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8/11

〜 残り44日 : 妹の洋服を買いに行ってたらデートになりました。 〜

「明日、修学旅行があります。」





「……。」


「はぁぁぁぁあっ!!?」


「ゆ、雪、お前突然だな!」


「すいません、昨日の格ゲーが楽しくてつい。」


「確かに楽しかったけど、それ、忘れる?」


「雪の中では 格ゲー > 修学旅行 なんだな…。」


「す、すいません……。」


「あ、あの…お兄さん………。」


「どうしたんだ?」


「そ、その…。」


「お、お洋服を買うのに一緒に来てもらえませんか…?」


「いいぜ、行こう ☆ 」


 シスコン兄貴、イケボで即答。逆に迷う兄貴なんているのだろうか。洋服を選んでる妹の姿、絶対かわいい。この目に焼き付けてやらぁ!


「雪、どこで買いたいとかあるのか?」


「そうですね、やはり女子中学生といえばイヨンモールですかね。」


 へー、やっぱ知ってるんだな。ちょっと意外。


「そういえば、文化祭の前に修学旅行あるんだな。」


「はい、今年は例年に比べて変則的らしいのです。」


「そっか。修学旅行、楽しめるといいな。」


「……。」


 ん? 雪の元気がなくなった? そうか、以前文化祭の妹役について男子と揉めていたんだっけ。雪、クラスでうまくやってるのかな…


 イヨンモールに到着。とりあえず、雪についていく。


「いらっしゃいませ〜」


「あら!あなたとても可愛らしいですね!」


「こちらは彼氏様ですか?」


「俺はお兄ちゃんだっ!!」


「あ…そ、そうでございましたか!」


「ご、ごゆっくりどうぞ〜! あはは〜」


「( 妹さんそんな風に見えないけど、こいつは絶対やばい。)」


 女の子が好きそうなオシャレなお店に入った。かわいい洋服や、バッグ、アクセサリーまでも品揃えされていた。俺が1人で入ると警備員が出てくる場所である。今は妹がいるから大丈夫なのだが。


「(こ、これ! かわいい…。でもこれは高いです…。)」


「なんだ? それ、欲しいのか?」


「ひゃっ!?」


「えっ?」


「そ、そ、そういうわけではありません!」


「そうか?」


「タグ見てたから、値段が気になったのかなって思ったんだけど?」


「こ、これはその……」


「せ、生産国を見ていたのですっ!」


「え…?」


「あは…は…。」


「なんだよ、気を使うなよ。」


「欲しかったら欲しいって言っていいんだぞ?」


「お兄さん……」


「値段なんて気にすんなよ。雪らしくねぇぞ?」


「俺は雪の喜ぶ顔を見れるんだったら、いくらでも払うからさ。」


「……本当に 」


「本当にいいんですか?」


「ああ。見せてみなよ。」


「……なっ!!?」


「( 2万だと...!?)」


「( そんな大したことないと思ってたら諭吉2人前かっ!? 現代のJCこえーよっ!!)」


「お、お兄さん、やっぱり… 」


「すっーー、ふうぅーー。」


「レジ、行こうぜ ☆ 」


 無理してイケボをかますシスコン兄貴。でも、よく考えたら雪が物を欲しいとねだるのって初めてだ。初めてにしちゃ割に合わない値段だが。なんだか今日はデートに行ったみたいだった。そう、兄妹デートっ!


「ふふん ♪ 」




「お兄さん! ありがとう!」




「あ、あれ? ……ございます。じゃないのか!?」


「ふふ ♪ 」


 もしかすると雪も感じていたのかもしれない。


 デートのように。


 でも雪は俺を兄貴と捉えていたのだろうか?


 それとも、まさか……


 ま、いいか。なんだか俺も楽しかったし!



 俺たちは家に帰宅後、すぐに雪の修学旅行の荷造りを始めた。前日に1からやり始める生徒は雪以外にいるのだろうか…


「…歯ブラシ、歯磨き粉、くし、ゴム……。」


「………」


「家ごと持ってっちゃえ!」


「できるかっ!」


「すんげーこと言うな雪!」


「まぁ、何か忘れても大丈夫でしょう。」






「…友達に…借りれば…。」






「ゆ、雪!?」


「な、なんですか? お兄さん、友達…いちゃ悪いですか?」


「はは、ちげーよ。」


「修学旅行、楽しんで来いよ!」


「はい!」


「…お兄さんも寂しかったら、来てもいいんですよ?」


「行かないよ。」


「な、なんで?」


「修学旅行ぐらい、友達と楽しく笑って、遊んで来い。」


「ふふ。」


「…バーカ。」


「何か言ったか?」


「何にもないですよ。」


「ほら、早く寝ましょう。」


「そうだな。」


 こうして雪は明日の朝から修学旅行に行ってくる。雪と1日合えないのは俺にとっては想像も絶する苦痛だろう。


 でも、雪が成長してくれるなら俺は嬉しい。笑顔で見送ってやりたい。


 はぁ、1日えんまの野郎とお泊まりか…。仕方ねぇや。





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