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幸せの森のシルヴィア  作者: RuRu
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スギの茶会

 食糧・エネルギー・武具を中心とした貿易を生業とする経済団体・『スギの茶会』は、七人の”元老”によって構成されている。それら元老による多数決の結果を『スギの茶会』全体の総意とみなし、それに基づいて運営の方針を決定する。


 『スギの茶会』は特定の民族や国家に属しない。多種多様な人間を、会にとって有益とみるや召し抱え、必要な教育を施して一人前の商人に育て上げ、世代交代を繰り返すことで歴史的な発展を遂げてきた。


 イーシル族によって滅ぼされかけた『チタ族』の残党一派が助命を乞うてきたとき、いの一番に「これを保護すべき」と叫んだのは、『スギの茶会』の元老のひとり――オリジン・ストゼであった。

 古くから、チタ族の王――シストリアス・アルバトール・チタと親交があり、もって生まれた義理人情に厚い性格が災いして、チタ族を受け入れることを他の元老へ執拗に迫ったのだ。


 オリジンがそこまで言うのなら、と、しぶしぶながら従う元老もいて、多数決の結果は4:3の賛成多数で終結した。


 そんな経緯で、『スギの茶会』はチタ族の生き残りを受け入れることとなった。


 オリジンは己が一人で立ち上がることもできない、老人であった。それからすぐ病に臥せり、余命いくばくもないことを医師から宣告されている。視界も朦朧とし、日に日に食も細りはじめ、一年後ついに息をひき取った。


 『スギの茶会』は、スギの木の生い茂る”ザトー山”を根城としていた。粉雪が吹き荒ぶ、峻険な山である。雪化粧されたスギの木は、あたかも埃にまみれた槍を想起させた。

 ザトー山の山頂には『スギの茶会』の街・オウルアイがあり、こごえるような寒さを除けば、オウルアイの住人は食うに困ることもなく、組織化された自治機構もあって、貧困や争いごととは無縁の安楽な暮らしを謳歌することができた。


 はじめのころは、チタ族もそこへ住むことを許されていた。


 けれどオリジンが死んでからというもの、『スギの茶会』によるチタ族への風当たりは強くなった。チタ族に味方するということは、取りも直さず、あの冷酷で野蛮なイーシル族と敵対することを意味する。会としては、それだけはどうしても避けたかったのだ。


 けれども一度は受け入れを許可した以上、無碍に追い出すことは倫理に反する。


 ザトー山の山腹に位置するひらけた丘にチタ族を追いやったのは、『スギの茶会』としては苦肉の策であった。

 もともと受け入れには反対の立場を表明していた元老たち――とりわけ、オリジンと仲の悪かったエカテー・ハラルなどは、そこでチタ族が餓死でもしてくれることを願ってやまなかった。


 チタ族をひややかに扱ってさえいれば、いざというときに言い訳は立つ。

 そんな願望ともとれる理由づけによって、チタ族はあらためて独自に集落を形成することとなった。


 もともとが森で生活をしてきた民族である。数は減ったとはいえ、それでもまだ一〇〇人ほどの仲間がいた。チタ族は力を合わせて食糧を集め、器用に家を建て、貧しいながらもなんとか生活を営みはじめていた。


――シルヴィア・アルバトール・チタ王女が、お戻りになるらしい。


 そんな噂がチタ族の間でまことしやかなに囁かれはじめたのは、丘の集落が一応の完成をみて、ようやく安楽な生活を過ごしはじめたときのことだった。


 その噂に狂気乱舞したのは、チタ族の鍛冶屋――エレノア・アンデルセンだった。


 なんでも、チタ族一の剣士と名高いジャン・ポール・フランコが、イーシルの魔の手に落ちていたシルヴィア王女を救出したというのだ。


「さすがは、ジャン!」


 切株を机代わりにして、醸造した酒を仲間とくみかわしながら、エレノアは高らかに叫び声をあげた。気分が良いらしく、スギの木を削って作ったコップに口をつけ、一気に傾ける。


「ジャンは、小さい頃からお前の兄貴分だったからな……」


 訳知り顔の男――サザイは、酒を片手に浮かない顔をしている。


「なんだよ? もっと喜べよ。王女がお戻りになるんだぞ?」


 笑顔で酒を注ぎながら、エレノアがサザイに訴えかける。しかし、彼はうつむいて深くため息をついた。


「いいか? 王女が戻ってくるってことは、またイーシルのヤツらに目をつけられるってことだ。もう俺たちに戦う力は残っていない。兵を向けられれば、今度こそ終わりだ」


「サザイ。お前は自分が言っていることが理解できているのか? つまり、王女がお戻りにならないほうがいいとでも言うのか?」


「ああ、そうだ。その方がチタ族のためだ。俺らはやっとの思いでこうして集落を形成し、平和に日常を送る権利を得たんだ。そこへ、……今までただ逃げ回っていただけの王女が戻ってきてみろ。ふたたび争いの種が持ち込まれ――ガッ」


