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終焉からの脱出

作者: 15(jyugo)

ほかのサイトに投稿していた作品です。


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章タイトル: プロローグ。

-----------------------(p.1)-----------------------


今から20年程前の事になります。


当時30歳前の私は(伊藤治・・偽名です)


会社を辞めて「起業」する事になるのです。


きっかけは、


自分がまだまだ若かった・・って事と。


周り、、銀行、信販会社、理解者、協力者、、など全ての人が、、


「伊藤君、実力あるんだから独立すれば!

応援はするし・・・」  などと  乗せられて。


「豚もおだてりゃ木に登る」・・でついついその気になって・・


馬鹿ですね〜〜うぬぼれて、、いい気になって、、


各方面から応援されて初めての自分の会社を立ち上げました。


半年後には「支店数6」「社員数60名」の会社になり、、


売り上げも月間6000万を超え、、いい気になっていました。


でも、悲しいかな、、経営に対して能力の無い私の、運営では、、


私はいい気になって「公私共に無駄遣いのオンパレード」・・


結果当然・・

日に日に斜陽の一途・・・


営業には自信はあったものの、経営は全くの素人。


当然ですよね。

始めてから2年半後、、、


無事?「倒産」



負債総額・・・「4億円」・・・


    夜逃げしました・・




-----------------------(p.2)-----------------------



親はしがない田舎漁師、、

親戚は、、貧しい田舎人、、


その後、

死に物狂いで仕事して、、4年後には、、ほとんど「完済」


途中3回は「死のうと思い、『死』の間近まで彷徨いました。



色々有ったけど、、


苦しかったけど、、


失った物も沢山有ったけど、、



まぁ〜〜今は楽しく生きれてる!!


やっぱり回りの人に感謝ですね!!!



-----------------------(p.3)-----------------------



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章タイトル: 夜逃げ

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夜逃げして、、帰る場所は、、やはり、「親の元」・・

でも、そこにも当然「借金取りが」・・又逃げる。


どこにいても、結局は誰かに迷惑をかける、、それに気が付く。

借金の中には、債権譲渡で既に「やばい系」も含まれてる。(笑)


破産も考えたが、(弁護士にも勧められた)

別に、かっこ付ける訳じゃないが、(そんな余裕はなかった)


「自分の不始末を、人に任すのも、放棄するのも嫌だった」


どうしよう、、正直な気持ちだった。


「4億だよ〜〜」


って自分に、2秒毎に言ってた(かなりオーバー、、、)


以前勤めてた会社に行けば、確かに、仕事も出来るだろうし、

多分年収も4000万ぐらいは、

頂けると思う、、と言うか、借金全額肩代わりしてくれると思う。


それが、凄く嫌だった!


喧嘩別れはしてないにしても、自分勝手に退社して、好き勝手に

遊んで、、、夜逃げして、挙句の果ては、、頼る、、と言うのが。


「許せなかった」


で、、全く土地勘のない、N市に流れて行きました、、

逃げてくる時に、知り合って1年の当時の彼女(21歳)も、連れ来てました。


黙って、逃げれなかったから、「ついて来る?」って聞いたら、

ついて来ました、、あはは〜〜

私は、なんて無責任なんでしょうね〜


で二人での、「逃亡生活」が始まる訳ですね。(ドラマみたいでしょう?)

大阪まで来て、伊丹空港の駐車場に車乗り捨てて、

電車で、N市へ、、そのときの所持金、5万ぐらい、、



-----------------------(p.5)-----------------------


勿論二人とも、知人友人いません、、住民票もありません。

仕方ないから、彼女に、「どこか、夜の仕事探そうか?」と御願いして、

いかがわしい店でしたが、「部屋付き」で、次の日に転がり込みました。


余談ですが、、その二日後、、信じれない話があります、

彼女が帰ってきて、、「結婚申し込まれた」・・ビックリ・・

世の中アホがいるんですね〜〜


その後、私も仕事探しますが、

住民票が無いから、保証人がいないから、何処も雇ってくれません。

以前いた業界なら、何とかなるでしょうが・・

当然それは就職先にも、迷惑かかるから、却下。


一週間後、、普通の仕事は不可能と判断した私は、悩んでました、、

いつまでも、、こんな生活は出来ない事を。


彼女にいつまでも、甘えるわけいかないし、、

勤め先は今で言うなら「ピンサロ?」と言う感じですかね?

(行った事ないですが・・)。


で、彼女に仕事を辞めさせて、もう一度、「放浪」に出て行きました。


何の当ても無く、、ただ手元に、約80万の現金持って

(この現金の入手方法は、割愛します・・別に犯罪は犯してません。)



-----------------------(p.6)-----------------------


現金が有ったので、大阪に車取りに行きました、

約10日間、、駐車場代が、機械で処理できなかったです。

紙がワイパーに挟んであって、「清算は、事務所まで」・・ドッキッ!

まさか・・でも、お金払って、オッケーでした。ホッとしましたね。


それから、とりあえず、M県T市に行きました。

行き先に全く意味は有りません、あえて言うなら、全く関係の無い土地。


そこで、うらびれた「旅館」に泊まる事にしました。


「新婚旅行で来ました〜〜、連泊させてください!」

「海の見えるところで、のんびりしたいですから〜〜」


快く、了承してもらい、あれこれ詮索されるのが嫌ですから、

一週間分、料金先払いする事を伝えると、喜んでくれました。

これで、少しは詮索しなくなるかな〜〜と、、


とりあえず、次の日仕事を探してみましたが、、全滅、、当然だろう・・と思いましたね。


仕方ないので、二人で、パチンコしに・・・笑うでしょう?こんな時に。

でも、二人ともパチンコしてる時は、心の底から楽しかったんです。

心の底から、笑えたんですね。


そんな生活を、1週間、、パチンコの収支は二人で、約10万勝ち。

生活費が、一人一日8000円二人で一週間で、約12万。


再度、連泊です。その頃は、旅館の人とも仲良くなってたので、快くオッケーでした。


そして、二人して、毎日パチンコ、、


約3週間後の朝、、


「手持ち現金が、、2万数千円」・・・



-----------------------(p.7)-----------------------


この日が来ることは、二人とも分かってましたので、、

旅館を、延長した時に、


この生活が、行けるところまで行って、お金が無くなったら、、二人で、


「終わろう」


と決めてましたから。

その日は朝から、お風呂に入って、旅館の主人に心の底からお礼を言って。

車で、W県の方向に、車を走らせました、、二人とも、

無言ではなかったですが、口数は少なかったですね。


そして、数時間、、有名な観光地に着きました。


時間はまだ昼過ぎです、、夜まで時間つぶしをしなければいけません。

さすがに、昼間は、気がひけましたから。


夕方、食事して、車に戻って、

二人とも、何故だか「ハイテンション」で馬鹿話したり、ここ1年の話したり。

大笑いして、4時間後、、そろそろ、、の時間ですね・・


                            


