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星屑のアーティファクト 〜かつて世界を救った小さな英雄達〜  作者: ゆるは
戦うための力

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77.5話 ドクターとLEチルドレン1 ~ギルフォードという男について~

挿入話です。

とある科学者の決意のお話です。

レイとは別視点になります。

 偶然という言葉は、あらゆる出来事の終着点を人間が都合よく解釈したに過ぎない。

 アーティファクトによる大戦が避けられなかった事実であるように、彼もまた終着点に向かって回り続ける歯車に過ぎなかった。


 ドクター・ギルフォードは、多少かじった程度の医学の知識とお節介なくらいの優しさを除いては、至って普通の科学者だった。

 世の中は戦争の真っ只中であったが、彼は一般職よりも高給だったため、不自由なく生活出来ていた。

 彼は当時特別な役職に就いていた。

 天才的な頭脳、発想などを持ち合わせていなかった彼が革新的な技術を発見したことは、まさに偶然と言える。


 アーティファクトの発展により戦争は激化し、人が住めない程にまで汚染された星も少なくなかった。

 彼の住んでいた星は当時地球と呼ばれていた星からは少しばかり離れていたが、物資を経由するには最適な経由地であったため、モノがよく流通していた。

 モノには当然、捕虜なども含まれる。


 捕虜にして自分の星へ持ち帰るか否かは国によって様々であったが、持ち帰る国が共通していたのは子供ばかりを持ち帰っていたという点だ。

 何故そうなのかを説明するにはまず、ある国が開発した非人道的な兵器の説明をしなければならない。

 アーティファクト同士の戦いは、基本的に星の環境に影響を及ぼさないというルールが決められている。

 故に機械達の壮絶な戦闘は地形こそ変えてしまうが、大気汚染や生物の多量死滅といった問題は起こらなかった。


 しかし、国同士の戦いとなるとそうはいかない。

 国力の差から、戦力の差が生まれ、一方的に負け続けていた国が遂にルールを逸脱した兵器を開発したのである。

 戦争の発端は国同士の星の領地の奪い合い。

 ならば星を汚染してしまえば、その星をわざわざ欲しがらないだろうと考えたのだ。


 彼らは植物が育たなくなる薬品を星中に散布する兵器を作った。

 他国がその事実に気付いたのは、薬品が撒かれた星に住む人々に影響が出始めた頃だった。

 初めに影響が出たのは大人だった。

 体表にアザのようなものが浮き出てきて、それが全身に回ると死に至る。

 更に質が悪いのが、その死体を放っておくと空気感染するウイルスを発生させてしまうことだ。

 症状を回復させる術は見付からず、アザが見られなかった人間を除いて、感染者は処分された。

 運よく逃れた大人たちは、せめて子供だけでもと捕虜用の輸送船に乗せた。

 これが子供ばかりが捕虜として運ばれてくる理由である。


 しかし悲劇はここで終わらない。

 子供たちを運ぶ輸送船が、子供たちが感染している事を知らない国に略奪される事件が相次いだ。

 戦争で人口の減った国が子供たちを奴隷として扱うために行われたこの略奪行為は一時的なものでしかなかったが、より広範囲に感染者が散っていった一つの原因と言える。

 こうして、アザの症状が出ていなかった故に感染していることに気付かれず、各星々に感染者がばら撒かれたのである。


『LOST EARTH』。

 通称LEと呼ばれる感染症は水面下で拡散された。

 LEにより各国の争いは更に激化する。


 ギルフォードの住む星にも影響が出るのは時間の問題だった。

 行き場を失くした子供たちが輸送船を乗り継ぎ、安息を求めて時折やって来るのだ。

 ギルフォードが暮らす都市は他の地域と比べて豊かではあったが、そういった得体の知れない孤児達を養うという甘い考えを持った人間は誰一人いなかった。

 ギルフォードを除いては……。



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