〜 残り49日 : 俺ん家に不法侵入しました。 〜
「でよぉ、俺が死んだショックで妹の記憶がなくなってしまったんだよ! えんまさん!」
「まあまあ、落ち着けや。お前そっこう天界に帰ってきたな。」
「うるせーよ!仕方ねぇーだろ!追い返されちまったんだよ!」
「まあ、あのカワイイ妹さんも、ショックやったんやろ。」
「だからさ、俺は決めたんだ。この49日間で妹と新たな未来を進もうと!!」
「...49日で終わる未来かぁ...。はかないなぁ。」
「49日あればやりたい放題やれるっつの!妹と仲良くなって、俺が死んだお兄ちゃんだったってことを教えてあげて、新しく兄妹としてうまくやるんだ!」
「そうか、まあ、うまくやれや。成功を祈っとる。」
とりあえず、もう一度突撃してみるか。現在下界は朝の6時。この時間といったら、あれで決まりだ。朝!食!作!り!
「...ふぅ、侵入できたみたいだな。移動が楽ちんな幽霊は案外便利かもしれん。デキる男、如月真人がいっちょかましてやりますか。」
朝の7時30。階段から雪が降りてくる音がする。だがよく考えたら雪は兄である俺の事を完璧に忘れてやがる。雪にとって、全く知らない昨日の変質者がうちのリビングにいるのだ。この状況、客観的に見て通報もんだ。
「お、おう、雪。お、おはよう!」
「...え、だれ!!?」
「え、えと、昨日の夜道で雪に話しかけただろ?君のお兄ちゃんだよ。」
ますます変質者感が増加。
「...あ、昨日の...って、なんで!!? なんでいるの!? どうやって入ってきたの!? 何してるの!? 警察に通報だぁ!!」
当然のリアクション。
「お、おい!雪!ちょっと待て!!大事な話がある!」
「え、なに? 怖いよぉ。」
「雪が怖いのも十分わかる。でもな、本当に大事な話なんだ。1つ1つちゃんと聞いてくれないか?」
「...うん。」
とりあえずここまで持ち込めた。良くやったシスコン兄貴。
「えーと、まずはだ。昨日の夜、雪は事故があった現場にいただろ?」
「...いました。」
「なんでいたのか分かるか?」
「分からない、気がついたらあそこにいたのです。で、興味がないから引き返しました。」
今の言葉が死んでる俺のHPを大幅に削った。
「...うう、そうか。わかった。えーと、実はだな。俺はあの事故現場で死んだ人なんだ。」
「...死んだ人? 幽霊!?幽霊ってやつですか!? わたしすごく興味持ってたんです!」
そこには興味持つんだな雪。すなわち、死んだシスコン兄貴の幽霊を見ることができて、テンションマックスって訳だな。うん、許す許す。
「まあ、そういう訳だ。俺は幽霊なんだよ。そして、雪が事故現場にいた理由だ。」
俺はここで真実を伝える。
「それはな、死んだこの俺が、雪のお兄ちゃんだからだ。雪は俺が死んだショックで今までの俺との記憶を無くしている。」
「...あなたが、わたしのお兄ちゃんなんですか?」
「そうだ。俺は雪のお兄ちゃんだ。だから雪は昨日、俺が死んだという事を聞いて事故現場に向かったんだ。」
「...いません。」
「え?」
「わたしにお兄ちゃんはいませんし、あなたが誰かもわかりません!」
「雪!お願いだ!分かってくれ! ほら、朝ごはんも作ってやったぞ? 一緒に食べよう。」
「...せっかくですが、いりません。わたし、もう学校に向かいます。あなたが幽霊なのは分かりました。でも、私にお兄ちゃんはいません。...幽霊だからといっても、人の家に勝手に入るのは不法進入ですよ? 早く、お帰りください。」
やはり雪に俺がお兄ちゃんだということを説得するのは簡単じゃなさそうだ。だが、俺だって簡単に諦めない。俺には49日しか時間が残ってないのだから。