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章タイトル: 終焉の地、、暗闇から誰かの声が・・・

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《私は、18歳位から「死ぬ事に対する恐怖が全くないのです」》


私は、ある意味「覚悟して」

彼女に「ちょっと待ってて」と言って、車を降りました。


外に出て、タバコに火を点けて、、

横のベンチに座って(広い駐車場でした)


あれこれ考えてました、、

親の事、友人の事、これまでの事、これからの事、彼女の事、、、etc、、


頭に浮かぶのは、「迷惑かけるだろうな〜〜」そんなことばかり。


考えが、彼女の所に来た時に、、


「かわいそうだな、、こんなくだらない男に、、付き合って、、」


「こいつだけでも、返そうかな、、」

この話は、もう何度もして決着は付いてました、でもやっぱり、、

あれこれ考えてるうちに、、


「一体、どうして、ここまでなったんだろうか?」

「何で?自分はこうなったんだろうか?」


これも、、それこそ何百回と考えた事です。



『何で?どうして?「自ら」終わろうとしてるの?』


どうして、、そうしなければいけないの??そう思っていました。


答えは、、これまでと同じ、、


「このままだと、周りに迷惑かけるから、、」


これも同じです。


自分が生きてる事が、既に迷惑だと思っていましたから。



本音で、仕事だけさせてもらえば、4億ぐらいの借金なら、

何とか出来ると思っていました。


でも、その「ステージ(機会)」さえ、与えてもらえない自分。


以前の業界にも、戻れない自分(迷惑かけるからです)。

八方塞の自分。(そう思っていました)


泣きたかったですね、、悔しくて悔しくて、、、


でも、、


もしも、この時泣けてたら、、、


間違い無く、、「終わってた」でしょう。


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ここで、、「終わったら」どうなるんだろうか?


とにかく、凄い数の思考が頭の中をグルグルと駆け回ります。


どれぐらいの時間が過ぎたのか知りません、分かりません。


「終わる事」への躊躇は、全くありませんでした。


で、、色々考えても、結局は、まとまらないから、ここにいる訳で。


何十時間考えようが、結論は出なかった訳ですから、、

いまここで、出るわけありません。


心の中で「よし」と、つぶやいて、、

立ち上がって、車に向って、歩き出した、

彼女は寝てました、、(こんな時に良く寝れるな〜)


起こしちゃかわいそうだな、、そう思って、

起きるのを待つ事にしました、またタバコを吸いました。


季節は冬です、、寒かったはずですが、、あまり記憶にありません。


ずいぶんと長い時間、、座ってたと思います、まだ寝てます。


やはり、その間、色々考えます、、


「終わる理由」・・一番は、、「迷惑かける事」でした。



冬の寒い夜真っ暗な駐車場、、ほんの50メーター先は、



「自殺の名所」



と・・・その時・・・


何処からとも無く・・



『声』が聞こえた・・・・



紛れも無く、、人の声が、、聞こえた。



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『じゃぁー迷惑かければ良いじゃん!!』



と誰かが、私にささやいた、、ような気がしました、、


いや、本当に誰かがささやいたのです。


『今でも十分迷惑かけてるのに、、これ以上かけるのも一緒だろう?

だったら、一度死んで、他人になれば良いじゃん』


とささやかれました。


私は、目が覚めましたね、、頭の中にある、知識、知恵、常識が、

急に、動き出したような気がします。


その時頭に浮かんだのは何故か、、「榎本武揚」でした、、


生きて、自分のやった事を見ることの、辛さ、責任感。

それまでは全く感じたことの無い思考。

ちなみに、私の中では、「榎本武揚」は歴史上最高の「英雄」です。

この人に、この時人生変えてもらいましたから。



頭に、「榎本武揚」の生き様が、突き刺さりました。


急に、寒さを感じた私は、立ち上がって、駐車場の向こうに見える、

自動販売機に向って歩いて、暖かい「缶コーヒー」を2本買って、

車に戻り、彼女を、起こして。


こう言いました。


「もう一度、頑張ってみるわ、、ワシ今、生まれ変わったわ、、」

「今なら、何でも出来るわ、、ワシの考え方、間違ってたわ、、」


彼女は、黙って聞いてました、、

まぁー元々、逃げるような男に、付いて来る、女ですから、、頭悪いんでしょう!(笑)


暖かい缶コーヒーを両手で包みながら、彼女は、黙ってました。


「これから、もう一度N市に行こう」と言って、車をスタートさせた。



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章タイトル: 仕事をさせて下さい

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それから、私も彼女も、一言も喋りませんでした。

私はあれこれ考えてました、、

家族の事とか、これまでの事とかじゃなく、、


「これからの事ばかり」。


約7時間ぐらいかかったでしょうか、N市の着いたは、昼前でした。


N市の端の方だと思います、


一軒の「○○営繕」と言う会社の看板が目に入りました。


車をちょっと離れた場所において、、一人で、車を降りて、

その会社に入って行きました、、

会社と言っても、5坪程の、会社です。

大体、、「・・営繕・・・?」それ自体が、何をやってる会社かも分かりませんでしたが、

会社の前に止まってる車で、「目指す」仕事をしてる事は理解できました。


「こんにちはー」と(元気良かったと思います)入っていくと、


一番奥に、色黒の、がっしりした年齢50歳ぐらいの人と、

その横に、奥さんらしき人がいました、、


奥さんらしき人「はい」(このときの奥さんの笑顔は、生涯忘れないでしょう。)


私「社長さんいますか」



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奥さん、一瞬躊躇して、、「・・・無言・・・」

奥の方から、色黒男の声


「何だね!?」と、かなり強い口調。


私「御願いがあります」


男「何だね?」


私「仕事させてください」


男「・・・・無言・・」で立ち上がり、、

私のほうに歩いて来ました、、ゆっくりと、、早く歩けよーーと感じるぐらい、、

の時間を感じました、(本当は、4歩で来れる距離ですが・・)


男「まぁー座りなさい」と言って、横に目配せしました。

横を見ると、、えっ?これ何?もしかして、、30年前の応接セット?


