第11話 公国貴族の来訪
11話です。よろしくお願いします。
シャトーディーン王国は、古き時代から王宮を中心として発展してきた。
商業、工業、林業、農業――王を中心とした、国の政策は画期的であり、産業の発達が著しく、結果的に現在、王国の民は満足な生活を送っていた。
しかし、王国の土地は、ユグドラシルの遥か彼方の南東にあるからか、観光目的で外から人が訪れることは滅多に無い。
シャトーディーン王国国境には、巨大な石門が建てられていて、門番が半日交代で、不法入国者の監視を行う。
まあ、しょせんは田舎の国だ。――今日も今日とて無駄な仕事だろうな。
門番として雇われていた目つきの悪い兵が深く溜息を吐いた。
「おいおい、こんな仕事――やって意味あるのかねぇ……」
無駄口を叩き、念のため監視業務に徹しようと周囲を黙視する。
――まあ、立っているだけで金が貰えるなら、本望かもな。
自堕落な考えを思い付き、不気味な笑いを洩らす。
目つきの悪さも相まって――その笑いは、おぞましいものだったのだが、男にとっては幸いだったことに、周囲に人がいないのだった。
だが――途端、周囲を見回していた門番の目が止まる。
目に留まったのは、2人の……人、だろうか。
視力の良さに定評があった門番が目を細めて見たところ、両者、馬に乗って門へと駆けているようだった。
――しかも、母親と子供の親子連れのようだ。
母の方は、鮮やかな白金の髪を肩甲骨まで伸ばしている。瞳は、翡翠色。凛とした表情が似合う女性であった。右の腰に鞘を巻きつけて、サーベルを携えていた。その服装は、緑を基調とした胸部を紐締めし、袖丈が肘までのボディスに薄く風通しの良いロングスカートという貴族階級特有のものである。
対し、子供の方は白金の髪や、翡翠の瞳こそ親に似ていたのだが、服装はまるで違う。全身がタキシード姿なのだ。子の表情も、親と同じく凛としていて――容姿も加味して、絶世の美少年であることを周囲に晒していた。
「変わった客だな。公国の貴族が何の用だろうか?」
門番の男は疑問に持つ。
既に、王国への客は、門の目と鼻の先に迫り――そして、馬を操り、停止させる。
馬術もなかなかのものだ――門番が心中でそう、評し、一応の通過儀礼――入国手続きを始める。
「ええと、とりあえず、入国証にサインを。
そして、あなた方の国から発行された渡国証をこちらへ」
「――ええ、畏まりました」
凛とした女性が、門番から入国証を預かり、サインをし、再び手渡す。
手渡すと同時に、女性からの渡国証が番人へと渡る。
入国証とは、他国の人間の在国状況を管理するために門番へと渡される証で、渡国証とは、他国に渡る際に自国で承認を受け、その時に渡される身分証明書のことである。
渡国証には、身分や戸籍など様々な個人情報が載っている。
故に――名の知れた者ならば、門番から情報が伝播し、国中に広がることだってあり得る。
「スルーズ=ヴァルキュリア……って、あのヴァルキュリア家の現当主の!?」
「ええ。わたくしがスルーズです。――以後お見知り置きを」
そして、微笑みを交わす女性――スルーズ。
門番がニタニタと不気味な笑いと共に酔いしれているのを傍目に、1組の母子は、王国の門を潜り抜けた。
スルーズの後に続く『少年』は、凛とした表情を保ったまま、静かに告げる。
「待っていろ――ギルドマスターの弟子よ」と。
聖暦300年。
新たな物語は――とある『元・魔王候補』の少年が7歳になった後の初夏から、再び紡がれる。
第11話 公国貴族の来訪
「で、どうして――お前は、何度言っても分からないんだ?」
「えへへ~、だって、これが人の性というものでしょ?」
「だから、許可なしで人の部屋に侵入しあわよくば、添い寝――ってのは、人の性なのか?
