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BioGraphyOnline  作者: ツリー
BGO Lastmission!
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第15章 Get Ready!

 スノーキルでのミッションを終え、念のためという事で少しはやく帰ってきた現実世界

 しかし別にミッションが休みというわけでは無かったらしく


「大和にはこれからVR世界を作る為の手伝いをしてもらう」


 太郎兄の宣言に俺は顔を顰める


「なぁ兄さん、別次元に飛ばされて体に異常がないかを調べる為に戻ってきたんじゃあ?」

「それはヘッドギアに標準搭載されている機能で確認が取れている、問題ない」


 まぁ安全面に配慮された設計はしてたからな

 だがもしもという事もあるだろうし、精神的な物かもしれない


 俺は非難の目で太郎兄を見るが、全く気にしていない様子

 これは何を言っても無駄だろう


「・・・それで?俺は何をすれば良いんだ?」

「大和には俺と馬場が作ったVR空間の細かい所を補填する作業をしてもらいたい」


 太郎兄が俺の首にかけてある指輪を指差す

 なんだ?ヒューマアーカイブで調べろって事か?


「だが兄さん、この指輪はデメリットで俺の記憶をランダムで消去するぞ?」

「大丈夫だ、大和にはこちらとあちらの二つの世界に加え、二つの人生を歩んだ記憶がある」


 多少消えても問題ないという事か?他人事だと思って・・・


「ちなみにそこまで細かく世界を設定する意味はあるのか?」

「無論だ、雑な作りをすれば神々に気取られる可能性がある」


 なるほどなぁ・・・この作業で最終作戦の成功率が上がるって事か


「はぁ・・・まぁわかりましたよっと」


 俺は新たに俺の為に追加されたであろうPCの電源を入れる

 机には大量のカロリーメイト、栄養ドリンクが置いてある

 これはあれか?少しでも作業効率を上げる為か?

 まぁカロリーメイト好きだから良いんだけど


 早速チョコレート味を手に取る

 すると奥の方に変な機械を見つける


「ん?太郎兄、これは何だ?」


 見た感じは簡易的なヘッドギアって感じだが

 太郎兄は変な顔をしながらこちらに視線を向ける


「ああ、それは試作で作った記憶出力装置だな」

「記憶出力装置?」

「それを被ってコードを思い浮かべればマシンが自動でデータを書き込んでくれる・・・」


 へぇ!ちょー便利じゃん!

 俺はいそいそと記憶出力装置を被る


「ちなみにそれは失敗作だ、動力源が上手く作動しない」


 なんだ失敗作か・・・あれ?普通に動作してるけど・・・

 目の前に書き込まれていく文字を見ていると、胸元の指輪が光だす


 それと同時にゴッソリと、ナニカを持っていかれる感覚を覚え、急いでヘッドギアを外す


「それに完成しても大和には使わせれないな、恐らくヒューマアーカイブの発動と同時に記憶出力装置にデータが送られ、一気に記憶を持ってかれかねな・・・どうした?」


 冷や汗を流す俺を太郎兄が心配そうに見ている


「何でもない・・・」


 これはとても危険な物かもしれない、だがもしもの時使えそうだ

 そう思いながらヘッドギアの表面を触る


「というかこれすっごいスベスベ!何で出来てるんだ!?」


 サラサラフォルムを堪能していると、太郎兄がニヤリと笑みを浮かべる


「ここで作られた物は大抵現地で調達した物で作られている、例えばそれはドワーフの国の鉱石、エルフの国の布地、ギアギアのパーツ、だな」

「へぇ・・・」


 あのミッション達はその為に存在したのか

 感慨にふけっていると、太郎兄が笑みを浮かべる


「兎に角だ、トラブルが起きていない今の内に、少しでもクオリティを高めるぞ」

「・・・はいはい」


 軽く返事をすると、PCに向き直る

 PC内はわかりやすいように整理されている


 これなら引き継ぎを受けなくてもある程度書き込めるな


 久しぶりにPCをカタカタさせていると、ふと昔の事を思い出す


 そういえばあの時のメールは何だったのだろうか

 俺はメール画面を開いて記憶に残るメッセージを入力する


「確か・・・」


<貴方にやり残した事はありますか?>

<   もしもあるならば     >

<                >

<                >

<   ゲームを始めますか?   >

<                >

<     はい/ いいえ     >


 こんな感じだったな、今見てもサッパリわからん

 意☆未☆不☆明☆な文章に頭を悩ませていると、太郎兄がこちらに手招きしている


「大和、この部分の補填をいいか?」

「あいあい」


 太郎兄からデータの場所を確認して自分の持ち場に戻る


「・・・ん?」


<もうやり残した事はありませんか?>

<   もしもないならば     >

<                >

<                >

<   ゲームを続けますか?   >

<                >

<     はい/ いいえ     >


 文章が変わってる・・・まぁ今更驚く事でもないが

 答えは言うまでもない


「YESだ!」


 ◇


 何処までも白い空間、白い少女は静かに笑う


「・・・ありがとう」


 少女は笑う

 マスターとよく似た魂を持つ子供の姿を思い出して


 少女は笑う

 薄れゆく自分の姿を見て


 地球という異世界の人間達の自由な発想

 それにより発動した魔術式により、全ての魔力と全てのデータを使い果たしてしまった少女


 そんな少女の耳に、久しく聞いていない声が響き渡る


「なーにをやっとるか」


 少女は笑う

 呆れたような、だが優しい視線を受けて

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