と思うような、、みすぼらしい「物」が有りました。

今にも「壊れそうな」椅子らしきものに、私は座りました。


色黒男が、横から椅子を引っ張ってきて、斜め前に座りました。


男(社長です)「なに?」


私「仕事させてください」


社長「ん??」


私「私は、今借金で、夜逃げしてます、死のうと思いましたが、

死ねませんでした、なんでもしますから、雇ってください、

保証人もいません、ヤバイ筋にも追われてます、寝る所もありません、

女も一緒にいます、給料とか、仕事とかは何でも良いです、

布団だけ敷けて、寝るところだけ、下されば結構です。

仕事させてください。」そう御願いしました。(土下座まではしてませんが)


社長「今まで仕事は何してたのかね?」


私「大した事はしてません、経験もありません」


社長「彼女は何処にいるのかね?」


私「車で待ってます」


社長「寝る所も無いのかね?」


私「はい」



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社長、しばらくタバコ吸いながら、、考えてました。

(永遠の時間ってこんなのを言うのでしょうね)


社長「分かった、寝る所は、飯場見たいな所でも良いかね?」


私「結構です」


社長「仕事は何でも良いかね?」


私「はい」


社長「迷惑が掛かったら、すぐに出て行ってもらうよ?」


私「はい、分かっております」


社長「給料は幾ら欲しいの?」


私「幾らでも結構です」


社長「分かった、彼女を連れておいで」


私「はい」


それこそドアを蹴ってたと思います、、車に行って、

彼女に「おいで」と言いました。

彼女は黙って付いて来ました。

再び事務所に入ると、汚いテーブルに(すみません)

2本の缶コーヒーが置いてあり、

奥さんが「まあ、飲みなさい」と言ってくれました。

ありがたかったです、涙が出るほど、ありがたかったです。


逃げてから、約一月、人にこれだけ優しくしてもらうのは、初めてでした、

彼女は泣いていましたね。



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社長が、私とした話を、全て彼女に話しました、、

私は内心「しまった!こいつ、何も知らないよ!!」

道中何も話してこなかった事を、「プチ後悔(笑)」

でも仕方なく、二人の会話を聞いてました。

(かなりの時間話してましたので、、最後のほうだけ)


社長(彼女に)「貴女は良いのかね?」


彼女「はい」と小さな声で、私は内心(もっと元気良くだろーーーー)


社長「分かった」


で、、奥さんに「良いだろう?」奥さん「アンタが良いなら良いんじゃないの」


社長「車は、どうするの?」


私「捨てます」


社長「あんな良い車を?」(ちなみに、新車で買って、半年ぐらいでした)


私「はい!足、付きますから」


社長「勿体無いな〜〜」


私「仕方ないです」「捨てます」


社長「そうだな」


社長「免許証は?」


私「持ってます」


社長「そうか」「見せて、もらえるかね?」



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私「見せても良いですが、何処にも連絡取らない事が条件です」

「条件出せる立場でないのは分かってます、でも、条件が守ってもらえないのなら」

「結構です、帰ります、、」


社長「約束しよう」免許証見せました、、見て、

社長「はい」と言って、免許証返してもらいました。


私「一度死ぬ覚悟しました、なんでもしますが、今の約束だけは守ってください」

「約束違えないで下さい、お願いします」と再度頭を下げました。


社長「分かった」(信じるに値する、言葉でした)


私「ありがとうございました」


社長「で、他には条件無いのかね?」


私「(彼女を見て)こいつは、関係無いという事で、御願いします。」


社長「約束しよう、後は?」


私「有りません」


社長「後は、絶対に何も無いのだね?」


私「はい、法律違反にならない仕事なら何でもします」


社長「それはそうだね」


社長「覚悟はありそうだね」


私、無言で頷きました、言葉が安っぽく感じたから・・


社長「彼女はここにいて、付いて来て」


私「はい」・・・



かなり不安でした、、しかし、、後には引けませんし、引く所も有りません。


黙って、、社長の後について、行きました。



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章タイトル: たこ部屋

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事務所を出て、社長の後について歩いた、

駐車場に、着いて社長から「乗って」と言われた車は、

ボロボロの「トヨタマーク?」でした、、

(社長が私の車「勿体無いね〜」と言った意味がわかったような気がしました。)


車で走る事、5分、、資材置き場に着きました、

社長はそこに入って車を停めまて。

「降りて」「はい」・・・社長の後について又歩きます。

1件の汚いプレハブの建物がありました、、

その横の、赤く錆びた「階段」を社長は上がっていきました、私も勿論ついて上がります。

社長は、終始無言でした、、


私は車の中から、社長の「無言」がとても嬉しく感じてた。


上がると、広い、「ワンフロアー(笑)」の部屋が有りました、

広い部屋の、手前に大きなテーブルがあって、

その上には、ヘルメットやら、手袋やら、ペンキのカンカンやら、山と吸殻の詰まれた灰皿、、


「凄い」状態でした、奥に目をやると、畳「らしい物」が、20枚ぐらい敷いてある、

「和?」の空間、天井に目をやると、

らくだ色の暖かそうな股引、黄色くなった「白」の下着、

定番の灰色をした作業服、

色さえ分からない靴下、、etc、、が、、

ハンモックみたいに、、端から端に渡した数本の紐に、数多く「展示(?)」してました。


臭いは、、てんぷらを揚げる香ばしい「油」と、

男の象徴、爽やかな「汗」と、高級専門店の「皮」と、、、

そのすべてを、グチャグチャに混ぜて、水かけて、

風の通らない暖かい日陰で数日放置した

後に発生する「匂い」・・いや、「臭」いと言うより、、


「刺激臭」と共に、私の目に、飛び込んできた。



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奥に社長が進んでいって、、「ここで良いか」  


私はすぐに察しました「はい」・・・


畳の間には、雑誌が散乱して、灰皿、食べ物の袋、弁当の食べかす、、、

隅の方に、、粗大ゴミみたいな布団が積んでました、、、

後は、、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、洗い場、ガスコンロ、トイレ、風呂場、、、


全て、、「見たいな物」と言う表現しか出来ません。(爆)


そうです、ここが私たちのこれからの「住まい」なのです。


社長「行こうか」と言って、階段の下りて、車に向いました、、

帰りの車の中でも、無言でした。


事務所に戻ると、奥さんと彼女が、話してました、、

(変なこと喋らなかったろうな、、)


それから、車で、買い物に行きました、、

全財産は、8千円ぐらい・・・

布団を一組買って、約5千円、シャンプーとリンスを買って、簡単な食料買って、おしまい。


で、、事務所に戻りました。


社長「さぁー行こうか」


3人で、新しい「住まい」に向った。

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3人は、僅かな荷物を手に持って、「住まい」に歩き出す。


彼女は、新しい「住まい」を見て、さすがに「動揺」はあったみたいです。

でも無言でした。


社長にも手伝って頂いて3人で、全ての荷物を、持って階段を上がり、

先程の部屋に入り、「和」のスペースに行き、

「何処でも好きなところで良いよ」と社長の言葉。

ありがたいですが、、


何処でも好きな所と言われても、何処もあまり変わらないけど、


とりあえず、一番奥の隅っこに、布団を置いて、



「場所取り」完了。



彼女は、キョロキョロしてましたが、落着いたもので、布団の上に座って、

タバコを吸い出してました。

内心それを見て、私は安心しましたね。


(余談ですが、

彼女はクラブで仕事をしていた女性です、、

水商売でもまれた女性は強いんですかね?)