……てか、魔族でも不法入室はしないぞ」
元・『魔族』、現『人間』の少年――ロキが断言する。
目線の先にあるのは、彼に絡みついた少女、マリア。
――おかしいな、昨日は部屋の鍵を何重にも堅く締めたのに。
鍵というものがそもそも、機能を成していない。一昨日、昨日――否、それ以前から、ピッキングの対策はしているのだが、それでもなお、1人の侵入者は確実に突破してしまう。
因みに、侵入した痕跡はなし。あの手この手を使うけれど、最終的には痕跡を無くさず去っていく。立つ鳥跡を濁さずとはよく言うものだが、この場合、後味が盛大に濁る。
「お前、まさか――人の部屋に勝手に入りたくなる性癖なんか持っているんじゃないだろうな?」
「何でしょう、お兄ちゃん――下手な洒落は止して」
「へいへい……って、なんで俺が説教を受けなければならないんだ?
大体、お前のすることは洒落になってないんだよ!」
「だって、洒落じゃないし。本心だし」
「本心で不法侵入、さらに、ついでで夜這いをする阿呆がどこに居るんだよ!」
「はいはい、あほは、ロキお兄ちゃん大好き人間のわたしです」
阿呆を認めるな――ロキは苦言を洩らし、頭を抱えた。俺の義妹がこんなに愚昧なわけがない! と心中で叫びたくなる。まあ、義妹と言えど、歳は両者同じく7歳。
――感覚は、まさしく双子である。
だが。
兄妹宣言をしたからには、互いに不埒な行為に勤しむべきではない。
……というのは、ロキの考えである。
義妹に恋愛感情を持つのは、人の性だろうか。
元・『魔族』には、よく分からない。
――というか、義妹経験をお持ちの方って希少価値だよな。
至極、どうでもよいことが、脳裏に浮かぶ。
即、掻き消す。
「で、マリア。お前は何をしに来た?」
「んーと、ただ単に、朝食の用意ができたから呼びに来ただけ」
「ああ、そうか。もう、朝なのか」
月日の移ろいが最近、特に早くなっているような気がする。
グラディエメイシアでの、時刻は『神樹刻』というもので、1日を朝、昼、夕、夜のカテゴリに分けて、その中でⅠの刻、Ⅱの刻、Ⅲの刻が等間隔に並べられている。Ⅰが、最初で、Ⅲが最後。1つのカテゴリがⅢの刻まで終わったら次のカテゴリのⅠの刻となる。
そんな神樹刻を計測するのが、目盛りの入った円筒状の筐体――ロキの部屋に立て掛けられた『刻計』である。微弱な魔力因子が、目盛り=神樹刻を指すという仕組みらしいが、詳しいことは、よく分からないのである。
――ただいま、刻計が指すのは、朝Ⅲの刻。
成程、確かに朝飯の時間。
いつもなら、一番で起きているのだが、日頃の疲れがあってか最近は、起きる時間が徐々に遅くなっている。
習慣の乱れは、後々の生活に響くというものである。気を付けなければ。
「……大丈夫、お兄ちゃん?」
「ああ、とりあえず」
「とりあえずって。なんか、ますます心配になっちゃうよ」
マリアが心配そうにロキを見つめる。
上目遣いで見つめられ、ロキの鼓動が高鳴った。
言っておくが、マリアは、ローザと同格と言って良い程、美人である。本人の前で言えば、調子に乗るだろうし、彼はあえて告げないでいる。
恐らく、マリアにもう少し自制心や、羞恥心が加えられれば、ローザ以上と言えるかもしれない。人間だろうが魔族だろうが弱点の1つや2つは必ず持っている。マリアの場合、残念なことに弱点が痛烈過ぎたのだ。
……まあ、たとえマリアが完璧才人だったとしても恋愛感情は感じないだろうな、あくまでも兄妹愛が限界だろう、とロキは推定する。
大丈夫だ、と彼はマリアの頭を撫でながら言う。
家族にはあまり迷惑をかけたくない性質であった。
