とある噂
前の2話とはまた書き方が違いますよー
「こんな話を聞いたことはないだろうか」
言葉にするにしろこれから噂を語る者が心の中で思うにしろ
世間一般に語られる噂にはこの言葉が枕詞にあるだろう
あるいは
「ねえねえ、こんな話知ってる?」
でもいい
始まりは始まりに過ぎないのだから
始まりの言葉であるところの枕詞
なんてなんでもいい
とりあえず
「不老不死になる方法」
とその始まりの言葉の後に続いていれば……
さて、この方法
前の2話を読んだ人には見当がついているだろうこの噂
そう、この噂にはたしかな成功例がある
いや読者の皆様からのツッコミはあえて無視して話そう
「それ」
今では名も無くし
正しく「名状し難い何か」と化している
そう
「それ」
である
誰しも願うであろうこの
「不老不死になる方法」
の噂
成功例があるのならばその方法も
きっと
知っているものがいるのだろう
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「ねえねえ、こんな噂知ってる?」
と目の前にいる友達3人に
話し始めたのは
噂に敏感なお年頃な中高生であろう
女子生徒だ
「なになに? めっちゃ気になるんだけど」
その女子生徒の友達のうちの男子学生が答える
「え?
なんの話?超気になるんだけど〜」
間延びしたような声で男子学生に追従するのはちょっと茶目っ気を出したのであろう
ケバ目な化粧をした女子学生?だ
「もしかしたらみんな知ってるかもしれないけどね」
と女子学生は話し始めるあの噂を
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「不老不死になる方法っていう話なんだけど、聞いたことある?」
「なんだよ、期待させといて昔から何回か聞いたことあるやつじゃんかよ」
「え〜、でももしかしたら知らないウワサかもしれないし〜
ちょっと聞いてみようよ〜」
「そうだよ、まだ私が話し始めてもないのに勝手に決めないでよ」
「そんなこと言ってもなぁ…
お前は聞きたいのか?」
ここで男子生徒が誰かに声をかける
「………………………………コク」
これまで会話に参加しておらず無口な印象のある見た目で目立たない男子生徒が
やはり言葉もなく、頷きだけで答える
「あっ、ごめん本気で忘れてた」
「しょうがないっしょ〜
だって、無口にもほどがあるし〜」
「いや、お前らひどくねぇ?
こいつ居たし なぁ?」
「………………………………………コク」
なにやら先ほどよりも反応が薄い気がしないでもないが色々、薄い男子生徒が
やはり頷きで答える
「ほらぁ、見ろよこいつの顔
ちょっと怒ってるじゃねぇか」
「そんなこといわれても
うちらわかんないし〜 ねえ?」
「うん
その顔から感情を読み解くのは普通に
超能力レベルだと思うよ……?」
「そうかな?
まあ、とりあえずその噂を聞かせろって
悪いこと言ったと思ってってから
な? 気になってしょうがねぇよ」
どうやら
やっと本題に入ってくれるようである
作者としても一安心だ
「そうそう、不老不死にになる方法なんだけどね………………………」
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あるところにいつか終わりが来るもの
どんなものにもやってくる
その「あるもの」にね
終わりが来なければいいのにって
真剣に、そう誰よりも真剣に
考えていた「何か」が居たんだって
え?
何かってそこは人だろうって?
しょうがないじゃん
私も「何か」って聞いたんだから
その話をしてくれた人はね
その「何か」を知らないみたいだったよ
だから私も知らないの
とにかく、その「何か」はとても長い間
何にでも必ず来る終わりを
怖がりながら
怖がらなくていい終わりが来ない方法を
考えていたんだって
それで、この話をしてくれた人も
もう少しで終わりが来なくなるかもしれない
ってところだ、って言ってた
だからこの噂には本当のことも混ざってるかもしれないよ…
まあ、私はこの話は全然信じてないんだけどね
なんで? って
だってその「あるもの」って
「死」そのものだって言ってたんだから
そんなに慌てないでよ
怪しい宗教団体とかに捕まったわけじゃないから
だって、この話をしてくれた人は
こうも言ってたから
「ただ、誰かに知っておいて欲しかった」
それだけでなんで話を聞いたのかって?
そんなこと私にもわからないわよ
ただただ興味が出ただけで…
ハイハイ、こんなのは今回きりよ
私だって怪しい宗教団体とかで人生を棒に振りたいわけじゃないんだから
続けるわよ?
その方法はね……
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嘘か真か日々の日常の中でささやかに語られる噂話
その中にはきっと真実など一握りしかないのだろう
しかし、その一握りの真実でさえ時に
嘘である、とされてしまうのが噂話の悲しいところである
しかし、この「不老不死になる方法」
という噂話
重大な欠落…いや、重大な過誤があるのに
読者の皆さんは気づいただろうか
しっ、そのことに気づいたあなた
それはもしかしたら開いたらほんの一握りの希望が眠っているといわれるあの箱のようなものかもしれません
決して人には話さぬようにお気をつけください
しかし、この噂話を信じたそこの……
人?いや、なんなのでしょうかね…
そういえばどこかで女子学生が1人いなくなったような…
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いや、やはり
噂は噂だったのでしょう
だって、男子2人と女子1人で
なにも気にすることなく
今日も
「ねえねえ、こんな話知ってる?」
なんて話しているのですから
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「それ」は今日も考える
果たして自分は何であったのか
そして、自分は何なのか
きっとその答えが出ることはない、と
意識の底に意識しながら
前回以前を読んでくださっている方
今回も読んでくださってありがとうございます
今回が初めてという方
読んでくださってありがとうございます
もう一個と違って感情が入らないと書けないので
入った感情で書き方も変わるかもしれません
(もう一個は気分が乗らないと投稿しません
だって、基本読み専だもの)