社長「じゃぁー、明日から仕事ね、詳しい事は、後で聞いて、、」と言うと、

さっさと出て行きました。


私と彼女の二人っきり、、


彼女は無言でした、、私も無言でした、、


私は、これからどうなるんだろうか?と考えていましたね。


夕方になって、3人の作業服姿の男がドヤドヤと入ってきた、、






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章タイトル: 同居人

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3人の作業服姿の男たちに向って、


私「こんにちは!」かなり元気でしたね。


男「ん!」


私内心(・・・・ん!?・・・そりゃないだろう!?)でも、黙ってました。


その頃は本当に、喋らなかったですね、


今の100分の1も、喋らなかったと思います。


3人は、ガヤガヤと、テーブルの周りに座って、一升瓶出して、お酒(焼酎)飲み出しました。


私は、隅の自分らの(勝手に決めた)縄張りに、座ってました、


彼女は寝てました(良く寝る奴や〜)


しばらくすると、一人の男が、


「おーい!こっち来て飲めやー」と声かけてくれましたので、


私は無言で、立ち上がりテーブルの方に行きました、、


「どうも」と軽く頭を下げて、


空いてる椅子に座ると、一人の男が、黙って、コップを目の前において「焼酎」を入れてくれて、


「ふんっ」


と小さな声で、顎をしゃくりあげて、私に勧めました、


冷の焼酎なんて、何年ぶりだろうか・・一気に飲みました、水臭い独特の味、、

そして、もう一杯、、一気に飲みました、、美味しい・・・


その時、、


一人の男が、「彼女も来て飲んだらええやん!!」






 

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私「いや、奴は飲めませんから」 男「そうかー」


内心、ホッとしました、せっかく見つけた、落着ける場所を、

くだらない事で失いたくありませんでしたから。


しばらく飲んでました、、不思議な事に、、


みんな無言・・・(私としては、嬉しいですが)


その内一人の男が、「風呂入るわ」と言って、奥の方に入って行きました、、

もう一人は、「和」のスペースに、

ベタベタの作業服のままゴロリと寝転んでしまいました、、


テーブルには、私と「ん!」の男だけ、、


「ん!」が、、「社長に聞いたわ、明日から仕事やで、、」と関西弁の残る口調で・・


私「はい、何時からですか?」 


ん!「適当や、社長迎えに来るわ」


私、、無言、、


ん!「風呂は、そこやから」と顎をしゃくって、先程の方を、

「ここにあるものは、適当に使ってええからな」


私、、「はい」


ザワザワとした、落着かない時間がやっと終わり、


3人は、「粗大ゴミ」の様な布団にくるまって、


各々寝てしまいました。



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私は彼女を起こして

「風呂は明日の昼間に入れば良いし、洗濯も、あそこですれば良い、

お前はとりあえず、ここにおって」


彼女「分かったわ、でも大丈夫?」


私「なにが?」彼女・・無言・・


私「あれこれ考えんで、ええから、心配せんでええから」

(私は、大阪に10年以上いたので、中途半端な関西弁使います)


彼女は無言で頷きました。




私も彼女も、もう既に、、死んでいたのかも知れません。




それから二人で、顔洗って狭い布団で、寝ました。


手を伸ばせば届く距離で、3人の男たちが、豪快に寝てる。


朝になって、彼女の方が先に起きて、顔を洗ってた、


薄汚い空間で顔を洗う彼女の、後姿を私はぼーっと見てた。







・・・「なんで?こんな所にいるのだろ?」・・・








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章タイトル: 日給 2000円

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私も顔を洗い、二人で、タバコを吸っていると、

3人の、男たちが、もそもそと起き出して来て、各々何かやってました(朝の準備です)


しばらくすると、外で車の音がして、社長が上がってきました、、


社長「寝れたかね」


私「ありがとうございます、お陰さまで、二人とも寝させてもらいました」

(久しぶりの長い言葉だったですね、、舌噛みそうになりました、、)


社長「じゃぁーこれに着替えて、付いて来て」


と作業服の上下を私に投げてよこしました。


私は無言で着替えて、靴を(スニカーです)履いて、付いていきました。


行きは社長の車に乗せてもらいました、、


車の中で


社長「今日から、家のペンキを塗って」


私「はい」


社長しばらく無言で、タバコ吸ってました、私も社長に一本頂いて吸いました。

(本当は自分のタバコ吸いたかったですが・・)


現場に付くと、足場を組んだ、家の前に数名の人達が、準備をしてました、


社長について降りると、こぎれいな作業服を着た、40ぐらいの人が、


下を指差して(その先は、刷毛とペンキでした)


「あぁーこれをその一面に塗って」と私に

私は、、無言で足場に上がり、見様見真似で塗りました、、


昼になって、休憩時間、

皆近くのお店で、何か買ってきたり、弁当食べたり、、し始めました。

私は、一円のお金も持っていませんでしたから、タバコをぼーっと吸っていました。

(タバコだけは、パチンコしてる時に大量に交換してましたから、、)



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そこに社長が来て「ふんっ」って感じで、暖かい缶コーヒーを差し出しました、