 サザイは突然、横倒しになった。エレノアは立ち上がり、握り拳を作って、その姿を見下ろしている。目つきはキツい。


「いてぇじゃねえか! なんで殴るんだよ!」


「キサマが王女を侮辱したからだ!」


 怒りに体を震わせながら、エレノアは歯ぎしりをする。


「べ、別に侮辱したわけじゃねえ。俺はただ事実をだな……」


「もういい! キサマと話すことなど、もうない!」


「おい、ちょっと待てよ」


 引き留めようとするサザイを尻目に、エレノアはその場を走り去る。


 駆けながら、エレノアは思った。


 シルヴィア王女がお戻らないほうがいいだと? サザイはいったい何を考えているんだ。王女がお戻りになれば、にっくきイーシル族を駆逐し、チタの森を取り戻すことができるではないか。それが、我らチタ族の悲願ではないか。


 アイツの考えは、チタ族にあるまじき考えだ。


 こんな集落での生活など、誇り高きチタの民が望むはずなどないではないか。我らはみな王女のお戻りを心待ちにしている。王女がお戻りになれば、きっとアイツだって目が覚めるはずだ。


 それにしても、あの惨劇から今年ではや一〇年の月日が流れようとしている。


 シルヴィア王女はどのようなお姿にご成長なされただろう。


 そんな想像をたくましくすると、エレノアは頬を染め、凝り固まっていた表情はしだいにほぐれていった。




 ××××




「シルヴィア様、こちらです」


「は、はあ……」


 馬車から差し出されるジャンの手を、シルヴィアはどぎまぎしながら掴んだ。彼の腕は細くそれほど筋肉があるようには見えなかったが、不似合に力が強く、シルヴィアの体は軽々と引き上げられた。


 馬車に揺られながら、シルヴィアは外の景色を眺めた。

 ひらけた平原だった。ところどころに木々が伸び、遠く地平線の彼方に山々を望むことができた。平らな石を埋めて作った一本道を、シルヴィアを乗せた馬車がひたすら進んでいく。行先は……わからない。


「どこへ行くの?」


 しばらくしてシルヴィアが不安げに尋ねると、ジャンはその相変わらず表情のない顔を下げ、平伏して答える。


「我らの仮宿である、『スギの茶会』領・ザトー山でございます」


「……我ら?」


「チタ族の民、でございます」


 チタ族。その言葉を聞き、シルヴィアはかつての母の言葉を思い出す。


 チタ族は、明朗にして善良な民。日々の小さな幸せを自分のものにはせず、『幸せを循環させよ』との王の言葉を忠実に守りながら森と共生してきた、純粋でいて賢い民族。


 自分がそのチタ族の王女であるとジャンから聞かされたとき、シルヴィアははじめ冗談だろうと思った。なぜなら、母からそのようなことはいっさい聞かされてはいなかったし、これまでずっと貧しい生活を強いられてきた彼女からすれば、自分がそんな高貴な身分の者であるとは考えも及ばなかったからだ。


「シルヴィア様はそこへご帰還めされ、チタの民を導いていただかなければなりません」


「導く? どこへ?」


「チタの森、でございます」


 チタの森は、イーシル族によって踏み荒らされ奪われた、元のチタ族の住処。母から聞かされそのことを知っていたシルヴィアは、ふるふると首を左右に振る。


「でも、どこにあるのか知らないわ」


「それがしが存じ上げております」


「だったら、あなたが連れて行ってあげればいいじゃない。なんでわざわざ、わたしなんかを迎えにきたの?」


「場所は知っていても、それがしがチタの民を導くことはできません。チタの森は、すでにイーシルの手中にあるからです」


 シルヴィアはおもむろに首をひねる。窓の外では、前方から後方へと見たこともないスピードで大地が動き、景色が移り変わっていく。


「つまり、戦争をして取り返すってことね?」


「さすがはシルヴィア様。聡明にございます」


「それこそわからないわ。わたしみたいな子どもより、あなたのほうが何倍も強いでしょう? それなのにどうして――」


「強さ、とは暴力だけを意味するモノではありません。もっと尊く強い力があなた様にはございます」


 しばし黙考したが、シルヴィアにはわからない。


「それは、なに?」


「シルヴィア様は、今は亡きシストリアス王のお血を継がれていらっしゃる。ブルースカイの輝きがその証明です」ジャンは、シルヴィアの胸元を指さす。「ブルースカイはチタの指導者に受け継がれてきた、至宝。石自体が、持ち主を選ぶと云われています。その輝きは、シルヴィア様がまさにブルースカイに選ばれた証でございます」