「仕方ないなぁ……。お兄ちゃんは、いつも1人で背負い込むんだから。少しは私を頼ってね」
ああ、と曖昧に呟き、胸元で呟くマリアを眺め、彼はふと、思う。
――やはり、誰かに心配ごとをかけるのは俺の性に合わない、と。
朝食を食べ終え、向かったのは裏庭。
ロキは、毎日の鍛錬を欠かさず行っている。
本当ならば、陽が昇る前から始め、朝食前に終えるところ、今日は寝過ごしてしまった故に、時間をずらして鍛錬に励むことにした。
ロキは、裏庭の端、平屋の影に立て掛けておいた木剣を右手で握る。
誰もいない裏庭。ドールグは、ダンジョンへと赴いている。マリアはミョズの鍛冶場で手伝いをしている。つまり、彼1人だけの鍛錬。
――大上段に構えて、腕を振り抜く。
風を断つ音が、耳に入る。順調だ、と身体で感じ取る。
再び、構え――振り下ろす。
回数を増やしても、風切り音は劣ること無く、重低音が虚空に響く。
『素振り』は、毎日1000回を繰り返す。
体力不足だった特訓開始時はあまりにも過酷だったので、回数を分けて繰り返し、振り続けていたのだが――さすがに、4年も、毎日欠かさず鍛錬をしていれば、たかが素振り、造作もなくなる。
だが、手慣れたときこそ、手を抜かない。
同じ振り方、同じ力の入れ方――全て一律して同じように。
剣技のコツは既に掴んでいる。
だから、あとはコツを身体へと浸透させるのみ。
折角、ドールグという偉大なギルドマスター(実際の功績は知らぬが)が鍛えてくれたんだ。
きっと、後々の人生で活きてくる。
結局、勉強熱心で、根から真面目だった前世を持つ者は来世でも同じく生真面目なのである。
真面目でいて苦労することと言えば、人に頼れないという無駄なプライドか。
まあ、それを誇りに思っていなければ真面目者と言われる筋合いは無いのだろうが。
裏庭に、等間隔で鳴り響く音。
既に陽は店長に昇り詰めようとしていた。
汗の雫が、一振りごとに宙へ舞う。
ロキの頬を掠めた初夏の風は、爽やかなものだった。
途絶えず流れる汗を乾かすにちょうど良い。
シャトーディーンは、緑が映える季節になった。
レイヴァーテイン家の裏庭からは、山林の景色が眺望できる。
……その山林を超え、遥か遠くにあるのが――ユグドラシル公国。
決意を見据え、ロキは剣を振り続ける。
未だ、剣の速度は衰えることを知らない。
その勢いが衰えることはまず、無いだろう。
――彼の決意が折れなければ。
素振りを終えると、陽は天頂にあった。
ロキは鍛冶場へと向かうことにした。
レイヴァーテイン家の家業とも言える鍛冶の手伝いである。
とはいえ、重要な作業は全て職人に任されているので、ロキがするのは諸作業である。
ちょうどマリアも鍛冶の諸作業に精を出していることだろう。
木剣を元あった位置へと立て掛け、正面玄関へと出る。
直後、乾いた熱気が伝わる。チリリ、と微かな火の粉がロキの鼻先を通り抜けていく。
仕事の邪魔にならぬよう、玄関の端を通って奥へと入って行く。
最奥では、ミョズが大槌と鉄とを打ち鳴らしていた。
昨日の話によると、明後日この鍛冶場を訪れるという旧友に手渡す品を作っているらしい。
熱せられ、幾度となく打ちつけられた鉄は、濃い臙脂でぼんやり光っている。
ミョズ曰く、硬い鉄程、脆いらしい。
如何にして硬さと壊れ難さのバランスをとるかが大事、とのこと。
その調節をミョズが1人で請け負っている。
この鍛冶場の中では『師匠』という扱いを受けている彼女が受ける作業だ――繊細さは欠かせないはず。
また、大槌を扱うにも充分な技術が必要だ、とも言っていた。
かくして、ロキはマリアの横に座る。
