オネエ、カフェ・テラス
入学式初日鎌田大地は、放課後波風楓花と出会った。そして一緒に町を歩くことに・・・
「さーてと、帰りますか。」と今日初日の高校のスケジュールが終わり、クラスの皆がこれから使用する教材を各自紙袋につめている中、大地はやっと終わったかのように一人つぶやていた。中には教材を各自に用意されてあるロッカーに詰めて手ぶらで帰る生徒もおり、大地も何冊かロッカーにしまっていた。その時に、「大地!終わったね!」といきなり大地の後ろから肩に手を置きながら話しかけてきたのは白い髪をしたまるで子供のような感じで可愛らしい顔をしたエリーゼだった。
大地は「ちょっと!」と困りながらも少し焦った感じでエリーゼに
「エッ、エリーゼ!ここは学校なんだからこういう事はなむやみにしないでくれますか」と大地は言ったが、エリーゼはそんなこと気にしないような感じで、
「ごめんなさい、本当は嫌なんだよね。・・・今度からは気を付けるから」となぜか悲しそうな感じで答えすぐに明るく振る舞ったように「じゃあ、帰ろうか」と言ったので、大地は少し困惑したもの返事をし学校の校門の前までエリーゼと一緒に歩いて行った。
「エリーゼちゃん!」と校門の前には、波風楓花が立っていた。楓花は違う高校の制服を着ており、何かいつもと違う雰囲気を感じた。大地は楓花にどうしたんだと言ったが、楓花は少し言葉に詰まりながらも
「えっ、あ、うんちょっと近くを通ったからダイちゃん達も今頃に終わるかな~と思って待ってたんだよ。」と言うと、大地達の後ろから「お~い!」と声が聞こえると、そこには絵里奈と結城がいて大地達に近づき「大地くん、エリーゼちゃん。ごめんね遅くなって。あれ?波風さん?」と絵里奈は大地達に言った。波風楓花は「あの時はどうも」と言った感じで軽く絵里奈達に挨拶をしてこれからどうするの?と大地達に問いかけると、「う~んそうだな、まだ15時だし少し町をよってみようかな」と答えると、エリーゼも「私も行く!」と真っ先に言い、絵里奈は「じゃあ私はここで失礼するね。ちょっと用事があるから。波風さん、また今度会ったらどこかに行きましょ」と言い先に駅の方向まで一人向かっていった。
結城は「俺もちょっと用事があっていけないんだわ~すまないな、また荘で会おうぜ!」と大地達に言い
絵里奈とは違う方向の道を歩いていった。その後ろ姿を見送りながら大地は楓花に「お前はどうするの?」と聞くと「もちろん、行きます。」と答え、一度高校をあとにして町に出る事にした。
第8都にある北源資源高校から少し離れたところには、高層ビルなどが立ち並ぶオフィス街があり、第9都の地域まで来ていた。そこにはいろいろな店がありにぎわっていた。そんな中、大地は歩きながらじろじろと楓花を見ていた。波風楓花はその視線を感じながらも大地に「ダイちゃん?さっきから視線を感じるんだけど・・・何?」と困惑しながら言うと、大地は「いや~楓花の制服って結構お嬢様が通うような感じの制服してたから。つい見とれてしまっただけだよ。もしかして実際にお嬢様も通ってるの?」となにげない言葉に対して、波風楓花はちょっとはずかしながらも「まっ、まあね。実際、私が通っている高校は女子生徒しかいないから、特に制服には凝っているんだと思うんだけどね。」と答えると「へえ~」と大地はやっぱすごいんだなと感心していた。その時に「ああ!犬がいるよ!」とエリーゼが大地達に言いながら一人その犬の方に向かい走って行った。そこは大きな噴水がある公園のすぐ隣に隣接する広いテラスがあるしゃれた白い平屋のカフェテリアのような店があった。そこのテラスには6人掛けのテーブルが4つほどおいてあり、犬はそのテラスでぐったり気持ちよさそうな感じで寝そべっていた。
「あっ、エリーゼ、ったく・・・楓花、いったんあそこで休憩でもしようか」大地は言うと「え、ううん」と答えエリーゼの後に続いてテラスまで近づいた。
エリーゼはしゃがみ込むとテラスにいる大きい犬に「よしよし」と撫でこんでいた。エリーゼに追い付いた大地達は「やれやれ」と言っていると。店のほうから体の大きい白いカッターシャツの上に黒いエプロンらしきもの来た男性が現れ「あら、やだ!お客さん?ごめんなさいね、気づかなくて。」となぜかその体にあわないおねえ見たいな口調で大地達に話しかけると、「あ、すみません。いきなりテラスから上がちゃって。」と大地は答えると。「あら、いいのよ。その子も喜んでるみたいだし。あれ!・・・もしかしてエリーゼちゃん?」とその男性はエリーゼを見ながら言うと。
「あ!、こんにちは。ヨネさんいる?」と語り掛けた男性に言った。なんのことがわからない大地達はその男性に質問しようとしたその時、店のほうから背の低いお婆さんが現れ、
「おや、エリーゼかい。久しぶりだね~」とまるで孫に久しぶりに会うかのような口調でエリーゼに言った。
エリーゼは、そのお婆さんに抱き付き「ヨネさん~!会いたかったよ~」というと、「おやおや、また大きくなったね、エリー。」と抱き付いてきたエリーゼをぎゅっとしながら頭をなでていた。その光景を見ていた大地達は「あ。あの~」と言うと。そのお婆さんはエリーゼをまだぎゅっと抱きしめながら。
「おや、すまないね。まあここで立ち話もなんだから、店の中にお入り。」と言いながら。ぎゅっと抱きしめていたエリーゼを離して。手を繋ぎながら二人は先に店の中に入っていった。その出来事に戸惑っていた大地達を男性は「まあ。ママもそう言っていることだし。私たちも中に入りましょ」となぜかオネエ言葉の口調で「さあさあ」と大地達を軽く背中を押しながら店に入って行った。