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四話でも説明しましたがこの小説は健全小説です。今回の物語の後半で行われるやりとりはあくまでもただの乗馬運動であり、R18認定される要素は一切ありませんって慧音が言ってた

主な登場人物


稗田阿求:幻想郷縁起の編纂という大役と、人付き合いが絶望的に苦手な呪いに板挟みにされる悲劇のヒロイン。


驪駒早鬼:任侠団体勁牙組の組長。脳筋バカな一面と、意外に乙女な一面を併せ持つ。鬼傑組組長とのメンチ合戦が始まった瞬間に思わず視線を逸らしてしまった事がある。気合いでは負けてなかった筈だ。それなのに、なぜか奴と視線を合わせられない。顔が熱くて心臓がバクバクする。この胸の高まりはなんだ。


「オッゲェ"ゲボロロロロ!!!」


鬼形獣異変から数日後の人里。一通りの少ない裏の路地にて阿求は盛大にゲロをぶちまけていた。

稗田家の御令嬢がこのような痴態を晒すハメになった理由は、先日起こった鬼形獣異変に他ならない。今回の異変の主要人物である者達を幻想郷縁起に記すのは稗田家の当主として生まれた阿求の使命だ。

自身の責務を果たす為、鬼形獣異変の主要人物のひとりである驪駒早鬼に取材の約束を取り付ける事には成功したものの、驪駒早鬼の住む畜生界へと向かう途中で事件は起きた。否、たった今起きたと言うよりは、異変の時から現在進行形で起こり続けていると表現した方が適切だろう。


阿求『ううぅぅ……気持ち悪い…吐き気がおさまらない。行きたくない行きたくない。取材なんかしたくない。てゆーか人と関わりたくない。ずっと引きこもっていたい。最近やけに見かける動物霊の数が多くなった時から薄々イヤな予感はしていたけどやっぱり異変だったよチクショオ。異変が起こる度に幻想郷縁起に記す事柄が増えるからそれに伴って異変に関わる人達の事も書き足さなければいけないって言うのになんだって皆訳の分からない異変ばかり起こすかなもぉー。私の苦労も少しは考えてほしいわ。幻想郷縁起に適当書く訳にも行かないからこうして一人ずつ異変に関わったものに取材して回ってるけどそれがコミュ障の私にとってどれだけ苦痛だと思ってるのよ。あぁもうなんで稗田家の当主なんかに生まれてしまったかなぁ。もっと人と関わらない家柄に生まれたかったなぁ。てゆーか人になんて生まれたくなかった。もっと他の…誰とも関わらないような…貝にでも生まれたかったなぁ。そう、貝になりたい。生まれ変わるなら私は貝になりたい』


阿求は他者とのコミュニケーション能力が著しく欠如していた。時としては他者の私生活に踏み込む事も必要とする幻想郷縁起の編纂に当たって致命的な短所を抱えつつも、先祖代々伝わる書物の作成作業を自分の代で途絶えさせる訳にもいかず、精神的ストレスによる3度目の嘔吐にも耐え、阿求は再び、畜生界へ向かってふらつく足で歩き出す。


阿求「ハァ…ハァ……もう今日は出直そうかしら…けどせっかくここまで来たんだし、なによりドタキャンは流石にまずい。けど行きたくないなぁ。いっその事どこかで事故にでも巻き込まれたら行かずに済むのに…」


なんともネガティブな独り言を呟きながら、視線を伏せながら重い足取りで摺り足気味に地面を擦る。


阿求『驪駒さんてどんなひとなんだろう。優しくて話しやすい人ならいいなぁ。取材させてくれって頼んだ時は快諾してくれたけど、あんな短時間じゃ人柄なんて分からないよね。あの時は明るく答えてくれたけど地雷とか持ってて急に豹変とかしたらどうしよう。そんで地下牢とかにぶち込まれて健全小説では表現できないような酷いこととかされたら……う!!考えたらまた吐き気が!』


