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130話 ピノのしわざ

 ドングリが成長し、やがて10メートル程の大きさになった巨大な人型の樹木達20体。

 ピノがこれまで発現させてきた植物とは違い、根を持たず自立し、俺達を乗せている1体含め計21体各々が黒い機械達を取り囲むように歩き出した。


「これ全部ピノが操ってるのか?」

「いいえレイ様。今意思疎通出来てるのはピノとレイ様を乗せたこの集合体のみです」

「それじゃあ俺達も攻撃されるかもしれないってこと? だとしたら急いでN2達を回収しないと!」


 N2とラズは、未だやつらのアメーバに拘束されたままだ。

 身動き取れない状態でこんなのに攻撃されたら、それこそ致命傷になりかねない。



「あはは、それはありえません、先程魂を込めたじゃないですか」

「あいつらを倒すって念じたやつ?」

「そうです。彼らは今その魂の意思に則って動いています。それに……」


 俺達の乗る巨人が数歩移動し、地上から蔓が伸びてきたかと思うと、足元へぽとりと何かが落とされた。


「なんなんだこりゃ一体……。ピノ……お前の仕業なのか?」

「ふふん、そうです、ピノの仕業なんです!」


 蔓が地面から回収してきたのは、依然として黒いアメーバに拘束されたままのラズだった。


「ラズ! よかった、無事だったか!」

「あぁ、けど意識をなんとか保ってるレベルだ。このねばねばをなんとかしねーと動けそうにねぇ」

「危険ですので、レイ様は触れないようにしてください。おそらくエネルギー吸収タイプです。時間はかかりますが、多分解除出来ます」


 ラズにまとわりついたアメーバを見たピノが、なにやら自信あり気にそう言った。


「うぅ……情けねぇ……」


 横たわる以外になす術がないラズは、気怠そうにつぶやく。


 続いて、地上から伸びた蔓がまた何かを拾い上げ、俺達の乗る巨人の肩へぽとりと落とした。


 それは、濁った黒で半分侵食された白いボディーに、背中からは歪に伸びたアームを4本生やした姿をしていた。


「N2……。お前……こんなになっちまって……」



 ラズと同じく、N2もアメーバに捕らわれているままだ。

 おそらく無茶をして暴れたせいで、体のところどころにあざのような黒ずみができてしまっている。


「……エネルギーを限界まで吸収されたのか、今は休眠状態にあるようですね。少しかわいそうですが、目覚めて暴れられても困るので……」


 ピノはそう言って、ぐったりしたN2をアメーバごと頑丈そうな蔓でぐるぐると巻いていく。


 希望的観測でしかないが、やつらを倒せば完全に直るとまではいかなくても、容態もきっと良くなるはず。

 それまで辛抱しててくれ、N2。


 巨人がさらに移動し、またもや蔓が何かを拾い上げる。

 蔓から肩に落とされたのはチェルノボーグが爆発した際に分離した片腕と、これまた酷く傷付いた状態のスヴァローグだった。

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