87話 クンレン
俺達は部屋を移動し、別の大きな横穴に移動してきた。
不規則に植物が生えてはいるが、小さな競技が出来るくらいに広く細長い部屋だ。
「レイの言うことは概ね正しい」
先導してくれたN2が部屋に着くと、振り返ってそう言った。
俺の言う事とはつまり、武器の生成や訓練が必要だという事。
概ね正しいというからには、まだ他にやるべきことがあるんだろう。
「この部屋の作りと何か関係がありそうだな。この植物の配置は地上をイメージしてるのか?」
「うん。筋トレや素振りとかの基礎トレーニングも大事だけれど、本番を想定した実践が一番の経験値になるかなって。それに基礎トレーニングは私のアシストでなんとかなりそうだし」
「なるほどな。でも本番って、黒い機械達との戦闘をここで再現するのか?」
「そこまでのものはかなり先だけどね。これからここでやるのは体の動かし方の訓練さ」
そんな再現したらせっかく植えてくれた植物が消し飛んで、ピノにまた怒られちゃうよ、とN2。
そう話しながら右腕からミニN2を出すと、ミニN2達は部屋の奥へと走り去っていった。
気のせいだと思いたいが、皆手がバレルのような形をしていた気がする……。
そして今度は昨日遭遇した黒い機械と戦った時と同様に、白いふわふわの液体をN2に渡される。
言われるがままにハンドガンをイメージし、前回よりも小さめのハンドガンを生成した。
「レイには今から、この部屋の奥にある的をそのハンドガンで撃つ訓練をしてもらう。背が高い植物を配置してるからここからだと見えないけれど、的は目立つから一目でわかるよ」
部屋には3メートルくらいの植物が生えている。
ちなみに天井は5メートル程。
「重要なのは的を撃つことじゃなくて、出来るだけ攻撃をかわしながら的を撃てる位置まで移動する事」
「え、ちょ、攻撃ってなに」
「そこに引いてある線を越えたら、ミニN2達がレイの死角から攻撃してくるよ」
うん、ミニN2達が携えていたバレルは気のせいじゃなかった。
「そのハンドガンは的を撃つためのものだけど、ミニN2達の牽制に使ってもいいよ。威力は抑えてあるから、当てても大丈夫」
「いや、俺が当てられたらどうすんだよ」
それも服を丈夫に作ったから大丈夫、とN2。
そしておもむろに右腕をバレルに変形させ、俺の腹目掛けて一発放った。
痛みはない。
少し威力の強い空気砲で撃たれたような感覚だ。
「ほらね、じゃねえよ! 心臓に悪いから! マジで!」
N2から受け取った服が白い生地なのは、N2自身の金属を布に織り交ぜているかららしい。
故に多少の衝撃には強いらしく、威力を抑えたエネルギー弾も防げるということだそうだ。
「顔はダメって言ってあるから大丈夫だけど、油断しないようにね。撃たれたらそこの線からやり直しだよっ」
油断しないようにってどっちの意味だよ……。
まぁ、やるしかないか。
いつまでも守られっぱなしじゃ、かっこ悪いもんな。
少しでもこいつらの負担を無くせるように、俺も出来る努力はしていこう。