阿求「ウゲェア"ア"アぁぁぁぁ!!!」


本日4度目の精神的ストレスによる嘔吐。


阿求はコミュニケーション能力に欠けている上に度を超えたネガティブ思考の持ち主だった。

まだ畜生界にすら着いていないのにこのザマである。

必死の思いで驪駒早鬼の住居のすぐ前にまで辿り着いた時には胃液すら吐き尽くしていた。

息も絶え絶えに阿求が俯いていた顔を上げると、巨大なビルの屋上の頂上部に、勁牙組と書かれた看板が張り出されていた。


阿求『うわ、凄い立派なビルだ。驪駒さん良いとこに住んでるんだな』


建物を見上げてからしばらくしたところで、少し視線を下げ、立派な門扉の隣に取り付けられていたベルに視線を移す。


阿求『覚悟を決めるのよ稗田阿求。取材さえ終われば家に帰れる。後はもうここを乗り切るだけだ』


阿求「いざ、南無三ーー!」


ぎゅっと目を瞑りながらガラガラとベルを鳴らすと、重苦しい音と共に門扉が内側へと開いて行く。


阿求「これは……は、入っていいのかな…お邪魔しまーす」


常人からすれば大したことない声量だが、普段あまり喋らない阿求からすれば大声に相当する声量の為に、慣れない動きを強要された声帯からもれでた声は若干震えており、かつ裏返り気味だった。


「ウオォッス!!!御勤め御苦労様デェス!!!」


そんな阿求の挨拶とは真逆の、凄味に満ちた野太い声が左右から響き渡る。


門扉を潜ると、石畳がビルに向かって一直線に伸びており、石畳の左右に分かれた芝生の生えた庭には、サングラスを掛けた無数のオオカミ霊達が綺麗に並び立っていた。


予想だにしない光景に、阿求の脳内をクエスチョンマークが埋め尽くす。

なぜオオカミがサングラスを掛けているのか。

不自然なまでに気合いの入った挨拶はなんなのか。


脳内で湧き出た疑問が、特に計算をするでもなく自然に、異様に立派なビルや堂々と掲げられた勁牙組の看板とも関連付けられていく。これらの断片的情報を組み合わせた先に浮かび上がる答えは


阿求『ヤ○ザの事務所だここぉ!!!』


阿求の豆腐メンタルを極大の衝撃が削る。


阿求『へ?え?マジ?マジでヤ○ザの事務所なん?風の噂でなんとなくは聞いていたけど、驪駒さんって本当にヤ○ザの組長だったの?なんつうとこに足を踏み入れたんだ私は。い…いまからでも帰れないかしら……てゆうか生きてここを出られるのかしら………なんにせよこの状況は不味い。なにかうまいこと言い訳を考えて早く逃げださないと…』


脳内でパニックを起こしながら棒立ちになる阿求の元へと、ビルの中から顔を出したひときわ大柄のオオカミ霊が近付いて来る。


若頭「稗田様、本日は御足労いただきありがとうございます。組長から話は伺っております。本日の案内役を努めさせて頂きます若頭のウルフと申す者です。さ、中へどうぞ」


阿求「ふぇっ!?よ、よろしくお願いしましゅ!!」


ただでさえコミュ障の阿求が、テンパった状態で気の利いた言い訳を用意できるわけがない。

若頭の呼び掛けに二つ返事で答え、促されるままにビルへと入っていく。


阿求「フゥー……フゥゥ…コヒュッ!ヒィ、ヒィ」


阿求『落ち着け、落ち着くんだ私。なにも殺されると決まった訳じゃない。第一これはただの取材なんだ。私は別に勁牙組と対立してなんかいないしする気もない。万が一粗相をしでかしてしまったとしても、相手も同じ人間(?)なんだ。落ち着いて話し合えばきっと分かってくれる筈。うん大丈夫!なにも問題ない!とにかく刺激しないようひたすら下手に出つつ、早めに取材を切り上げて速攻で家に帰ろう』



阿求は上昇するエレベーターの中で、半ば過呼吸になりつつお粗末な脱出計画を考える。


若頭「稗田様、差し出がましいようですが御気分が優れないので?」

阿求「でゅえっ!?いえスイマセン!なんでもないですハイ!」

若頭「そうですか。初めてのご来訪で勝手が分からないかと存じますが、御客人に不自由をさせる訳には行きません。御入用とあらば存分にあっし達をこき使ってやって下さい。御自宅だと思って寛いで頂ければ幸いです」

