文ちゃんはスクープの為なら進んで身売りするって慧音が言ってた
自宅にて新聞製作に励む射命丸文。
ノックも無しに開かれた扉の開閉音に苛立ちと嫌悪感を覚えつつも、文が振り返る。
椛「お久しぶりですね文さん」
来た。清く正しい射命丸に、貞操の危機がやって来た。
文「くっ!出やがったな犬走!」
素早く椅子から立ち上がり戦闘の構えを取る。
季節は春。犬の発情期。例外にもれず椛も発情中。もっとも、椛の場合は年中発情期だが。
椛「うふ、グフフフ、文さんはいつ見ても可愛くて魅力的ですねぇ。匂いも良い。昨日はお風呂に入っていませんね?スクープを求めて一晩中飛び回っていたせいでイヤらしいメスの芳香を放つ汗の香りがプンプンしていますよぉ〜。これはもう私を誘っているととって良いですねそうですね。さぁ、文さん。早く私とまぐわいましょう」
ナムアミダブツ!なんと気持ちの悪い言葉回しであろうか!流石の射命丸もこれにはドン引き!
文「無駄だと思うけど忠告します。今すぐ出て行ってください。さもなくば殺します」
椛「断ります!この犬走椛!文さんとセックスできるなら火の中だろうが水の中だろうが一片の躊躇も無く喜んで飛び込みます!さぁ文さん!早く私とまぐわいましょう!!!」
文「うおおおおおおおおおおお!!!」
短距離走選手の如く勢いよく飛び出す両者。先手を制したのは射命丸だった。椛の片足を両腕でガッシリと捕らえ、素早く関節技へと移行する。
文「とった!!このまま一気に足の骨をブチ折る!!この射命丸容赦せんッ!!」勝利を確信した射命丸だったが、次の瞬間、その表情が困惑の色に染まる。
文「なにっ!?」椛の足はウナギの様な滑りを帯びており、予期し得なかった感覚と滑りにより、射命丸の関節技は無情にも不発に終わる。
文「ぐえぇっ!!」
攻めてを欠いた射命丸に重なる衝撃。
椛の両腕が、射命丸の首をとって締め上げる。
椛「くっくっく。残念でしたねぇ文さん。文さんの速攻に対応すべく、私は予め全身にローションを塗り込んでいたんですよ」
文『ぐ、う、迂闊でした。私とした事がそんなしょうもない手すら見抜けなかったとは!』
椛「ハァ、ハァ…苦しそうな顔の文さんも凄く素敵です興奮しちゃいます文さんはどんな時も可愛いんですねもう我慢できません結婚しましょう心配しなくても良いですよちゃんと殺さない程度には加減しますそうですねまずは監禁から始めましょう」
文『くそっ!!これはやばい!!このまま落ちたら間違いなくこの糞犬にファックされちまう!!なんとか、なんとかしなくては…』
必死に足掻く射命丸だったが
文『いやムリ。格闘漫画じゃあるまいし完全に決まったチョークスリーパーなんてそう都合よく外せるわけないじゃん』文ちゃん倒れる。
椛「や、やった。文さんを倒した。遂にこの時が来た。誰にも邪魔されず、文さんを好き放題に犯しまくる時が……先ずは服を脱がしましょうか」
椛は荒い呼吸で、気絶する射命丸の衣服を剥ぎ取っていく。
しかし、不意に聞こえた扉の開閉音によって、椛の視線が射命丸からそちらへと移る。
勇儀「……………」
椛「あわわわわ勇儀さん!!?違っこれには訳が!!」
勇儀「イヤアアアアアアアァァァァァァァァ!!!」
純情ウブな勇儀は、信じられないと言った表情で顔を真っ赤にしながら、今まさに恐ろしい犯罪を行わんとしている椛を殴り飛ばす。
椛「うごおっ!!!」殴り飛ばされて壁に叩きつけられた椛が倒れる。
勇儀「文!!大丈夫か文!!おいしっかりしろ!!」
予想外の事態に混乱する頭の中、とりあえず射命丸を起こそうとした勇儀が、射命丸の顔を、やや強めに手の平で叩く。
文「…う……うん…」
勇儀「よかった!目をさましたか」文「イヤアアアアアアアァァァァ!!!」
射命丸のパンチが勇儀の顔面に突き刺さる。勇儀「ぶっ!?お、おい落ち着」文「うわああああああ!!!うわああああああああ!!!」なんとか宥めようとする勇儀だったが、恐怖によって混乱した射命丸は尚も暴れ続け、勇儀の顔面に無数の往復ビンタを浴びせ続ける。勇儀「ブホッ!!落ちつオゥっ!!文私だってウブホォッ!!」文「ああああああああああああああ!!!」射命丸のヒザ蹴りが勇儀の顔面を撃ち抜く。勇儀「ぐべらっ!!!」勇儀倒れる。
文「はぁ…はぁ…はぁはぁ……」
ようやく落ち着いた射命丸が辺りを見渡せば、気絶して倒れる勇儀と椛の姿。
絶好のスクープチャンスだ。
射命丸は押し入れから布団を取り出し、勇儀と椛の衣服を剥ぎ取ってから、2人の体を布団の上へと運ぶ。
小さく響くシャッター音の後、作業机に向かう射命丸。
〜後日の人里〜
【スクープ!白狼天狗と鬼の熱愛発覚!語られる怪力乱神~夜の営み編~】
射命丸の悪質な捏造新聞が今日も里にばら撒かれていた。
パルスィ「ちょっと勇儀!!これ一体どういう事!?説明しなさいよ!!」
勇儀「待てパルスィ!!これは何かの間違いだ!!私も何がなんだかサッパリなんだよ!!」