*出会い
髪の短い私にはマフラーがかかせない時期
母と恐る恐る向かった合格発表
県内では5本の指に入るほど超難関な高校を受けた私、佐々木静香(ささきしずか)。
正直高校なんてどうでも良かった
小さいころから勉強勉強
小学校も中学校も高校もすべて母親が選んでた
別に母親が憎いわけではない
「静香、緊張してるの?貴女なら大丈夫よ」
そう言って私の頭をポンポンと叩く母親
「緊張はしてないよ。試験簡単だったし」
母は、私が小さいときに亡くなってしまった父の代わりに
仕事も子育てもすべて一人でやってきてくれた
そんな母の期待を裏切りたくなかった
その一心だけだった
「163・・・164・・・167・・・168・・・168!あったあった!」
母が甲高い声で言う
会場に着くと泣いてる人もいれば笑ってる人もいた
そんな中彼と出会った
自分の番号を確認して
帰ろうとしたとき
ドンッ
人にぶつかてしまった
「ごめんなさい!」
その人は坊主頭で背が高く
すぐに私は少し恐怖感を抱いてしまった
必死に私は謝った
どうやら彼は試験に落ちたらしい
「お前受かったの?」
「一応・・・受かりました・・・」
「そっか。」
最後の彼の声は少しさびしげに聞こえた
彼の手が震えていた
きっと・・・きっと悔しかったんだと思った
「あの・・・これ・・・」
私は彼に自分の身に着けていた手袋を渡した
渡したと同時に母の呼ぶ声が聞こえた
どうやら親戚への電話が終わったらしい
「んじゃ・・・私そろそろ・・・」
そう言って彼に背を向けた
彼は何も言ってはこなかった・・・
これが運命と言うものだろうか
それとも偶然なのだろうか
良く分からない
だけどあなたとの出会いは私にとって運命でした