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〜 残り46日 : 妹と文化祭の練習をしました。 〜

「お前、ほんまにしょっちゅう帰ってくるな。」


「えんまさん...俺、どうしたらいいんだ?」


「家に泊めてもらうことになって、翌日に妹の部屋で下着あさっとるアホどこにおるねん。」


「まあ、しゃあないやんけ。謝るしかないんとちゃうか? このまま何もせーへんかったらお前魂消えるだけやぞ?」


「そうだよなぁ。一生顔も見たくないって言われたけど、ここはいっちょやってやるしかねーな。」


 残り46日目の朝、昨日にする約束だった文化祭練習はもちろん出来ていない。今後の状況を分けるのも今日が勝負になる。




「...はぁー。」


「昨日、ひどいこと言っちゃった...。」


「お兄さん、帰る場所ないのに、わたしの家だけが、唯一の居場所なのに...。」


「もう、来てくれないのかな。」


「...出てきたあの写真、本当に..................。」

 



 何か、何か作戦を練らないと。だが良い案が思いつかない。やはり、雪が学校にいっている間を狙ってもう一回、写真を探しだすしかないみたいだ。


 よし、いざ決行っ!


「あ、あれ...? 雪、なんで家にいるんだ?今日は平日だぞ?」


「...ま!まさか!」


「俺の昨日の失態で人間不信になって引きこもりかっっ!!??」


「お、おいやべぇ。マジでやばいよこれ。」


「...この誤解だけは解かないと。本当に雪が危険だ。」


「仕方ない、少々強引だが突撃するしかないっ!」


 俺は雪の部屋に向かった。雪がどんな反応をしても、どんなに拒絶しても、雪のためにも俺のためにも、この誤解は解かねばならない。


「ゆ、雪!!」


「き、昨日は本当にすまない!!」


「だが、これだけは信じてくれ!」


「俺は雪に、本当のお兄ちゃんだったという事を証明するために雪の部屋で俺と雪が写っている写真を探していたんだ!」


「だから...その、本当に、そのそういう心はなくて(ちょっとはあった)、俺は雪に、俺の事を信じてもらいたかっただけなんだ!!」


「その...俺の事は嫌いになったかもしれない。人の事を信じられなくなったかもしれない!」


「でも、雪に学校にだけは行ってほしいんだ!」


「...........。」


「何言ってるんですか変質者さん。」


「わたしはあなたを嫌いになっても、人間不信になってもいません。」


「...えっ?」


「これ、部屋を片付けてた時に出てきたんです。」


「こ、これは!」


「...雪、これ俺なんだよ。」


「そう...みたいですね。」


「わ、わかってくれたのか...?」


「.......。」


「...今日は、創立記念日なので学校は休みです。」


「はは、そうか。良かったよ。」


 分かってもらえたかどうかは分からない。だが、残り46日だからといって焦ることは逆効果なのかもしれない。俺たちは俺たちなんだから、俺たちが出来るペースでゆっくり本当の兄妹になっていけたらいいのかもしれない。


「じゃあ、...文化祭練習やらない?」


「わかりました。」


「よし、じゃあ、やろう!」


「じゃあ、雪、俺に向かって今できる範囲で、俺にセリフを言ってくれ!」


「わ、わかりました。頑張ってみます。」


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「...ねぇ、お兄ちゃ.................たし1人で全部..................................んだよ....」


「掃除も....濯も...................挨拶も...........夜中の...........イレも.....。全部.......部.......ように.....なったん.......だよ....。」


「...部....ちゃんの.....かげ...だよ..........当に...........がとう.....。」


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「...ぜんぜん、言えませんでした...。」


 俺は盛大な拍手を送った。心からの。


「何言ってんだよ。」


「今は言葉にならなくても、俺には伝わってる。」


「心からの言葉が伝わってるんだよ。」


「はは、やっぱり雪は雪のままだ。」


「そう...ですか...。」


 雪は俺が死ぬ前と死んだ後で大きく変わってしまったが、雪の心は変わっていなかった。


 今日もまた、俺たち一歩前に進めたかな。






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