「ありがとうございます」


コーヒーの甘さが、胃にしみこみましたね〜〜。


休憩が終わって、午後の仕事も、同じ事、、ペンキを塗る、、


冬です、、寒かったですね、、、薄い作業服一枚、、


夕方、社長が戻ってきて、


「おわろうかーー」と、、


私も、刷毛とペンキの缶を持って、

足場を下がっていきました。

片づけが終わると、社長が「こっち乗って」と自分の車の方を指差す。


帰りの車の中で

社長が「どうだった?」


私「はい、なんとか」


社長「やって行けそうかね?」


私「はい、御願いします」


すると社長が、胸のポケットから、お札を取り出して、私に


「これ今日の分ね」と、2枚くれました、、


一日の日当「2000円」です。


私は「ありがとうございます」と言って、

受け取ると、ズボンのポケットに押し込みました。


社長「それから、今日は間に合わなかったけど、明日から弁当を朝と、昼出すから食べなさい」


私「お金掛かるんですか?」


社長「いらんよ」


私「ありがとうございます、頂きます」


部屋に帰ると、、


薄暗い部屋の片隅に、彼女が一人で、座ってる。






-----------------------(p.29)-----------------------


彼女は私の顔を見ると、笑顔で。


「おかえり〜〜」


「ただいま」


「なにしてた?」


「ねてた」


「そうか、これ」


「・・・」


「今日の日当」


「・・・」


「これで明日は昼と夜食べておいて」


「・・・」




日給「2000円」です、、この生活を約半年続けました。



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余談ですが。


車はそれから、5日後の休みの日に、ナンバー外して、「廃車」にしました。

チンケな車屋が、「勿体無いな〜〜兄ちゃん150万で買ってやるから書類揃えたら」

私「ただで、上げますわ」そう言って、「無料で引き取ってもらいました」(ラッキー)

勿論、ナンバープレートも外し、車検証も取り、ボディのフレーム番号も消して渡しました。


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信じれない話です、、日給2000円ですよ、、、

足元見るとは、この事でしょうね。

でも不思議な事に、全く何も思いませんでしたね。



「感謝」する事は有っても、そのほかの事は思いませんでした。





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章タイトル: ケ・サラ

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前日の疲れのなのか、安心感なのかは、分からないけど、、

その日は、風呂も入らずに寝てしまてった、、

それも作業服を着たまま、、


朝彼女に「そろそろ、起きたら」と体を揺すられて目が覚めた。


「うん、おはよう」


「おはよ」


「ごめん、このままで寝てたんやね」


「うん、臭かった・・」


「あはは、、」・・自嘲的な笑いでしたが、二日ぶりの笑いでした。


「クスクス、、」・・彼女も、声が出ない笑いでした、、。


でも、、笑える自分ら、がいることに、気が付いて「明るくなった」気がした。


まだ眠かったけど、起きて、顔を洗い、、

布団の所に座って、タバコに火を点けて、、周りを見ると、、3人の「仲間」は、まだ豪快に寝てました。


私は小声で、


「顔洗っておいでよ」


「もう洗った」


「起きてたの?」


「うん、一時間ぐらい前から」


「そうか」


「これ食べる」菓子パンでした。


「どうしたの?」


「昨日買って来た」


「出かけたの?昨日」


「うん、近くだけ」


「お金あった?」


「うん、二千円ぐらい」


「じゃぁー、昨日の2千円とで、今日は大丈夫だよね」


「うん、仕事、何してるの?」


「ペンキ塗り」


「出来るの?」


「何とか・・」


「治がそんな仕事できるって思わなかった・・クスクス」


「あはは〜〜頑張るさ。」


「・・・うん」


「ワシは、朝と昼弁当もらえそうだから、パンお前が食べや」


「・・うん」


「昼は、適当に食べといて」


「・・うん」


逃げて、約一月、、と言うか、知り合って約1年、



初めて、まともな会話したような気がした。








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2日目です。今日も社長の車に乗せてもらって、

弁当を2個もらい、1個を車の中で、食べて、、(冷めた弁当でした)

昨日の現場に到着。寒い朝でした。

車から降りると、豪快な同居仲間が、


「着ろよ」と言って、


青いビニール製で首の周りに「毛(ボアーなんてお洒落な物ではない)」の付いた、

薄汚れたジャンパーを差し出しました。

「ども」と小声で言って頭を下げてその場で着た。

暖かかったです。これまで着た、どんな高級なコートより暖かかったですね。


午前中昨日と一緒の仕事して、昼休み時間、

車の中から、朝もらったもう一つの弁当持って、

現場の隅の方に座り(風の当たらない場所選んで)弁当を開けました、


その弁当は、、なんと!朝と全く同じ、、でした。


朝と違うのは、朝より、冷たくて、ご飯はゴロゴロとしてる事。


まずさ100倍!!


でも、一粒残さずに食べました、のどが渇いて、現場のホースから水を飲んで。

タバコを吸っていると、社長が来て、2000円無言でくれました。


あれこれ考えてました、、


その時の思考は不思議な事に、これから先どうやって、復活するかでした。

これまでの私なら、今の状態は、「鼻で笑い、馬鹿にしていた人たちです」

その中に自分がいる事は、もう頭の中には無く、


すでに私自身が


「同化」してたんでしょう。


その中で、、復活の方法を模索しだしてた、、、


でも、、出てきません、、








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その日の仕事も終わり、

「マイホーム」に戻り、彼女に日当渡し、彼女に一言「くさい」と言われて(笑)

その日は、久しぶりに風呂にも入り、、(彼女は昼間に入ったみたいです)


3人の仲間から、焼酎をご馳走になり、寝てまた朝起きて、


3日目、今日はWキャブのトラックで現場に向いました。


その日は、残業でした、夜8時過ぎまで、仕事をして、(二食、同じ弁当食べて)

帰りは何故か?3人の仲間は社長の車に乗って、

私が一人でトラック運転して帰りました。


その時つけっぱなしの、、、ラジオから流れてきた歌に心奪われて聞いていました。



安っぽいラジオの乾いた音でした、、、



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1.平和で美しい国 信じあえる人ばかり

  だけど明日はどうなることやら

  誰も分かりはしないさ

   ケサラ ケサラ ケサラ

   僕たちの人生は階段をてさぐりで

   歩くようなものさ

   エサラ サラケル ケサラ


2.固く心結ばれてちかいかわした友達

  だけどそむきあうこともきっとあるだろう

  誰も分かりはしないさ

  ※ケサラ ケサラ ケサラ

   僕たちの人生は涙とギター道づれにして

   夢みていればいいさ


3.アモレミオくちづけした

  初めての激しい恋 だけどいつかは

  冷たくなるさ誰も分りはしないさ

  ※(くりかえし)