阿求「ど、どうも、お構いなく」

阿求『できるかぁぁぁぁ!いや心遣いは嬉しいけども!』


若頭と話していると、エレベーターが目的地の最上階に着いたのを知らせる電子音を鳴らす。


若頭「どうぞお進みを、組長がお待ちです」


エレベーターの開くボタンを右腕の肉球で押しながら、若頭が室内へ入るよう促す。


エレベーターから出てすぐの所に敷かれたすのこ以外の箇所には部屋いっぱいに畳が敷き詰められている。ビルには似つかわしくない光景が目に入った。


早鬼「おー良く来たな阿求!ほら、靴脱いでこっちに来なよ!」


阿求に気付いた早鬼が、座った姿勢のまま阿求を手招きする。


若頭「それでは、自分はここで失礼します」


阿求「あ、どうも、ありがとうございました」


若頭に挨拶を交わしてから、靴を脱いで畳に足を踏み入れる。


早鬼「ささ、座って座って」

阿求「は、はい」


木製の机を挟んで早鬼の対面となるすぐ側まで進んだところで、敷かれていた座布団に正座で座り込む。


机の上には、早鬼の手前と阿求の手前に湯飲みが置かれており、中央には高級そうな小洒落た包みに巻かれた色々な種類のお茶請けが置かれていた。


早鬼「遠いところまでご苦労さん!ほら、まずは小腹を満たしなよ!」


そう言いながら、早鬼が机の中央に置かれた大きな菓子入れを阿求の方へと手で押し出す。


阿求「ど、どうも、いただきます」


勝負は既に始まっている。菓子入れを見た瞬間、阿求が素早く手に取るべきものを計算する。


阿求『この小さな不透明の円形状の袋は飴玉だろう。オレンジ味の飴玉は大好物だが中身が嫌いな梅干し味ならその時点でアウト。胃液は吐き尽くしたから戻す事はないにせよ咽せるのは確実。ここで中身が不明な飴玉を手に取るのはリスクがデカすぎる。お煎餅は普通に美味しいけど食べカスが溢れる確率が激増するからこれも駄目。いま手に取るべき物で最も正解に近いと言えるのはこちらのチョコレートだろう』


この間、0.2秒。不自然な動きを見せないまま手を伸ばしてチョコレートを取り、袋を開けて中身を口に含む。


早鬼「畜生界名産の高級チョコレートだ。結構いけるだろう」

阿求「そうですね。とても美味しいです」



阿求『ニガ!なんだこれ苦ッ!!カカオ何パーセント!?100どころか200ぐらいあるぞこれ!く、口直ししたい!こっちのお茶を飲んで………いや待てよ!?あんまり早くガッツいたら口直しに飲んだと思われてたった今ついた嘘がバレるかもしれない。そうなったら最悪………』早鬼「テメェ私の事舐めてんのかゴラァァァ!!!」阿求『……みたいな事になって最悪ころ、殺され………』


恐怖で硬直した阿求の全身が小刻みに震えだす。


早鬼「せっつくようだけどお茶も飲んでみなよ。ウチの畑で取れた新鮮な茶葉を使ってるんだ」

阿求「いただきます!」


湧いて出たチャンスに素早く飛び付く。

早鬼「ど、どうだ?ウチの茶葉は稗田家のお嬢様の口にうまく合ったかな?」


阿求「お、美味しいです」

早鬼「そうか!よかった!」

阿求『これは本当に美味しい。凄く味わい深いけど、閉まるとこは閉まってて全然くどさがない』

阿求「こんな美味しいお茶は初めて飲みました!さきほど自家製だと仰いましたが、どんな方法で栽培しているのですか!?」

早鬼「肥料に人間霊を使ってる事以外にはこれといって特別な事はしてないよ」

阿求「ブウゥゥー!!!」


早鬼の言葉を聞いた瞬間、反射的に口に含んでいたお茶を畳の上に吐き出してしまう。


早鬼「うおぉぉいどうしたぁ!!??大丈夫か!!??」

阿求「ぎゃああああああああすいませんすいません!!!急いで拭きますんでお許しくださいいいいい!!!」


阿求が袖を伸ばし、お茶で濡れた畳に自らの着物を擦り付ける。

早鬼「待て待て待て!!そんな高級そうな着物を雑巾みたいに使うなよ!!気にしなくていいから落ち着け!!おい誰かぁ!いますぐ拭くもん持ってこい!」

早鬼が大声を上げると、何処からともなく雑巾を手にした3匹のオオカミ霊が現れ、阿求がお茶を吹き出した畳をゴシゴシと擦る。


阿求「あわわわわわすい、すいませんお手を煩わせてしまってぇぇぇぇ」


オオカミ霊「問題ありません。自分らが責任持って掃除しますんで、ゆっくりと御寛ぎになっててください」



掃除を終えたオオカミ霊達が退出した後も、阿求は繰り返し早鬼に謝り倒していた。


阿求「本当にすいません…どうお詫びをすればいいのか…」


早鬼「だから本当に気にしてないってば。モノの道理を畜生界の常識で量ってしまっていたこちらの責任だ」


阿求「そ、そんなとんでもない!」

阿求『やっちまったぁぁぁぁぁ。表面上は気を遣ってくれてるけど絶対怒ってるよこれ。後で難癖付けてきてとんでもない額を請求されるに決まってる。それでお金の払えなくなった私はソープに沈められて……いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


