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〜 残り45日 : 妹と格ゲーで対戦しました。 〜

「なぁ! えんまさん! 俺よぉ! 雪に許してもらえたぞ!」


「お前、ほんまにしょっちゅう来るんやな。」


「そんなこといいじゃねぇか!」


「わしもさみしいから、たまに天界に上がってこい言うたら毎日来よる。」


「しかも! なんと雪と文化祭練習まで出来たんだぞ!」


「そっか、良かったな。まあ、うまいこといけたようで。」


「ハァァァァ、昔の雪ちゃんも良かったけど、今の雪ちゃんもたまらんなぁ♪」


「気色悪いわシスコン兄貴。」


「むふふふふふふふふふふふっ♡」


「俺、ニヤニヤが止まらんわっ!」


「わかったわかった! ほら、愛しの雪ちゃん下界で待っとんぞ。早いってこい。」


「おっしゃ!行ったるでぇ!」


「今日のあいつ頭逝っとんな...。」


 魂がこの世から消えるまで残り45日、今日を過ぎると俺の残りの人生(死んでます。)10分の1が過ぎることになる!


 え、待って、早くね?


 いや、言い返せば残り10分の9もあるんだ! 焦ったら以前のような失態を犯す。今、信用を作り、仲を深める超重大な時期なのだ!


 雪が学校から出るところを見つけた。俺は雪が安全か空から見守っていたのだが...。


「あれ? 雪どこ向かってるんだ? 家はその道じゃないぞ?」


「!?」


「ゲ、ゲームセンターだとっ!?」


「ゆ、雪ってゲーム好きだったっけ...?」


「そ、そういえば雪はこの前、人前で喋るのが苦手で怖いって言っていた。あれは俺が死んだショックで人格が変わったからに違いない。」


「とういうことは、もしかして、ゲーム好きになったのも俺が死んだショックでっ!?」


「い、いや、これはまさか...」


「不 卍 良 卍 ってやつかっ!!??」


 ま、まずい、非常にゆゆしき事態だ...。ゆ、雪が喧嘩上等卍の世界に入ってしまったのか!?


「ゆ、雪っ!!」


「お、お兄さんっ!?」


「俺が更生させてやる!! だから、ここから離れよう!!」


「え、あ、ちょ、ちょっと、お兄さん! なんの話ですか?」


「いいから!離れるぞ!雪に不良は似合わない!」


「わ、わたしは不良さんになってません!」


「...えっ?」


「もう、何の勘違いですか。」


「わたしはただゲームをしてみたかっただけです。」


「そ、そうなのか...?」


「以前の雪がゲームをしているところを見たことがなかったから...」


「つい...。」


「で、でも、なんでいきなりゲームなんてしたいと思ったんだ? しかもこれ、格ゲーだぞ...?」


「今日、数学の授業があったのです。」


「お、おう、先生がなにか言ったのか...?」


「じ、じつは...」





「えー、今日は二次関数の続きをやるぞ。」


「まず、この y=f(x) のグラフを平方完成する。」


「すると、グラフの頂点が出てくるんだ。」


「それからー」


「...なるほど。これはちゃんと復習しておかなくちゃ...。」


「.........そうだ、格ゲーがやりたいぞ。」





「という感じです。」


「いや!意味わからんわっ!!ツッコミどころが多すぎて何から言ったらいいのかもわからん!」


「今の説明...なにか難しかったですか?」


「...。いや、大丈夫だ。」


「ようするに、数学をやっていたら格ゲーをやりたくなったんだな。」


「はい、そうです。」


「雪、やっぱり俺が死ぬ前と死んでからで変わったな。」


「..............。」


「お、おい。雪、どうしたんだ?」


「なんで...なんでですか?」


「え?」


「なんでお兄さんはいつも、昔のわたしと今のわたしを比べるんですか!?」


「お兄さんにとって昔の思い出でがとてもとても大事なのはわかります!」


「でも...でも、わたしはわたしなんです!」


「ゆ、雪...。」


「...お兄さんにとって、今のわたしでは不満ですか?」


「ち、違う!」


「俺は今の雪も大好きだ。愛している!」


「でも、俺は兄貴のくせに雪の気持ちを理解してやれなかったんだ...。」


「自分のことばっかで、俺はほんとダメな兄貴だよ。」





「お兄さん、一緒に格ゲーやりませんか?」





「これ、けっこう面白いと思うんです。」


「ちょうど2人で対戦もできるみたいなので、もっと面白いと思うんです。」




「笑いましょうよ。お兄さん。」




 俺は泣きながら、でも笑いながら妹と一緒に格ゲーをした。涙で全く画面が見えなかったが。お互い下手くそで、なかなか勝負が付かない泥試合になった。でもこんなに楽しく、笑えるゲームは初めてだ。


 妹の成長を感じる。俺はまだまだ兄貴として未熟だ。そう感じた1日だった。






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