彼女は、ミョズの作業を見学しながら、職人達への昼食を配膳していた。
ちょうど、昼Ⅱの刻。真昼なのだ。
今日のメニューは、握り飯。
王国産米をふんだんに使い、塩のみのシンプルな味付け。
たらい程の皿に詰めるだけ詰めれば、出来上がり。
空腹が満たされること間違いなしである。
――にしても、マリアの奴……握り飯しか作らないよな。確かに、アイツの料理のレパートリーは卵焼き、目玉焼き、握り飯だけだがよ……もう少し、別のものを作ろうとは思わないのかね。
苦笑いをしながら、皿に乗って鍛冶場へと運ばれた無数の握り飯を眺める。
決して、ロキは大口を叩いているわけではない。彼は、掃除、洗濯、料理などなど家事全般にも長けている男だった。
魔王候補時代は、よくローザとアリアに手料理を御馳走したものだ。
しかし、現在は御馳走する役割をマリア――前世がアリア――が担っている。
前世では、ルキフェルのこしらえた料理しか食べなかったし、そもそも料理経験ゼロだったのだ。
ロキと出会う前に習ったのだろうか。
貴族の家に生まれたことによるマリアの追加能力にも目が離せない今日この頃だ。
「お仕事御苦労さん」
「えへへ、ありがとうお兄ちゃん。
あ、だけど摘み食いは許さないよ! まずは、職人さん方からだからね!」
「ああ、わかっているさ。俺は、仕事していないから仕方がないよな」
「――一応言っておくけど、お兄ちゃんの分もちゃんとあるから、ね?」
「ん? そうか。さすが、マリアだ。後で特別に何か手料理を御馳走してやる」
「……その台詞、これまで何回聞いたんだか。
こっちの世界に来てから、お兄ちゃん、全く料理しなくなったよね」
……言われてみれば、そうである。
最近は、剣技に打ち込み過ぎて、他のことを疎かにしているような気がする。
特に、前世では得意分野だった家事全般はどうだろう。
――掃除、洗濯、料理。全て、マリアに頼みっきりだった。
徐々に自分が堕落しているようにも見えた。
「さすがに働かないとなあ」
「働いてよ、お兄ちゃん! 昔の輝きはどこへ行ったの!?」
「ローザのところ……って言ったら?」
「あの女、タダじゃ済まないんだから……!」
こめかみに青筋を浮かべるマリア。
必死になだめるロキ。
冗談が過ぎてしまった。
「まあ、今のは冗談だ。気にしないでくれ」
「充分気にしたんだけど!? 責任とってよ、お兄ちゃん!!」
「はいはい。悪かったな、マリア」
涙目で頬を膨らましているマリアの頭を優しく撫でだ。
彼女の頬は、うっすらと赤みを帯びている。
いきなり、髪を撫でられたからか――羞恥に頬を染めたのだろうか。
一旦、撫でていた手を離そうとする。
だが。
「やめて。まだ撫でて。撫でていないと許さない」
「これは、新手の処刑か……そうか」
頬を赤く染めている美少女の頭を軽く撫でる刑だと。
生きとし生ける男性の本懐なのではないか? という無駄な疑問が生じる。
ロキは、マリアのセルフ撫で撫でプレイに従っていた。
と、その時である。
突如として、玄関に影が発生する。
蹄鉄の音、甲高い無き声から察するに、馬である。
「あら……、あたしの見込みよりも早く着いたようだね、お客さんは」
先程まで大槌を振るっていたミョズがその動きを止めて、玄関の奥を見据える。
瞬間、職人達の動きも制止。皆、一様にミョズと同じ方向へ視線を動かす。
その視線をロキも追った。
あるのは、2頭の馬。そして、それぞれの馬に乗った人影。
陽が照らしているのだろうか、人の影はあくまで影であって、その顔、容貌までもは露わにならない。
2頭の馬は、鍛冶場の手前で止まっている。2人、馬から降りてくる。
そこで、初めて容姿が目に飛び込む。
