終わらない
気がつくと暗い、それこそ深い海の底深海よりも暗い場所にいた
もがこうとしても手も足も動かず
まして指の一本、まぶたですら動かせない
(ここは……)
動かそうと思った指やらまぶたの感覚すらなく
(ここは…………どこだ…)
この場に至るまでのことを思い出そうと記憶を探るがそもそも探るような記憶すら無く
(だれか……)
側にいてくれるような存在も居らず
(まだ……終われない)
在るとわかるのはただその"心"のみだった
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意識が起きてからどれくらい経っただろうか
"それ"は消えもせずただそこに在った
いつか誰かに見つけられるのだろうか
もし見つけられたとしてその誰かは"それ"にどう思うのだろうか
喜ぶだろうか、それとも怖がるだろうか
泣くだろうか、怒るだろうか
そもそも見つけた時に"それ"をどう見るのだろうか
生き物として見るのだろうか
ただそこに在る物体や物質の見るのだろうか
"それ"はただひたすらに考える
何もできず、覚えている記憶すらもなかった
しかし、心だけはあって
覚えていないことを判り
動けないことを知り
それでも考えることはできるただ…ただ考える
"それ"は元は何であったのだろうか
人だったのだろうか
犬だったのだろうか
猫やネズミ
はたまた馬であったのだろうか
魚だったのだろうか
鯨だったのだろうか
鯆やアシカ
はたまたメダカであったのだろうか
植物?動物?そもそも生き物?
もしくはどれでもなかったのかもしれない
全てであったかもしれない
今となってはわからない何であったのか何でもなかったのか
ひたすらに考える
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きっと"それ"はどこかでわかっていたのかもしれないこの状況が終わることはない、と
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光など差さず
永遠に続くこの場所はかつて誰もが夢見た
"楽園"だった
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