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心の中は、空っぽの、夜でした。


歌詞は、はっきり覚えていませんでしたので、その後調べました。

題名も知りませんでした、


ただ、『ケ・サラ・サラ』と言う言葉は知ってました、、





「ケ・サラ」・・・・




「なるようになるさ・・・・」









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なるようになるさ、、、



と思いながらも、、、


ほんの5日ほど前までは、八方塞と感じて、「終わろう」と決めて、、


その5日後には、前に進もうと思って、八方塞を感じてしまってる、、


そんな自分が、とてもおかしかった。


あえげばあえぐほど、考えれば考えるほど、、


思考はいつも、同じ場所に収束して行く。


また同じ事を繰り返してる、自分がいた。



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4日目、昨日と同じ。

5日目初めての休日、、朝早くに目覚めた。今日は車を何とか処分した、、

印鑑証明と印鑑があれば、叩き売っても250万ぐらいにはなるのは分かっていたが、

それも無理、、準備不足を少しだけ後悔。

6日目、、同じ。



何日過ぎたか分かりません、、

ある日の事、、その日は朝から小雨、現場に行って、ペンキ塗って、

昼ご飯(いつも弁当、実はこの弁当3種類がローテーションする事に気が付いた。)

食べて、水飲んで、タバコ吸っていると、



「ザァーーーーーーーーー」凄い雨、、



マッハでペンキ缶の蓋をして、車に逃げ込む。







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章タイトル: コウモリ

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突然の雨


3人の仲間と私とが吸うタバコの煙で、車の中は、真っ白、、

窓を少ししか開けてない、そんなものは誰一人として、全く気にしない。

しばらくして、社長が来て、、


「今日は中止」と言って、

皆に日当渡して、走って車に乗って、どこかに行きました。


一人が、「パチンコでも行くか・・・」と言うと、、、

運転席の「ん!」が、黙ってエンジン掛けて、一路パチ屋へ、、


とにかくこの人たちは喋らない、、


この人たちは多分超能力か、テレパシー能力を持っているのだと、真剣に思った。

ある意味、凄いチームワークだ!仲間でありながら、私の名前すら聞こうとしない、

勿論3人が名前を呼んでるところなど聞いた事もない、不思議な世界。

色は黒いし、匂いは臭い、服装はベタベタ、、で、、超能力を持っている、、、

私は心の中でこう決めた、、


「この人達は、コウモリなんだと、バットマンだと!」


約5分後、車はパチ屋に、コウモリたちは何の躊躇いも無く車を降りて、

さっそうと、パチ屋に、「パタパタ」と、飛ぶように入って行た。

ええええええ・・・・・私は自分の姿、臭い、さすがに、行けない、、

私の仲間である、愛すべき、「3匹のコウモリ達」は、、

車のエンジンも、私が、降りてこないのも、

しらーーーん顔です。


ててててめーら、、置いていくなよーーー私はまだ、、コウモリ語は、、

完全に、、マスターしてないんだーーー!!!

私は、、、ひとりで、激しく、、、

すねてました・・・・・


そんな冗談はいいとしても、(状況はこの通りでした)


良く考えたら、手元には2000円.

これで?パチ?冗談だろう?秒殺だよ〜

それにこの姿じゃ行けないよ、、まぁー良いかと思い、タバコに火を点けて、

しばらくは、車の中で、ぼーっとしてました、


パチンコは大好きです、、、


でも、、この2000円は彼女の生活費だし、、


使うわけには行かないし、、でも行きたいし、、



・・・行こうかなぁーー・・・






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章タイトル: 目覚め・・覚醒

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2000円、、、パチンコ、、

しばらく、、悩んだ末に、、

(悩むこと自体が終わってるような気がするが・・)


私は、3匹の飛び込んだパチ屋へ、、、


店内は、50%ぐらいの客でした、、内心、、「こんな店あかんやろー」・・


まず、1匹発見!「ん?」です、、汚い格好で、羽物(機種は忘れました)打ってます。(出てません)


後二2匹の、「バットマン達」は?・・・・

発見しました、2匹並んで、「F・パワフル」打ってました。(出てません)


店内、、閑散としてます、、ぶらぶらと見て回ります、、

そして、目に付いたのが、、「アレジン」・・・言わずと知れた、、「名機中の名機」。

客はまばら、、、片側20台ぐらいの島の両サイドに合計40台ほど、、

その間を、ふらふら〜〜中ほどまで来た時に私の目に飛び込んできたのは、、


「114」


!!!!ん??ドヒャァーー、、、周りには誰もいないのに、、

あわてて、タバコ置いて、両替機に行って、1000円札を一枚500円玉に両替、、

台の横に付いてる、玉貸し機だと、1000円札専用ですから。



500円だけしよう。そう決めて、お金を入れた。

「ジャラジャラジャラーー」出てきた玉を、ハンドル回して、打ち出しました、、



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左肩の、チャッカーに入らない、、

入らなければ話にならない、、通常は1000円で18回〜20回通れば、

上出来の台です。500円だと、、、それで行くと9回ぐらいですが・・


通りません、、「おいおい」・・泣きそう、、

彼女になんて言おう、、言い訳が頭をよぎったその時、

一個の玉が、「通りました」・・・・

デジタル、、クルクル、、「ピヨッ!!」!!!!


「心肺停止!」「脳汁、、ダラダラ。。」・・・


・・・シーーーーン・・・・・??「335」


あーと思っているうちに二個目が、、、、スタートチャッカーへ、、、

デジタルがクルクル、、「ピヨッ!!」


 「ピヨピヨピョーーー」!!!!!!!!!!!!


     『111』


らくださんの、前足と後ろ足が、水平に開き、、玉がそこに入って行く・・・予定でしたが、、


なんと・・・・玉切れ、、、慌ててポケットに手を入れて、、500円玉を、、、


「シーーーーン・・・・・??」・・・


その後、、多分、、10秒は固まってましたね、、、(本当は1秒ぐらいですが・・)


手にはもう一枚の500円玉、、


目の前のアレジンは、今「私に隙を見せた!!」

問題は、玉を買うか、どうするかだ。掛かるのは、ほぼ(99%)間違いない!

でも500円勿体無い、、


床を見回す、、10個ぐらいなら、、めぼしが付いた、、足りない・・

その時、、仲間の、、声が、、「良し良し・・」・・「ん!」の声だ!


マッハで「ん!」の所へ!!




 

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出てました!!