「……よくわからないわ」


「いっこうに構いません。今はただ、私とともにチタの集落へと向かいましょう」


 ジャンはそう言うと、椅子に深く腰掛け、着ていた黒衣の外套で全身を包んだ。


 そうして目を瞑ると、疲れていたのだろう、すぐにかすかな寝息がシルヴィアの耳に届いた。




 馬車の心地よい揺れに、シルヴィアもまたうつらうつらとしていると、突如、眠気を吹き飛ばす甲高い声が馬車内に轟いた。


「ねぇねぇ、シルヴィアー? シルヴィアったら、シルヴィアー?」


 シルヴィアの肩をぽかぽか叩きながら、その者はうるさく呼びかけつづけた。


 見ると、シルヴィアのすぐ隣に女の姿があった。艶やかな肌、長い髪、毛皮の着衣、すべてが白色をしている。ふたり乗りの馬車のなかは、彼女の羽が余計な場所をとって窮屈だった。


「何者だ!? モノノケの類か!?」


 飛び起きて、帯剣の柄に手を掛けるジャン・ポール・フランコ。シルヴィアは必死の思いで彼を押しとどめる。


「待って、心配ないの! わたしのお友達だから。ね、コウモリさん」


 コウモリはジャンを一度振り返り、怪訝そうな目をしてシルヴィアに言う。


「なによ、コイツ。ムカツクー。血の気ありすぎじゃない? ちょっと抜いてやろうかしら」


 コウモりが口角を上げると、鋭い八重歯がむき出しになった。


「シルヴィア様。危険です、ソイツから離れてください」


 ジャンがコウモリに掴みかかろうとした。


 ジャンの手が彼女に触れる直前、ポン、と乾いた音がして、煙があがった。まるで蒸発するかのように女の姿がなくなり、そこには一匹の白いコウモリが現れた。


「コイツ、うっさいわー。せっかく、いーっぱい虫採ってきたのに、喜びが冷めちゃったわ。シルヴィア、後で一緒に食べましょ」


 そう言うとコウモリは、シルヴィアの肩にとまって羽を畳んだ。シルヴィアの膝の上にはいつの間にか牛乳瓶があり、そのなかには大小のバッタやミミズ、ハエや幼虫がうようよと蠢いていた。


「コウモリ……? 純白の……?」


 きょとんとした表情で、ジャンはコウモリを見つめている。


「どうかしたの?」


「そのコウモリは、チタの伝承にあるあのコウモリですか? チタ王とともに、世界を平定したという……」


「は? コイツなに言ってんの。頭、オカしいの? 嫌いだわー。あたし、コイツ嫌いだわー」


 罵倒されながらも、ジャンはまるで少年のように目を輝かせ、コウモリを見つめ続けていた。


 しばらくして、着実に目的地に向け進んでいた馬車のスピードが緩まり、そして止まった。


 ジャンは窓をあけてそこから顔を出し、運転手を覗いた。


「どうかしたか」


「いえね、旦那。あれをご覧くだせぇ……」


 運転手は正面を指さした。シルヴィアも反対の窓から顔を出してその方向に目を向けた。


 一〇〇メートルほど先に、なにやら整然と隊列を組んだ人間の集団があった。皆、銀製の鎧姿で、そのなかの何名かが黄土色の旗を掲げていた。旗には、なにやらフクロウらしき絵が描かれている。


「『スギの茶会』の自治兵団か……」


 ジャンがうめくように言った。不思議に思って、シルヴィアはジャンに尋ねる。


「チタ族は、『スギの茶会』の領内に住んでいるんでしょう? だったら、お友達のはずよね? もしかして、わたしたちを迎えにきてくれたのかしら?」


「そうは見えませんね。完全武装しています。私たちを待っていたのだとしても、明らかに歓迎のためではありません」


 ジャンに促され、シルヴィアは馬車を降りた。すると、『スギの茶会』自治兵が形成していた陣形の、もっとも最前列にいたひとりの兵士がこちらに近づいてくる。彼はたくましい馬に乗っていて、他の兵より豪奢な武装をしていた。おそらくは指揮官だろうと、シルヴィアは推測した。


 ジャンは、騎馬の指揮官と向かい合った。シルヴィアはジャンの後ろで、体を小さくしている。


「その娘が、貴様らチタ族の云っていたシルヴィアか」指揮官の、品定めするかのようなねっとりとした視線に、シルヴィアはあわてて顔をうつむける。「貧相なガキだな。チタ族はそんなガキを崇めているのか。情けない」