2人のうち、前方を歩くのは女性だった。引き締まったウエストは、緑を基調としたボディスによって締め付けられ、体型の良さを際立たせている。翡翠色の瞳に、白金の髪は、爽やかな初夏に程良く溶け込んでいる。
また、後方を歩くのは、少年だと思われた。前方の女性と同様、翡翠色の瞳と白金の髪は爽やかに輝く。その少年はタキシードを纏い、まさしく紳士的な男性像を示していた。
「ああ、やっと来たのね――ヴァルキュリア侯爵、いや、スルーズ」
ミョズは、静かに笑いながらその名を告げた。
また、静寂の中。
その言葉に呼応する声1つ――鍛冶場に木霊する。
「ああ、わたくしは来ました、ミョズヴィトニル。
――我が子供、シグルーンと共に」
突如、空間に動きがあった。
ロキの眼前が、ぐらりと揺れる。
風圧が一斉にロキへと向けられた。
警戒――心中で警鐘を鳴らす。
即座に、ロキは戦闘態勢に入った。
動体視力が追い付く――彼の目が捉えたのは、タキシードの少年。
スルーズと呼ばれた女性の子供らしい。
名を、シグルーンと言っていた。
直後――手刀がロキの眉間へと放たれる。
だが、適応。
手刀を左腕で掴み、防御。
攻撃の体勢――即刻、右の拳を眼前へと放つ。
躊躇は無い――相手から仕掛けた戦闘に躊躇いは要らない。
ゴッッッ!! という鈍い音が静けさを彩る。
直撃。
勢いでタキシードの少年が、後方へと飛ばされる。
鍛冶場の玄関を通り抜け、平坦な地面へと落下。
その体たらくが引きずられる。
ロキは、タキシードの少年から視線を移さず――開口一番。
「ったく、何だって言うんだ……!」
不満故の怒りを洩らした。
そんな彼の後ろから、挑発の声が1つ飛ぶ。
――明らかに、ミョズの声だった。
「全く、不意打ちが好きなのは親子変わらず、かな」
「フフ、君の子供もお前と同じく、俊敏なんじゃないです?」
鍛冶場が一瞬にして、戦乱の場に変貌する。
殺気だったミョズの視線が、玄関前のスルーズへと向けられる。
「今日という日に限って、お前がお客だったとは……あたしもついていないな」
「なんだ……わざわざ、彼方のユグドラシルから訪れたというのに、歓迎なしです、か」
――全く、何だって言うんだ。
ミョズは、スルーズとかいう如何にも貴族風情のような女性と口論。
火種が飛んで、ロキにはシグルーンと言う厄介者が付きまとう。
「おいおい、事情を聞かせてくれよ、母さん」
場違いに気の抜けた声で問う。
答えは、単純なものだった。
「スルーズ=ヴァルキュリア――彼女は、わたしとユグドラシル聖術学院での同期で、かつ、犬猿の仲だったの」
再び、スルーズの後ろでシグルーンが立ち上がる。
土埃を払って、再び迫ってくる。
「で、何の用なんだ!? スルーズ!
別段――俺に攻撃する必要はないだろう!!?」
「フフ、甘いな、坊や。――君の戦いは、わたくしとではない。
君の相手は、シグルーン。彼の目的は――」
スルーズの声に呼応するように、再びシグルーンが迫った!!
迷うことなく、間近にいたマリアを後ろへと突き倒す――逃げろ! という叫びと共に。
疾風の如くロキへと近づくシグルーン。
耳元で――囁く。
「ギルドマスターの弟子である君と、決闘がしたい――それが僕の目的だ」
突如。
無数に分かたれた旋風がロキの胸元で炸裂した。
無論、その速さには追いつけず――受け身を取るのに精一杯となったのだが。
11話、読んでいただきありがとうございます。
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NEXT……3/13 PM8:00




