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3話  ノウリョク

 宇宙船に戻った俺たちは、これからどう行動するかを話し合った。


 まずは宇宙船の修理について。

 宇宙船の運転は出来るが、修理の知識については誇れるほど知識がない。

 というのも基本的に事故でも起こさない限り宇宙船内の機器が使用不可になるということはなく、その安全性に高を括った結果がこれだった。


 一方N2はというと、先ほどスピーカーを体内で生成した時に見せられたとおり、知らない機器でも理屈さえ分かれば、その機器が持つ力を取り込むことができるらしい。

 その要領で宇宙船内部に使用されている機器を解析し、部品さえあれば複製及び、修理ができるらしいのだ。

 先ほどの戦闘で見せた、腕をバレルに変形させる能力はそれを応用したものなのだろう。

 威力が数倍に盛られていたことは触れないでおくことにする。


 ちなみに、黒い生命体から回収出来たパーツは量が少なく、宇宙船を再び飛ばせる程度に修復するには全く足りていないらしかった。

 だがN2と部品さえあればこの星から脱出可能な事が判明し、内心ほっとした。



 次に、食糧問題。

 水は出先で洗車をするために多少は積んである。

 けど、未知の星に遭難する予定などなかったので、食糧はスナック菓子程度しかなかった。

 これではスナック餓死してしまう。

 惑星には見たところ原生している植物もなく、動物もいないらしい。

 さて、どうしたものか。



 最後に、黒い生命体の問題だ。

 もしN2の予想通りやつが生きているのであれば、再びN2を破壊しにやってくるに違いない。

 先ほどの戦闘で使用していたのは拳銃程度の威力だった。

 けど、幾度となくN2が破壊されたとなると、別の武器を持っていてもおかしくない。

 ふと、ここで疑問が浮かぶ。


「N2がさっき言ってた、破壊された状態って、どういう状態なんだ?」


「程度にもよるけれど、自分で行動が取れなくなった時かな。一番酷いときは、レイでいう心臓の部分だけの状態にされたとき。ここだけはあいつでも破壊できないらしい。心臓の部分だけになると転がるくらいしか出来なくなるから、転がりながらその辺の使えそうな部品を拾ってはくっつけ、転がっては拾いを繰り返すんだ。だから、今の私の体はその辺に落ちていた金属でできているよ」


 N2は、やれやれ大変だったといった感じで、聞いた以上に答えた。

 たしかに手、足、胴体、頭にそれぞれ金属片が使用されているのだが、頭に付いた目の部分以外は左右非対称で統一感があるわけではなかった。

 N2のいう心臓の部分は真空管のようなパーツで、中身は溶液で満たされている。

 中心には四角いサイコロ状の物体が、等間隔で回転しては止まりを繰り返している。


「それを何度も繰り返してたのか…。ひどいな…」


「うむ、しかしレイが助けてくれた」


「いやいや、俺がしたことと言えば、黒い生命体に金属片を投げつけたことと、N2に触れたことくらいだよ」


「そう、あの時君が良質な電気エネルギーを分けてくれていなかったら、また私は破壊されていたかもしれなかった」


「え?」


「ん?」


 電気エネルギーを分け与えた?

 ――あの気怠くなった感覚の時か!

 人間の神経の伝達は電気信号で行われているらしいけど、それを分け与えたってことなのか?

 まぁ、無事だったしいいか。


 おそらく、今後N2と行動を共にすることは、あの黒い生命体と再び戦闘を交える事と等しい。

 N2は問題ないかもしれないが、俺にとっては死活問題だ。

 銃弾でも撃ち込まれたら怪我では済まない。

 それに宇宙船にいるところを狙われたら、船さえも破壊されかねない。


 何か対策は出来ないものか、と悩んでいると、


「なら、シェルターでも作ろうか」


と、N2。


「出来るのか?」


「簡易的なものだけどね。単に壁に用いるなら適当な金属の端材でも、重ねればそれなりに強固になる。それに材料はたくさんあるからね。ただ問題は、人手が足りないことかな。まだあいつが生きている可能性がある以上、早めに取り掛かった方がいい」


 ふむ、と考え込んだN2は、先ほど回収したパーツに目を向ける。


「このパーツ、私が預かってもいいかい?」


 うん、と俺が答えると、N2はパーツをICチップのようなものに作り替えていった。


「何作ってんの?」


「シェルターづくりに必要な人手さ」


 そう答えると、せっかく作ったICチップを船外のガラクタの山へ投げてしまった。

 すると、投げたガラクタの山からもぞもぞとN2の半分ほどの大きさの機械が這い出てきた。

 操作対象にもよるがこの大きさならば5体ほど操作が可能らしい。


「名付けてミニN2だ」


「まんまだなおい」



 こうして1人と、1体と、小さな5体のシェルターづくりが始まった。





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