19話 セイチョウ
「おはよう、レイ。見て、木の実」
ベッドから身を起こすと、N2が木の実らしきものを両手いっぱいに抱えて立っていた。
寝起きでぼんやりした思考を、無理矢理覚醒させる。
「まてまて……。順を追って説明してくれ……。俺が寝た後、何がどうしてそうなった? 」
よく見ると、N2の足は泥で少し汚れている。
恐らく俺が寝ている間、外に出ていたのだろう。
「レイが寝て、しばらくは図鑑を眺めていたのだが、45分程経った頃アメが止んだんだ。シェルターの入り口を開けたら、だんだん外が明るくなって、ぽかぽかしてきた。雲の隙間から光がさして、それはそれは心地いい光景だった」
船内で色々している間に、雨が上がって夜が明けたのか。
「それでね、それでね、夜明け前は暗くてコケしか見付からなかったけれど、よく見たら小さな芽が出ていたんだよ。朝が来て、明るくなってから気づいたのだけれどね。何の種類か確認しようと近くに寄ったら、みるみる成長していたんだ。葉を広げ、茎を伸ばし、また葉が増え、あっという間に私の丈と同じ高さになった」
やはり、発現したのはコケだけじゃなかったか。
あの雨で、地面に眠っていた種子が目覚めたのか?
「そこからは圧巻だった。更に背を伸ばす植物、実をつける植物と様々で、その時実をつけた植物から、ちぎってきたのがこれだよ。その際に土の水分が減っていくのも同時に確認できた。以上、報告おしまい!」
なるほどな……。
経緯は大体分かった。
「レイにも景色が変わっていく様子を見てもらいたくて、起こしてしまった。すまない」
「いや、むしろ助かった。ありがとう」
よかったぁ、と肩の力を抜いた際に、木の実がいくつかポロポロと、N2の腕から零れ落ちていく。
あわわわ、と拾っては零しを繰り返すN2に、一度木の実を机に置くよう促す。
「木の実もありがとな。とりあえず置いておこう。早速だが、景色を見に行くか」
小さめの皿に木の実を移し、N2と共に船外へ向かった。