早鬼「諄いよ阿求。このままじゃキリがない。畳の一枚や二枚で仲違いなんて馬鹿な話さ。いい加減、過去の事は水に流そうぜ」


阿求「わ、わかりました。お心遣い痛み入ります」

阿求『1枚や2枚はよくても3枚目以降は許さないって事っすねぇぇぇ!?分かりました肝に銘じときます!!』


阿求「そ、それじゃあ気を改めて取材を再開させていただきます。早鬼さんは普段なにをしているのですか?」

阿求『長居は無用だ。これ以上やらかしてしまう前に取材を済ませてしまおう。』

早鬼「あ〜普段ねぇ。この前までは造形神の打倒に燃えて色々やってたけど、結局のところ全員まとめて巫女にぶっ飛ばされたからねぇ。今はなにもやってないかなぁ。強いて言えば太子様の写真を眺めたり……後は吉弔八千慧の」阿求「太子様のお写真を眺めている!なるほど!そういえば驪駒さんは生前、神子様の愛馬であったとか!かの聖徳太子をして神馬と言わしめた名馬中の名馬の背中!失礼でなければ乗り心地を確かめさせていただいても!?」


阿求の発言を皮切りに、両者の間に長い沈黙が訪れる。


阿求『うぎゃあぱあああああああああ☆@〄#〆*!!!!???何言ってんだ私はああああああああ!!!ばか!!!私のボケナス!!!まだ早鬼さんの話が途中だったじゃん!!!それを遮って自分だけ喋るだなんて取材能力以前に人としてダメだろ!!!共通の話題が出たからとつい飛び込んでしまったあああああら!!!しかもあろう事か乗り心地を確かめさせてくれだなんて!!!失礼でなければって馬鹿か失礼に決まってんだろおおおおお!!!生前は馬でも今はヤ○ザの組長だぞ!!!も、もうダメだ…終わった…今度こそ殺され……』


頭を抱えて悶える阿求の様子を目にした早鬼の心中には、あるひとつの確信が浮かんでいた。

『あ、こいつ相当テンパってるな』と。


生前、ふとした事で太子を驚かせてしまい、そのショックで絶食に至った経験のある早鬼には、自身と同じ豆腐メンタルの阿求に対して一種の仲間意識が芽生えていた。

最初から阿求に妙な親近感を覚えていたのはこの為だったのか。先程の発言には正直度肝を抜かれたが、それだけで彼女を否定する気にはなれない。ならば自分の返すべき言葉は

早鬼「いいぜ!乗りな!」阿求「すいませんすいません責任とって腹を切りますんでせめて楽に殺してくださ……………………………え?いま、なんて?」


早鬼「私は本当に気に入った奴しかこの背に乗せない事にしている。お前の事が気に入ったと言ったんだ。早くしな、神馬の乗り心地、試してみたいんだろ?」


阿求「く……驪駒さん!!」

『惚れてまうやろおおぉぉぉ!!!』と、心の中で叫びながら阿求が早鬼に飛び付く。


早鬼の背中を足で跨ぎ、腰を下ろしたと同時に全身を包み込む心地よい感覚。閃きにも似た電気信号の意味を理解した時には、それの正体が圧倒的一体感による心身の充足である事を阿求が悟る。


阿求『な…なんて乗り心地の良さ……力強さと繊細さが同居する心と体。驪駒さんの馬としての能力と人としての人徳が、理屈ではなく直感で感じ取れる。これは…これが…世に二つとない神馬の背中!!』


言葉では言い表せない程の乗り心地の良さを感じる阿求と同じく、早鬼もまた、阿求の異様なまでの乗せ心地の良さを感じ取っていた。


早鬼『嘘だろ!?なんて乗せ心地の良さだ。臆病で引っ込み思案だが自身の責務を果たさんとする芯の強さ。それと同時に、華奢で軽すぎるが故に掻き立てられる庇護欲。背中を通してこいつの全てが流れ込んでくる。太子様の時と同じだ。これが…これこそが………本当の………』


