしても、したりない気持ちさ」

「でも、俺があいつをったせいで故郷を捨てさせるようなことをさせてしまった。お礼を言われる筋合いはない」

「そう気に病むなって!」

うつむいた俺にハイリーが頭をクシャクシャとなで励ます。

「事情は聴いてるし、だれも反対はしなかったさ」

「むしろ、反対する理由がありません」

一人の牛族が俺に歩み寄りながら言った。

他の牛族とは違い、筋肉は一回り小さいが、太くてたくましい2本の角が頭から生えていた。

「初めまして、私は牛族をまとめいる長です」

「どうも」

俺はその長と握手を交わした。

「この度、娘達を助けてくださってありがとうございます」

「こちらこそ。移住の理解に感謝します」

「いえいえ、村人を思ったが故の決断です。むしろ、感謝の念しかございません」

「ほら、牛達もそういってるんだ。胸張りな」

「そうよ~。気にすることはないのよ~」

野太いオカマ口調で話しかけてきた者がいた。

犬兵だった。

「いっつもパワハラしてくるし、村人をイジメていたし、ウンザリしていたの!」

「確かに、料理を投げるような奴だったしな」

「そんなこともしてたの!?もう、嫌になっちゃう!やっつけてくれてありがとね~」

犬兵が俺に抱き着き、ほほを摺り寄せてきた。

(なんでオカマ口調?)

俺がそう思った瞬間、今朝がたのことを思い出した。

(オカマになったやつがいたとかどうとか言ってたけど、まさか、こいつの事だったのか・・・)

「これー!救世主様に頬擦りするのはわしだけだー!」

羊の村長も俺に抱き着き、頬擦りし始める。

(して欲しいわけじゃないけど、なんで男からしか頬擦りしてこないんだろう?して欲しいわけじゃないけど!)

その光景を離れた所でマコト達が見ている。

「すっかり人気者ですね」

「ガナードちゃんだけ戦ってるから、目立っちゃうのはしょうがないね~」

「私がテレポートしてあげてるからできたことなのよ。まさか、忘れてるんじゃないでしょうね?」

「まあまあ。皆でやったからこそ、できたんですよ」

「フン!」

鼻を鳴らし、ミールがそっぽを向く。



楽しい食事が終わり、みんなが自分の寝床に向かっていく中、俺は礼拝堂に向かった。

中に入り、ドラゴンの像の近くにある長椅子に腰を掛けた。

ふとドラゴンの像に顔を向ける。

月夜に照らされどこか幻想的な感じになっている。

「何、物思いに更けてるの?」

後ろから女の声が聞こえた。

突然聞こえたことで俺は驚き、刀に手を伸ばし、身を低くしながら振り返った。

「ミールか」

ホッと安堵し、姿勢を伸ばしながら刀から手を放した。

ミールは鋭い目つきで俺を睨みつけている。

「なんでこんなところにいるんだ?」

「それはこっちのセリフ」

ミールが言い終わると、足元に水たまりがたまっている事に気付いた。

「水?」

水たまりに顔を向ける。

水たまりから離れようと足を上げたその瞬間、水のムチが俺の足を捕らえた。

「なに!?」

振り払う間もなく、水のムチは足だけでなく、体中に巻き付き高く持ち上げられ宙吊りにされた。

「なんだこれ!?」

抵抗しようと体に力を入れたが、一向にゆるむ気配がない。

「あんたに聞きたいことがあったの」

「ミール!これ、お前の仕業か!?」

「だまって!」

水のムチが俺の口に入り、ふさがれてしまう。

「これからあんたに質問をする。イエスかノーで答えて。いい?」

俺は顔を縦に振った。

「単刀直入に聞くわ。あんた、私の妹の居場所を知ってる?」

(妹?妹がいたのか・・・)

