86話 これからのヤクワリ
N2は真直ぐな眼差しを向けて言った。
いつになく真面目にものを言うので、少し話を聞いてみようと思う。
「共に戦えるよう……って、昨日の見ただろ? 今こうして生きてるのは奇跡と言ってもいい。それくらい俺にとってここは場違いな場所なんだぞ」
そう言いながら、改めて幸運の連続だったと感じる。
命を落とすタイミングは幾度となくあった。
それこそ、未だに夢なんじゃないかって思ってるくらい。
「分かってる。分かっているよ。君を危険に晒し続けたのは私の責任だ。すまない……」
「いや別に責めてるんじゃなくてさ……」
「レイ、私はこう思ったんだ。敵との戦闘面に関して、今までは全て私が対応出来ると思っていた。けれど思っていた以上に敵は手強い……。昨日の件でも、レイを守ることは出来たけど、私の攻撃は一切黒いロボットに通用しなかった。それに最後の浮遊体の攻撃は完全にレイを狙ったものだった。これまでの私達へのヘイトがレイに向かったとすると、攻撃しながら守り切れるかどうか……」
確かに、これまで遭遇した黒い機械達の中でも、言葉を話す個体はスペックが飛び抜けている。
スヴァローグは何とか倒せたが、昨日の黒いロボットはまだ余力があるようにも見えた。
というか絶対ある……。
「赤いロボットの言うことはごもっともさ。レイに怪我をさせないように出力は控えていたけど、私が全力を出しても多分昨日のヤツに勝てない気がする」
なるほど、それでパワーを抑えてたのか。
地下通路の時に撃ったエネルギー弾の威力が地上まで風穴をあける程だったからな。
あんなのを間近で乱発されたら俺の方が持たないのは目に見えてる。
「でも一度だけ、ヤツに通じた攻撃があったんだ。それはレイ、君がハンドガンで放った一撃さ」
「あれはお前達が黒いロボットを抑えてたから通じたんだろ」
「なら、そのあとの浮遊体を迎撃したのはどう説明する? 奴らに対抗する手段として、君自身の攻撃が要となると私は考えているよ」
……言われてみれば確かに。
「そこでだ。今後私はレイを守ることに徹する。今まで攻撃に使っていた分を、君の防御に使う」
「で、ハンドガンみたいな武器で俺が攻撃すると」
「そういうことだ。もう私はレイから離れないぞ。ピノのくっつきなんて全然ってくらいくっついちゃうんだから」
「ずっとは勘弁してくれ……。でも戦闘中はそれでいこう、俺も頑張ってみるよ」
謎にピノへ対抗心を燃やしているN2をよそに、心境は結構複雑だった。
あんな恐ろしい戦いの中に突っ込んでいくんだ。
それも攻撃できるくらい近い距離で……。
出来るだろうか……。
決してN2を信頼してないわけじゃないが、圧倒的に恐怖心の方が勝る。
けど、やるしかない。
やるか、殺されるのを待つかなんて、やる方に賭けるに決まってる。
となると、使える武器のバリエーションを増やしたり、その武器の扱いの練習も必要だな……。
星からの脱出がまたずいぶんと伸びそうだ……。




