~ 死への旅 ~
翌日 夜が明ける頃 …
司祭 三人と チタチェラ …
そして …
戦士であり チタチェラの従者でもある パンタル と シーダヤ の 二人が 帝国を後にした …
向かうは 聖なる山 ユーヤイヤコ …
その山は …
真夏でも 雪と氷が溶ける事の無い 山々が連なる アンデス山脈にあると言う …
緑の道を抜け 平野を歩き …
一月程で 山の麓まで 辿りついた …
凍える寒さが襲う中 …
司祭達は チタチェラ ・ パンタル ・ シーダヤ の 三人に
自分達と同じように コカの葉を与えた …
コカの葉 は 高山病の 気付け薬として 与えられた …
コカの葉を 口いっぱいに含み
噛みながら 凍える山を登る …
次第に コカの葉のエキスが 躰に回ると…
疲労感が薄れ …
恐怖心も 消え …
眠気 も 空腹感も 消え失せた …
所々 で 司祭達は
コカの葉の他に チチャと言う酒を 躰を温めるためにと 三人に飲ませていた …
見渡す限りの 銀世界の中を …
司祭達に 伴われ 歩く子供達は …
まるで 寒さ等感じなくなり
雲の上でも歩いているかのように …
悠々と 何処か誇らし気に 微笑みながら…
雪山を行進して行った …
「あぁ 何て素敵なの ! ちっとも寒くないわ ! まるで 神になったみたい !あははははっ!」
チタチェラ は 弾けんばかりの笑顔で そう言い 唄い出した …
~ 祈りの唄 ~
♪ 神よ 神なる ククルカンよ ~
私の 命を あなたに 捧げます ~
聖なる 伊吹が 何時 何時迄も ~
故郷を 照らしますように ~
♪ 神よ 神なる ククルカンよ ~
私は あなたの 元に参ります ~
私の 命が 全ての 怒りを ~
鎮めて下さいますように ~
軈て …
標高 6,740㍍ に差し掛かると …
司祭達 は 再び 三人の子供達に チチャを飲ませ コカの葉を 与えた …
司祭達に言われるがまま チチャ酒を飲み
コカの葉を噛む …
三人の子供達は 意識が朦朧としていた
ボ ゴ ッ !
ボ ゴ ッ ! ボ ゴ ッ !
鈍い 音が 響いた …
チタチェラ も パンタル も シーダヤ も 司祭三人に
頭を木刀のような物で 思い切り 殴打され
雪の上に 崩れた …
「さっ ! 急ごう !」
司祭の一人が 声を上げた …
三人の司祭達は 各々 一人ずつ …
三人の 子供達の 首を絞め上げた …
泣くでも …
逃げるでも …
暴れるでも なく …
まるで 眠っているような 三人の子供達 …
幾つもの 装飾品 と共に 神に捧げられた …
死 シ テ …
故 郷 ヲ …
皇 帝 様 ヲ …
オ 守 リ 致 シ マ ス …
三人の司祭達は 最後に 神に祈りを捧げ
雪山を下って行った …
私 ハ 祈 リ マ シ タ …
イ イ エ 私 ダ ケ デ ハ ナ イ ワ …
タ ク サ ン ノ カ パ コ チ ャ ガ 祈 リ マシ タ …
皆 ガ 幸 セ ニ 暮 ラ セ マ ス ヨ ウ ニ ト …
私 ノ 故 郷 ハ …
見 エ ナ ク ナ ッ テ シ マ ッ タ ケ レ ド …
私 ト 出 会 ッ タ …
貴 方 ガ 幸 セ ナ ラ …
私 モ 嬉 シ イ …
ダ ッ テ …
私 ガ …
神 ニ ナ レ タ ノ カ モ 知 レ ナ イ ノ ダ モ ノ …
彼女 の 死 …
カパコチャ の 儀式 を
現代を 生きる 私達が どうこう言う事等 出来ないけれど …
彼女達の 魂は …
汚れなく 純粋で 神の 一部になった …
私 は そう信じていたい …
だから …
500年前の ミイラだから 等と 騒いで
あれやこれや と 採取したりせずに …
返してあげて 欲しい と そう願ってしまうのです …