・・・私にも、、テレパシーが身に付いた瞬間でした。(笑)


黙って、一握り、、「ん!」、、「おう!もってけ、、」と、テレパシー。。



走って、、戻って、速攻でかかって、、その後、40数連荘、、

終わってみると、、17万強の勝ち、、、、呆然、、


3人のバットマンは、撃沈・・・でも!!車の中は、お祭り騒ぎ。

二人はご機嫌に鼻歌、、

「ん!」は運転がいつもより、キビキビ、、(誰も喋りません)


私は、、内心、「やった〜〜〜」と、、ただただ満足。

外は雨、、「マイホーム」いや違う「アワアーホーム(笑)」に向って、

車は・・途中寄るいつもの酒屋を、、スルー、、

あれ〜今日は寄らないのかな?  でも何も気にならない、、しばらく走って、、

車は、、大きな(普通の)スーパーの駐車場に入っていきました。


当然、、3匹のコウモリ達は、さっさと降りてゆく、

私も「彼女」に何か買って帰ろうと思って、付いて行きます。

店に入ると、3匹は、各々が、カートにかごを二つずつ入れて、、


、、、ガラガラガラガラ、、、、異様な光景です、、(笑)


私は、かごを手に持って(そんなに大量に買う気は無いですから)、、

少し遅れて、店内を歩きます、、

3匹は、万引きするが如く、、手当たり次第に、かごの中に、、

生物以外、片っ端から、、あっという間に、買い物終了。。

私は、適当に買って、、レジへ、、

そこには、3匹が、、カートを手にして、、待ってました、、、、


溜め息です、、全てを、悟りました、、合計お買い上げ金額4万円、、、と少し、、

「あああ??何買ったらそうなるの??」「酒屋でも始める気?」、、、茫然自失、、


それでも、嬉しくて、『4匹』のコウモリは、車と店の二往復分の両手一杯の荷物を、

無造作にトラックの荷台に積んで、、外は凄い雨。


「巣」に帰りました。


荷物を上まで運んで、、、


ビニール袋の中は、雨水で、、、ビチャビチャ、、、





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彼女は珍しく、上の窓から見てました。


「ただいま」


「おかえり、どうしたの?」


「パチンコで勝った」と言って、約12万円を出すと。


「すごいね〜」と笑ってくれました。


「あれなに?」と大量のビニール袋の方を見て聞きました。


「なんでもないよ」


「そう」


「あす、買い物行ってきて」


「うん」


「衣類買ってきて」


「うん?」


「ワシの分と、お前の分適当に」


「うん」


「全部使っていいから」


「分かった」


そんな会話をしてると、向こうのテーブルの所では、3匹が、宴会始めてました、、

素晴らしい人達ですね、あなた方は、、、、


私に一言ぐらい声掛ければどうですか〜〜

おまえらは、、、バットマンじゃない


「ばった(関西弁で「にせもの」と言う意味です)マン」だよ!



外は相変わらず雨。






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余談ですが・・ここに住みだした翌日から彼女は

一日中「巣」の掃除をしていたみたいで、、

一週間もすると見違えるほど綺麗になってましたし、

「刺激臭」も軽くなっていました。


彼女曰く・・・「私が発狂するから・・クスクス」(笑)




彼女に「いこ」と言って二人でテーブルに、、

二人分のスペースがたまたまか、意図してか分かりませんが空いてた、

そこに座って、彼女が持ってきた、コップで、二人して飲みました。

つまみは、水浸し、、まぁー中は濡れて無いが・・

珍しい事に、「ばったマン」達は、「言葉」で喋りだしました、、ビックリでした。

半年間一緒に生活しましたが、こんな感じは、その後2度ありました


そのほかは、相変わらず、、皆寡黙でした


昔の、、自分の事、奥さんの事、子供の事、仕事の事、社長の事、、、etc、、

長い時間話してましたが、、

結局、、誰に対しても、、一度も「質問」はありませんでした。


5人で長い時間飲んでました、、、

私は内心「明日仕事行けるかな〜」と心配してました。

でも、仲間は、飲んでました、私も彼女も、飲みました、、


仲間の話が楽しくて、皆で笑って飲みました、、



質問の無い会話、、、、心地良い時間、、



こんな時間は、高校卒業の時に、飲んだ時以来かなーー


その日は、全員、ごろ寝、、

(ストーブは、一日中ガンガンにつけてましたから、

部屋の中は暖かいです。灯油は無くなると、誰かが勝手に補給します)


朝、目が醒めると、まだみんな寝てました、、

時間を見ると、、9時・・・あれ〜仕事は??外を見ると、、凄い雨、、


野生の勘?という訳で、本日二度目の休日。





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彼女も、横で寝てました。。ごろ寝ですが、、寒くは無いでしょう。

私は立ち上がって、テーブルの上からタバコを取って、外に出ました、


階段の踊り場で、座ってタバコを吸いました。


寒かったですが、酔いの残った体には、気持ちよかったですね。


すると、、、不思議ですね、、私の頭が少しだけ正常に「機能」してるんですよ。

少しだけ冷静な自分、が 「ここ」 に座っているんですよ。




その時、こう決めました、、

「ここで、5万円残そう、そうしたら以前の業界に戻ろう」と決めました。


目の前が、明るくなったような気がしました、目線が軽いんですよ、

目を久しぶりに大きく見開いた感覚でした。背伸びして、、中に入りました。




それから、半年間色々な事がありました、

一つ一つの出来事が、ありきたりな表現すると、「昨日のようです」

でも、、嫌な事は一度も無かったように思います。

嫌なことが起こる要因が無いのです。

(正常機能しだしてからは、思考はまともでしたから、分かる事なんですが。)


何故に嫌な事が起こらないか、、理由は沢山気が付きました最大の理由は。

「お互いを知らないこと、そのお互いが、同じ環境にいること」に他ならないですね。


分かり易く言えば、旅先で知り合った、「同郷人」見たいな感覚ですよ。

誰も知らない、異国の地に理由の違う、二人が偶然出逢った、

話してみると、たまたま、同じ「何か」(国籍か、年齢か、目標か、これまでの環境か、、、etc、、)を

持っていることに気が付き、親しみを感じる、、この状態ですよ。嫌な事が起こるわけが無いです。

お互い「たまたま、この場所にいるだけ、、」と言う感覚でしょう。




彼女には、「5万円残す」と言う事は一言も言いませんでした。








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何故なら、この問題の原因は私であって、彼女には関係ない。

2000円の日給で、5万円残すとすれば、かなり無理が出る。

2000円で、25日。

1000円で、50日。

500円で、100日。全く見えない期間ではありません。

幸運な事に、手元に、あるお金で、必要な物は買える。

彼女を、引き込んで「無理」してまで、残すのでは、意味が無い、そう感じました。


では、なぜ?5万円なのか?お金なら今あるじゃないか?