早鬼が阿求に親近感を抱いていたのは事実だが、同時に同情の気持ちが無かったわけではない。しかし、すぐにそれは過ちだと気付いた。

同情なんかじゃない。


両者は初めから、こうなる運命だったのだ。


阿求・早鬼『『人馬一体!!』』


早鬼「阿求!!」

阿求「驪駒さん……いや…早鬼さん!!」

早鬼「しっかり掴まってろ!!」

阿求「はい!!」


早鬼が立ち上がり、阿求をおんぶしたまま室内をドタバタと駆け回る。


阿求「きゃあー!早い早い!楽しいぃ!!」

早鬼「もっと飛ばすぜ!!ひゃっほぉーう!!」

阿求「早鬼さぁん!早鬼さぁぁぁん!!」

早鬼「阿求!阿求ぅぅぅぅぅぅ!!」

阿求「もっと!もっと早く!!早鬼さぁん!!」阿求が片手を離して下へと伸ばし、早鬼の尻を叩く。パァン!と渇いたいい音が室内に響き渡る。

早鬼「もっと!もっと強く!!阿求ぅ!!」

阿求「早鬼さぁん!!」パァン(尻を叩く音)

早鬼「阿求ぅ!!」パァン。

阿求「早鬼さぁん!!」パァン。

早鬼「阿求ぅ!!」パァン

阿求「早鬼さぁん!!」パァン。早鬼「阿求ぅ!!」パァン。阿求「早鬼さぁん!!」パァン。早鬼「阿求ぅ!!」パァン。阿求「早鬼さぁん!!」パァン。早鬼「阿求ぅ!!」パァン。阿求「早鬼さぁん!!」パァン。早鬼「阿求ぅ!!」パァン。阿求「早鬼さぁん!!」パァン。早鬼「阿求ぅ!!」パァン。阿求「早鬼さぁん!!」パァン。早鬼「阿求ぅ!!」パァン。阿求「早鬼さぁん!!」パァン。早鬼「阿求ぅ!!」パァン。阿求「早鬼さぁん!!」パァン。早鬼「阿求ぅ!!」パァン。


気持ちが昂るにつれ、早鬼の走法が人間としての二本足から、馬としての四足へと変化していく。


阿求「早鬼さぁん♡」パァン。早鬼「阿求♡」パァン阿求「早鬼さぁん♡」パァン。早鬼「阿求♡」パァン。阿求「早鬼さぁん♡」パァン。早鬼「阿求♡」パァン。


激しい興奮状態による陶酔感。寸分の狂いも無く共同作業が思いのままに進む達成感。馬としてのさが。本人も気がついていなかった阿求の隠れたスピード狂気質。非日常。それは全てのしがらみから解放される解脱の瞬間。無念無想の境地。早鬼のケツと阿求の手が肉と肉の激しいぶつかり合いによって苦痛に悲鳴をあげる。されども叩く手は止まらずケツは更なるビンタを求める。苦痛を上回る圧倒的快楽。イッツルナティックタイム!狂気と恐喜の間に生じる圧倒的爆走空間はまさに歯車的結束感の小宇宙!


早鬼「ヒィン!!ブルヒヒィィィィィ!!」

完全に馬の時分に戻った早鬼が猛々しい嘶きを上げる。


阿求「早鬼さん♡」パァン。

早鬼「阿求♡」パァン。

阿求「早鬼♡♡」パァン。

早鬼「ご主人様♡♡」パァン。


阿求・早鬼「ッ♡♡♡んらめぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ♡♡♡(スピードの向こう側へ)イッちゃううううううう♡♡♡」


勁牙組の事務所中に二人の嬌声が響き渡る。異変を感じた部下達が慌てて二人の部屋へと駆け込んで来る。


若頭「何事ですかお二方ァ!!!お怪我はありませんカァ!!?」オオカミ霊A「組長ぉ!!!」オオカミ霊B「稗田さん!!!」オオカミ霊C「なんですかこの騒ぎはぁ!?」オオカミ霊D「敵襲ですかぁ!?」



阿求・早鬼「あっ…………………」

オオカミ霊達「え?………………」


四つん這いになってケツを叩かれる組長の痴態を目の当たりにしたオオカミ霊達の心境は如何許りか、早鬼と阿求もまた同様の気まずさに心臓を握り潰される感覚を抱いた。


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