〜 残り41日 : 妹とお風呂に入りました。 〜
「雪とお風呂に入りたい。」
「…は?お前何言うとるんや?」
「いや、だって俺たちは本当の兄妹になれたんだ。お風呂の1つや2つくらい。」
「あほ、やめとけ。わしがお前と一緒に入ったるやんけ。」
「まじ勘弁。」
「…で、お前妹と一緒に風呂入ってどうすんねん?」
「ムフフ…」
「あかん、スイッチ入った。」
「やっぱり、お互い体を流し合って、それから、それから…ムフフふふふふ! 」
「お前、実の妹と風呂入っておもろいか?」
「何言ってんだよ!えんまっ!あんたに兄貴ってもんが分かるのか!?」
「それは愚問やな。わしにだって妹はおるわ!」
「へぇ、それは初耳だな!」
「遠い昔やけど、よく妹とゲーセンやネカフェに行ったもんや。」
「遠い昔にそんなもんねぇよ!めちゃくちゃ最近じゃねぇか!」
「あぁ、そうやっけか? 何も長い事生きてきたもんやからなぁ。」
「あんたの時間の感覚どうなってんだよ。」
「まぁなんや、妹と遊びたい気持ちは分かる。よし、楽しんで来いや!」
「おっしゃ!行ってくるぜっ!」
俺たちは本当の兄妹になれたんだ。兄妹と言ったらまずは混浴だろうがっ!! 雪が入って来る前に俺が浴槽に忍び込んでやるんだ。なぁに、いけるいける。なんたって雪だ。あいつは心が広いと言っていた。ケハハハハハッ!!
「さぁて、透明にでもなりますか!」
しばらく待っているとドアを開ける音がなり、バスタオルを身に付けている雪が鼻歌を歌いながら入ってきた。なんとまあ目の保養なこと。
「( ちくしょう! はよタオル外せやっ!)」
俺は兄貴として最低でクズなことを考えていた。雪の体のラインはタオル越しでも美しいとわかる。身長は少し低めだが、何ともめちゃくちゃカワイイ。顔は小さく童顔で優しい目をしている。そして何なんだろう、風呂がものすごくいい匂いがする。シャンプーとかボディソープ以前に、雪がめちゃくちゃいい匂いなのだ。妄想が止まらない。
ところで、俺はどのタイミングで雪に姿を見せようか。いや、というか一度透明で忍び込んでしまうと、次出てくるタイミングがめちゃくちゃ難しい。下手するとこれは通報される。( 下手しなくても通報です。)しかも、昨日やっと本当の兄妹になれたばっかなのに、俺はいきなり何をしているんだ?
俺がこんなことを考えていたその時だった。雪がバスタオルを外そうとしている!チキンな俺は慌ててしまった。妹の体の前に。
「あ、あ、あかぁぁン!!!」
「キャャャャャャ!!!えっ!? えっ!? お、お兄ちゃん!?」
「よっ、雪。風呂場で会うなんて奇遇だなっ☆ 」
「警察に通報だぁ!!」
「待て待て待て待てっ!」
「お兄ちゃんこっち見ないでっ!」
「あ、ああすまん! お、俺は浴槽の掃除をしていたんだ…。いや、嘘だ! 俺は雪と一緒にお風呂に入りたかったんだっ! これでどうだっ!?」
「昨日嘘つくお兄ちゃんは嫌いって言ったけど、正直に変態なお兄ちゃんも嫌いっ!はやく出て行って!」
「き、嫌いだとっ!?」
「嫌いだよ!」
「う、う、嘘だろ…? しょ、正直に言うお兄ちゃんが嫌いなのか!?」
「嫌いですっ!」
「そ、そうか…そうなのか。すまなかったな、雪。お兄ちゃんの事、嫌いになっちゃったのか…。」
「( お兄ちゃん、相当傷ついてる…。)」
「わ、わたしだって女の子なんですよ? そ、その恥ずかしいし、入る前に、ひ、一言いってくれたら、そ、その…」
「一言いったら、いいのか? 雪、俺とお風呂に入ってください!」
「なんでそうなるのっ!」
「じゃあどうしたら一緒にお風呂に入ってくれるんだ!?」
「どうもこうもダメに決まってます!」
「お願いだっ! 妹と一緒にお風呂に入る思い出が欲しいんだっ!」
「もう…わかりましたよ。そこまで言うなら入ってあげます…。」
「ほ、本当かっ!?」
どうやら俺の本気に雪は降参したようだ。だが雪はちょっと準備に行ってくると言って風呂場を出た。一体、何の準備だ? も、もしかして俺と楽しむモノかっ!? アぁ!?
「おまたせ、お兄ちゃん。」
「何だ? 何持って来たんだ?」
「盛り塩だよ?」
「アホっ!! シャレになんねぇよ!!」
「成仏させてあげた方が良いかと思いまして。」
「やめろやめろ! 近づけるな! あぁぁぁ魂がぁぁぁあ!!」
「さぁ、妹の体を見た罰ですよ? お兄ちゃん…」
「わかった!わかったわかったわかった!今すぐ出て行く!」
俺は必死の霊力でこの場から姿を消した。あぁ、あやうく妹に殺されそうになった。まぁもう死んでいるんだが。だがなかなか楽しかった。こうやって妹とじゃれあえる(犯罪レベルで死人の生死を分ける )事って本当に幸せなんだな。やっぱり兄妹っていいや。
「もう!お兄ちゃんのバカっ!ずるいですよ!消えるなんて!」
「後で絶対仕返ししますから!」
やっぱり幸せだな。この日々大切にしよう。いつか成仏させられる気もするが。




