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遥か彼方  作者: 犬人
3/6

プレゼント

携帯電話から見やすいように、改行多めとなっておりますが、

ご了承ください。

時は進み、12月も半分過ぎたある日の休日、

ユウは自宅から二つ駅を乗り継いで、とあるデパートを訪れていた。



店内に一歩入ると、華やかに飾られたツリーやリースが所々に置いてあり、クリスマスの再来を実感させる。




ユウはそれを目にしつつ、上の階を目指してエスカレーターに乗った。


ちなみに行き先は3階のランジェリーショップ。



そう、今日はハルへのクリスマスプレゼントを買いに来たのだ。



エスカレーターに運ばれて、無事に目的地に着いたが、お客さんは女性やカップルがほとんどで、男は1、2人程度しかいない。



(みんなプレゼントを買いに来たのかな)



なんてことを考えながら、飾られてある装飾品を順番にチェックしていく。



どれがハルに似合うかなぁと悩んでいると、他より一際大きなガラスケースがユウの目についた。


(うわぁ、すげえ……)



そのガラスケースからは美しい光が飛び交い、放たれる神々しい輝きは、他の宝石を圧倒していた。



その中で、良さげなネックレスを1つ見つけて、値段の書いてあるタグに目を向ける。



(……こっちもすげえ)



いくらか貯えはあったのだが、到底ユウには手が届かない代物だった。




「いらっしゃいませ。プレゼントをお探しですか?」



戸惑っているユウを見かねたのか、一人の店員が声をかけてきた。


「あ、はい。彼女になんですけど…」


「予算はおいくらでしょうか?」



「えっと…大体1万位です」



幾つか質問に答えると、店員は左隅にあるスペースへ案内した。



そこには、さっきのガラスケース程の輝きは無かったが、女の子が好むような可愛いらしいアクセサリーが並んでいた。



「これなんかはオシャレで、女の子に人気ですねー」



などと、店員に様々なネックレスや指輪を勧められ、少し助言をもらい、悩んだ挙句…




ペアネックレスを買うことにした。



普段はイルカを模したネックレスだが、



「これを二つくっつけると……」



二匹のイルカは見事に合わさって、ハートの形へ姿を変えた。



「これにします。」


それを見た瞬間、ユウは即決した。



代金を払い、クリスマス用にラッピングされた箱を受けとりながら、ユウはわくわくしていた。


ハルは喜んでくれるだろうか。

喜んでくれたら、いいな。




同時刻。


ユウがネックレスを買ったちょうどその頃―



ハルは親友であり、幼なじみでもある由美と一緒に、駅前に新しく出来た雑貨店にやってきた。


もちろん、ユウへのクリスマスプレゼントを買うために。



棚の中で所狭しに並んでいるアクセサリーを一つ一つ眺めていると、由美がポンポンとハルの肩を叩いた。


何だろうと後ろを見ると、


「これ何かどう??ユウ君のイメージにピッタリじゃない!?」


そう言いながら、ハルにクマのぬいぐるみを見せびらかす。


手に握られたぬいぐるみは、どうだ、とでも言いたげな誇らしい表情をしていた。



「うーん…ユウには可愛すぎない?」


「そうかなぁ??似合うと思うけどな…」



渋りながらも、由美はぬいぐるみを棚に戻す。


その後も由美と一緒に店内を回ったが、中々これだと思えるような代物に出会えずにいた。



「ユウ君はどんなのが好きなの??クリスマスプレゼントっていっても、範囲が広すぎて決まんないよ。」


「ユウの好きなもの…」


何があったっけ…


ユウの表情や言葉が浮かんでは消え、浮かんでは消え、を繰り返す。


『一緒に帰ろ』


『この前の誕生日ありがとうな』


『へぇ……ハルって甘いもの好きなんだ』







『おはよ。すっかり寒くなったね』



……そうだ!


「由美」


「え、何?」


気に入ったのか、さっきのクマを夢中でいじくっていた由美は、突然呼ばれたことに少し驚いた。


「私…マフラー編んでみようかな」


「へ?ハル編み物やったことあるの??」


「ううん。ない」


「はぁ!?クリスマスまでもう10日も残って無いよ??」


わかってる。でも…


「大丈夫、頑張って間に合わせる」




それを聞いた由美は、ただ苦笑するばかりだった。


その後由美と別れたハルは、編み物の道具一式を購入して、帰路についた。


そしてその日から、毛糸との格闘が始まる。


毎日夜鍋をして、絡まる毛糸に苦虫を噛む思いをしながらも、着々とそれを完成に近づけていった。

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