堕ちた女
「ひそひそひそひそ」
内緒話、私は本当にそれが嫌いだ。言ってる奴等はそれが本人に聴こえないとでも思っとるのかしら?
全部聞こえるわよ、バカが。
まず最初に、この物語は皆が望んでいるような綺麗なシンデレラストーリーでは無いわ、これはシンデレラが堕ちるところまで堕ちる話よ。
でもシンデレラは一人だけではないわ、この物語の全員がシンデレラなの。
本当におかしな話。
阿部 明日香 これが私の名前、スタイル抜群で、顔は可愛い、色んな事務所からオファーを貰うくらいの。
六月九日、明日は私の初めての高校の登校日。
二年生の初めての始業式の前日に車と事故に遭って、それで二ヶ月遅れの二年生、明日は二ヶ月早い先輩達に会いに行くの、私も仲間に入れてくださいってね。
六月十日、クラスの私の席は一番後ろの窓際から三番目だ、それとクラスのカーストが出来上がってた。
でも最初から解ってたこんなのは、でも私が許せないのは噂よ。
この狭い教室じゃどこにいても何かしらの噂が耳に入ってくる。
「明日香って援交がバレて停学になったんだって」
「でも私は、薬物付けになって病院に行ってたんだって‼」
下らない、もっとましな噂をたてられないの、ふと一つの噂が耳に入ってきた。
「明日香は妊娠したんだって、それも隣のクラスの岡崎と」
濱田 夢弓 こいつの噂には私も耐えられなかった。
「―――――おいお前、さっきから何訳のわかんないことばっか言ってるんだよ‼」
「うっせぇな、落ちぶれた奴は黙って、ガキの面倒でも見てろよ‼」
「‥‥‥‥」
何も言い返せなかった、私は落ちぶれたんだ。
本当の事だ、カーストの上位から今じゃビリ争いをして、上位陣を楽しませてるようなものだ。
「何黙ってるの?」
この声は、滝沢 莉那。
私の親友だった人だ、スタイルと顔は私に負けないくらい良い。
でも彼女は、私を見捨てた筈だった、クラスで破滅したあの日に。
「何で莉那がこいつの肩を持つわけ?」
「あんたが気に食わないから」
「でも、でも‥‥‥」
「何あんたも黙り決め込んでるの?」
「黙るくらいなら最初から言わないでね、わかった?」
「それとあんたら取り巻きも」
濱田 夢弓と取り巻きは教室から出ていった。
顔を真っ赤にしてね。
「ありがとう」
「ねぇ、明日香」
「今日の昼空いてるでしょ?」
「誰も一緒に食べる友達いないから」
「クスクス」
バカどもの笑い声が聞こえる、やっぱり莉那も私をおもちゃにしただけか。
「まぁいいや、昼休みになったら来るから、一緒に食べよう」
私は莉那の言葉を半信半疑で疑いながらも承諾した。
「いいよ」
昼休み
本当に彼女は来た。
「何であんたはいつも階段で食べてるわけ?」
「嫌ならあんた一人で教室で食べなよ」
「‥‥それは嫌だ」
「何で?」
「もしかして、あんたも破滅したとか?」
少しにやけてしまった。
「な訳ないでしょ‼」
「あんたと一緒にしないでよ」
「あっそ」
私の小さな幸せはすぐ壊された。
「そう言えばあいつは?」
「あんたが来なくなってから、あいつも来なくなったわよ」
「何で?」
「知るわけないでしょ」
「あいつがまた戻ってきたら、次こそはあんたは殺されるわね」
一瞬だけ莉那の口角が上がったように見えた。
私の見間違いだといいけど。
「それでこれからあんたはどうするの?」
「私のグループに入る?」
「それともまた一人になって、噂たてられて、バカにされる?」
「決めるのは明日でいいかな?」
「あっそ、でも今のあんたはあの時とは全然違う」
「弱さの塊、いつでも殺せる、それがあいつ以外の奴でもね」
「だから精々気を付けてね、殺されないように」
「忠告ありがとう」
莉那は、ブランド物のポーチを忘れたまま、行ってしまった。
「あのバカ」
廊下を凄い勢いで走ってくる音が聞こえた。
「まだいた‼」
莉那だった。
「莉那ポーチ忘れてる」
「ありがとう‼」
「それと気を付けて、宇田川が明日から戻ってくるって、グループにきたよ」
「本当に‼?」
「本当よ」
莉那はそう言って私に携帯の画面を見せてくれた、そこにはしっかりと宇田川が言っていた。
「明日から私は帰ってくるよー」
「どうする?」
「あんたのグループに入れてもらうわ」
「わかった、他の子には私から言っとくね‼」
「宜しく」
さてと、犯人は誰かな?
宇田川 可那子を呼び戻したの奴は?
翌日
私の一日は早い、朝のHRギリギリで行くと何かしらの物が隠されている、だから私は皆が来る、二十分前に教室に入る。
「ガタガタ」
私の教室から、音がする、まさかもう来て何か仕組んでるの?
教室に朝日が差し込んで、影で何人いるか確認した。
相手は一人だった、これなら平気ね。
「ガラガラ」
扉を勢いよく開けると、音の正体と対面した。
災厄だった。
相手はあの宇田川 可那子だった。
「あれれ、あんたって確か阿部さんだっけ?」
ニタァーと、不適な笑みを浮かべる。
「何しに戻ってきたの、疫病神」
「何しにってそりゃあね、何処かの謎の失踪をした可哀想な鳥をを殺しに来たの」
「でも私は確かその鳥の羽を全部むしり取った筈なのに、今もこうして私の目の前に立ち塞がってる、こりゃあ只の鳥では無かったようだね」
「あんたは不死鳥だよ、でも不死鳥だからって死なないわけではないよね?」
「後一回殺せば、もう立ち上がることも出来ないんじゃないの?」
「その用意したかのような、痛い台詞はもう終わった?」
「終わったならもう席に座ってもいい?」
「そう、良かったじゃないでもあんたの負けよ」
宇田川は、私に携帯の画面を見せた。
そこには、私が男とラブホテルに入っていく写真が載っていた。
「それがどうしたの?」
「あぁー、ゴメンね写真間違えてた」
「まぁ後で分かるから、自分で見てね‼」
その日SNSには、女子生徒と、男がホテルの一室で薬物を摂取して性行為に及ぶ動画が投稿された。
その動画は瞬く間に拡散され、その日の午後十時にはいいねが二十五万を越えていた、ニュースに取り上げられるのも時間の問題だね、明日香ちゃん。
不死鳥でももう甦れないよ。