「エカテー、身分をわきまえろ。こちらにおわすのは、恐れ多くもチタ族の王女――シルヴィア・アルバトール・チタ様であるぞ」


「ははっ! 我はチタ族などという卑賤な民族の出身ではない。すなわち、そんなガキに敬意を表する必要もない」


 その瞬間、あたりの空気が張り詰めたのがシルヴィアにもわかった。目の前のジャンの体が怒りに震えていた。


 どうにか穏便にすませなければならない、と思ったシルヴィアは、ジャンの手を掴み、つとめて表情をやわらかくしてうなずいた。

 ジャンはそんなシルヴィアの意図を察したようで、うなずき返すと、落ち着き払ってエカテーと呼ばれた指揮官に問い掛けた。


「それにしても、エカテー。この仰々しい軍勢は何のつもりだ?」


「キサマらを待っていた」


「待っていた、だと? ……そうか、お迎えご苦労。我らは先を急ぐので、これにて失敬――」


「待て!」


 シルヴィアの手を取り、軍列を迂回しようとジャンが歩き出すと、大地をゆるがすかのようなエカテーの大声があたりに響き渡る。


「そいつを引き渡せ、ジャン。そうすれば、お前は見逃してやる」


 ジャンは立ち止まり、音も立てずひややかにエカテーへ向き直る。


「エカテー・ハラル。『スギの茶会』の元老のひとりともあろう者が、チタ族との約束を違えるのか?」


「約束、か」エカテーは中空を見上げる。「あの老害――オリジン・ストゼに取り入って、貴様らが我ら気高き『スギの茶会』に結ばせた約束は、”助命を受け入れる”というものだったはずだ。王女を匿うというのなら、話は別だ」


「イーシルが怖いか? エカテー」ジャンは苦笑する。「”スギの防壁”と恐れられたキサマも、今となってはこのような有様か」


「いいか。俺をいくら愚弄しようとも、シルヴィアを引き渡せという命令に変更はない。なぜなら、それが元老による多数決――『スギの茶会』の総意だからだ。邪魔立てするというのなら、キサマ諸共、我が大剣――”ジャヴァトール”の錆にしてくれるわ!」


 エカテーは自身の股下――馬の背に括りつけられていた、大剣を引き抜いた。巨大なのこぎりのような見た目をしている。天を突かんが如く掲げると、日の光を帯びてぬらぬらときらめいた。


 ジャンは、即座に腰元へ手を掛けた。


「くっ!」


 しかし次の瞬間、ジャンは勢いよく前倒しに倒れ込んだ。突然、背後から現れた数名の兵士に、後頭部をしたたかに殴りつけられたのだった。


「しねやぁ!」 


 大剣――ジャヴァトールが、シルヴィアをめがけて振り下ろされる。シルヴィアは恐れおののき、身を竦ませて目を瞑った。


 だからそのとき、いったい何が起こったのか、シルヴィアにはわからなかった。


 ジャヴァトールが自身の体に達していないことは確かだった。衝撃も痛みも感じなかった。斬撃の風圧も、衝撃音も聞こえない。


「――うっ」


 何者かのうめき声だけがわずかに聞こえる。


 シルヴィアが薄目を開けると、そこにはとんでもない光景が広がっていた。


 いななく軍馬。その足元にうつぶせに倒れ込んだ、屈強なエカテー・ハラルの体躯。

 彼の背中には何者かの片足が乗っている。エカテーの腕の太さの半分にも満たないほど細いその脚は、布のブーツを履いている。赤味がかった健康そうな太ももは、周囲の凍えるような寒さを物ともせずむき出しにされ、数本のベルトが巻き付けられた短パンと、上半身には頼りなさげな薄いレザーメイルを着ている。背中には、自身の身の丈ほどもある巨大なハンマーを背負っている。


「シルヴィア王女? はっじめましてー、トト・アルバートっていうのです。お迎えにあがったのです」


 少女だった。シルヴィアよりも一回り幼い。金髪のショートカットで、垂れた目尻とあがった口角は、彼女の性格が朗らかであることの証明に思える。


「殺します?」


 シルヴィアが呆然して立っていると、少女――トトは、背中に下げていた不似合いの巨大なハンマーを取り出した。鉄製で、無数のトゲトゲがついている。


「ひゅー」シルヴィアの肩にいるコウモリが口笛を吹く。「カッコいいわねぇ」


 トトが、ハンマーをエカテーの頭上で振り上げたので、シルヴィアは慌ててそれを制した。すると、トトは笑顔のまま小首をひねる。


「殺しません?」


「う、うん。その必要は……ないと思うわ」


 正直なところ、シルヴィアはトトを恐れていた。トトの機嫌を損ねてしまえば、エカテーから自分へと、攻撃目標が変わってしまうのではないかと思った。

 けれどもトトは、やはり微笑んだ表情のまま素直にうなずくと、


「仰せのままに、なのです」


 日に照らされ、ただでさえ明るい彼女の笑顔は、余計に清潔そうな輝きを増した。


 ”天使”というものが実在すれば、おそらくこんな外見なのだろう、とシルヴィアは思った。


 もちろん、背中の物騒なモノを除いて、ではあるが。


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