俺は首を左右に振った。

「ウソ!」

ミールの顔が険しくなると、俺の口に入っていたムチが喉に周り、締め付ける。

「本当のことを言わないと、絞め殺す!」

締め付けの力が強くなる。

だんだん呼吸ができなくなってくる。

「答えて!妹はどこ!?」

「ま、まて、本当に何も知らない」

次第と意識が薄れていき、目の前が真っ暗になった。



次に目が覚めた時は、何もない空間に倒れていた。

だが、どこか見覚えがある空間だった。

「あんた達、身内同士で何やってるの?」

聞き覚えがある声が聞こえた。

顔を向けると、そこに赤い鱗をみにまとっている竜人がいた。

「あんたは・・・」

ゆっくり起き上がった。

「覚えてる?あんたを生まれ変わらせた女神様だけど」

笑顔で手を振る。

「う、うう・・・」

ミールも同じ空間に飛ばされていた。

頭に手を当て、ゆっくりと起き上がる。

「あんた。一体何してるの?」

「女神様!」

女神に気付いたミールが、慌てて跪く。

「顔を上げて」

「ハッ!」

ミールが顔を上げる。

「私、この子を殺せって言ったっけ?」

「いえ、あいつをサポートするとのことでした」

「なんで絞め殺そうとしたの?」

「それは・・・」

ミールの言葉が詰まった。

「まあ、あなたの事情は知っているわ」

「なら、なぜ私にこいつとめぐり合わせたのですか!?」

「この子はあの教団とは一切関係ないから」

「本当なんですか?」

「ねえ、俺を差し置いて何話してるの?」

「後で話すから、黙ってて」

女神が冷たく返し、俺は『はい』と静かに言った。

「ともかく、この子はその教団の人じゃないから、今後襲わないように。しっかりサポートすること。いい?」

「・・・はい」

「じゃあ、あなたは下がりなさい」

「わかりました」

ミールはどんどん薄くなり、やがて消えた。

「さてと」

女神がどこから出したのか、ソファをポンと出し、踏ん反り返る様に腰かけた。

「今回、村人の救出お疲れ。どうだった?」

「どうだったって、腕と足をやらかしたんだぞ!」

「あんたの戦い方の問題でしょ?」

「う・・・」

「一撃必殺であいつを殺せば骨折とかしなかったのよ?」

「まあ、そうだけどさ・・・」

「そのために、あんたの世界に合うように暗殺武器の調達とその体を作ってあげたのよ。もっと有効活用しなさい」

「はい・・・」

「ま、命があってよかったじゃない。みんなからチヤホヤされていたし、おいしい料理も作ってもらえたし、むしろ怪我をしてよかったじゃない!ね?」

「そうですね」

威圧的に言われ、俺は頷くしかなかった。

(あれ?なんか丸く収められているような・・・)

「まあ、あのミールの事だけどさ」

「妹や教団がどうとか言っていたけど、何が遭った?」

「そう。あの子に仲がいい妹がいたんだけど、その子、教団に誘拐されたの」

「だからあんな拷問みたいなことをしたのか」

「そう。しかも、その教団はかなりの実力派なの。で、そんなところに今回の使命に加え、兵士相手に命を落とすことなく戦い抜いた正体不明のあんた。だから、拷問したの」

「なるほど」

「さて、納得したところで、あたしは寝るわ」

「寝るのはいいけど、どうやってここから出るの?」

「右手を胸に当てて跪くだけでここに出入りできるから、今後、私に用事があるときは礼拝堂でそれをやりなさい」

「わかった」

「じゃあねー」

俺は右手を胸に当て、跪く。

それを女神が手を振り笑顔で見送った。



次に目が覚めた時、俺は礼拝堂の真ん中で倒れていた。

起き上がりながらあたりを見回し、ミールを探したがいなかった。

礼拝堂の外に出てあたりを探したが、誰もいなかった。

「・・・今日はもう遅いし、寝るか」

俺は礼拝堂の中に入り、ローブを掛け布団代わりにし、適当な長椅子に横になった。

そして、眠りにつくまで目をつぶった。



「わたし、考えすぎたのかな?でも、あいつがあの仲間じゃなかったら、とんでもないことしちゃった・・・どうすよう・・・」

月光に照らされながらミールは町中を彷徨っている。

月を見つめ、涙ぐむ。

「マーシー。わたし、どうしたらいいの?」

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