35話 じゃっくないふ
黒い生命体は両腕を前に突き出し、腕を変形させ始めた。
元々炎や液体を吐き出す部分が内部に仕舞い込まれ、細長い刀身が姿を現す。
デカN2の体は、星の至る所に落ちている金属の端材で作られている。
その金属に、金属の刀で対応しようというのだろうか。
しかもあんな細い形状の刀で。
デカN2が体勢を立て直すと同時に、黒い生命体は再びデカN2に突進していった。
負けず嫌いのN2は、今度こそ蹴飛ばされまいと、デカN2の腕を胸前で交差し防御態勢を取る。
黒い生命体は速度を増しながら、デカN2目掛けて突っ込んでいく。
距離が近づくにつれて、黒い生命体の刀が赤みを帯びていく。
なんだ?
何をしようとしてるんだ?
後手に回ればやつの思う壺だッ
きっとあの赤い刀には仕掛けがあるはずッ
「N2!! 受けちゃダメだ!!」
N2が即座に反応し、横に飛んで回避するが、振りぬかれた刀身がデカN2の左腕に接触した。
一筋の赤い線がデカN2の左腕に現れ、その線から先の部分が地面に崩れ落ちた。
金属を切りやがった!
刀身を高熱にし、溶かしながら切ったのか?
原理は分からない。
けど、確かにやつは金属を切り落とした。
デカN2は操作されているので、腕を切り落とされてもノーリアクションだが、N2は金属を切断した刀に興味津々だった。
「ずるいぞ! どうやったんだそれ!」
超振動か? もしくは超高熱? 、とぶつぶつ言っている。
次第には、切られたら分かるかも……とまで言い出した。
頼む、真面目にやってくれ。
お前も同じ材料で出来てるんだから、切られたらまずいだろ。
よし、とどこか聞き覚えのあるニュアンスで、N2が何かを決意した。
デカN2の切られた方の腕を振りかぶり、そして黒い生命体の方へと振り下ろす。
すると、腕の付け根から先が切り離され、黒い生命体の方へと飛んでいった。
どうやらチップを操作して、自ら切り離したらしい。
黒い生命体は切り離された腕を刀で一刀両断し、何事も無かったかのように構え直した。
どうすんだよ、左腕なくなっちゃったぞ。
更に細かくなった腕が地面に落ちる頃、N2がむむむ、と力み始めた。
そして響く脳内アナウンス。
(「N-2049が新たに[arts]を作成しました。[arts'No_08]として登録します」)
で、でた……。
前も似たようなこと言ってたな。
けど、今回はシチュエーションが違う。
何がきっかけだ? と考えていると、N2の右腕が淡く輝き始めた。
一瞬眩しい程の光を発した後、N2の右腕は白色のナイフに変わっていた。