私が決めたのは、こうでした。



「今の自分の環境で、稼いだお金で残そう」でした。


このときは、何ヶ月掛かるか分からなかったですが。



でも確実に、私は、未来に向って、少しずつですが、歩こうとしてましたね。


私にとって、この半年間は、「自身の洗濯」期間でしたし、、

「生まれ変わり」の時期でした。


これもありきたりの表現ですが、


今となって思うと、「良かった・・」となるのでしょうね。


私は、とても恵まれてました、環境にも、人にも、タイミングにも、

ありきたりの表現しか出てきませんが、、




「私は、生かされてる」



そう感じれた時期でも有りましたね。




今はすべてに感謝です。



そして、、半年後、、、







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章タイトル: 6ヶ月

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目標を設定した私の、翌日からの仕事はと言うと、

異常にハイテンション、、しかし回りは、いつもの通り、、


またここで勉強、「自分の都合で、周りは動かない、、」と言うこと。

分かりきってはいる事だけど、再度認識。

これまでの、自分の「アホさ加減に気が付く・・・」

「こんなんじゃ失敗するわなーー」・・・と・・自己嫌悪、、


24〜5歳の、設計会社の、社員に


「こらーアホか!!じゃまやーどけー」、、、


「アホが、ウロウロしやがって、、カス人間が!」と怒鳴られた事。



ある日などは、、仲間と、100円のおにぎり一個で、大喧嘩、、、

「何で黙って食べるんだよーーー」「一言言えよーーー」・・と

ふぅー、、これが私の本性・・・小さいねーーー情けないぐらいに、、、

(そのおにぎりは、彼女に買って来たものだったから、、)

(お店は、目の前・・・・あはは〜〜ですね。)


彼女とも喧嘩があった、、理由は忘れた、他愛も無い事だろう、、

「アンタについてきて、私がアホやった!!」そう言われて、返す言葉の無い自分。

「しまった!」って感じの彼女、、あははーーー

でもお互い、逃げ場が無いから、所詮は、ゴメン、、、でオッケー(爆)

(それが良い事か、悪い事かは、知りませんし、考える気にもなりません)


4日間ぐらい風呂に入らない自分、、、臭いと言われてばかり、、、笑


時間の、切れ間のない生活、、気楽でしたね〜〜



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社長の家にも呼ばれました、、



仕事が終わって、社長に、車に乗るように言われて、

家に連れて行ってもらいました、


社長の家は「公団住宅」でした。


すると彼女はすでにいました、


奥さんと一緒に台所に立って、笑ってましたね〜


晩御飯ご馳走になって、社長の昔話を聞きました、、

M県の出身で、駆け落ちした事、

在日朝鮮人(2世)であること、夢があること、、etc、、


「干した大根のキムチ漬」け、、美味しかったですね〜〜焼酎と、、


生涯忘れることが出来ない味です。



等と色々有りましたが、、




5ヵ月後、、目標の5万円が貯まった。








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次の朝社長に「後一月で辞めさせてください」そう伝えると、


「分かった」の一言でした。


本当は、さっさと辞めたかった、しかし自分に意地を張りました。

今更、こんなところで、、何の意味も無い、最低の意地です。

でも、、これからの、ひと月は辛かったのを覚えていますね。(笑)


早く、前に進みたい自分、、そればかりが頭の中に「いましたね」。


浮ついた自分、、


最後のひと月は、社長も、何故か優しかった「これからどうするんやー」とか、、

「うちに来るまでは、本当はなにやってたんやー」とか、、、良く聞かれるようになりました、

でも何も答えませんでした、、勿論それ以上は聞かれませんでしたが、、


一度だけ、社長に、、

「社長、300万私に投資しませんか?

会社作りますから、利益率50%の年商3億ぐらいなら、一年でやりますけど、、」

「法的問題は、有りません、、有ったとしても私が被りますが」・・・・

と、持ちかけたことがあった、、社長は笑っていました、私も笑ってました。

社長は、私を信じなかったのか、別に望まなかったのかは、知りません。私も気にもしませんでした。

ただ一つ言えてる事は、


社長との付き合いは、ここで終わると言う事ですね。


それに対しても、なんら哀愁もありませんでした。




当然感謝はありましたけどね。




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章タイトル: コウモリ達との別れ

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彼女には、「辞める」話をしたのは、辞める一日前の夜。


「明日でここ辞めるよ」


「えっ?ほんとに?」


「うん、社長にも言った」


「どうするの?お金5万ちょっとしかないよ」


「大阪に行く」


「前の会社に戻るの?」


「うん、その予定」


「そう・・・・」


「だから、明日着ていく服と、最低限の物残して後は、下の焼却場で処分していて」


「うん・・・」(まだなにか、言いたそうでしたが・・)


「お前に任せるから、好きにして」


「・・・うん」


最後の日、仕事は普通に終わり、「巣」に帰ってきて、風呂に入り。

逃げる時に着ていた、G−パンに着替えて、先月買っておいた、安物のシャツを着て、、

彼女に、


「準備していてね」


「うん」


「お金頂戴」


「・・」5万円受け取って、外に出ました。


外に出て、5分ほど歩いて、「レンタカー屋」へ行きました。

一番安いのを、12時間借りました、確か・・・6500円だったと思います。

本当は、12時間で返せる事はないのですが、自分が返しに来ることはないので、

何時間でも良かった、3時間でも良かったのでですが、この時間(夜8時ごろ)から、

3時間だと、営業時間が夜9時迄なので、ありえないことになるので、

翌日の営業開始時間が「7時には誰かいる」と言う事なので、12時間借りる事にした。

借りた車に乗って、

近くの酒屋に行って、「紙パック」の焼酎3本と、つまみを適当に買って、

それから事務所に、



社長はまだいました。

(いなければ自宅に行こうと思っていましたが・・)







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「長い間お世話になりました」


「ご苦労さん」


「これからどうするんだ?」


「まだ決めてません」


「そうか」


「はい」


「頑張らないとね、これまで良く頑張ったね。」

「これ・・」と言って、封筒を差し出しました、


「なんですか?」受け取るとお金でした、、「?」・・


「日給2000円の差額だよ」


「要りません」と言って、社長机の上に置いて。

頭を下げて、事務所を出ました。


社長がどの様な気持ちで、お金を用意していたのか?

瞬間は気になりましたが、それも瞬間です。


ただただ、「感謝の気持ち」が有りました。


でもそれも、「瞬間」。


頭の中は、「次の事」で一杯。「どうする?」・・・でしたね。


考えながら、借りた車で、「巣」に戻り、

半年間馴染んだ階段を上がると、「ばったマン」たちは、いつもの如く、、

3人で寡黙に「飲んでました」そのテーブルに、

買った「物」置いて、


「辞めるよ」と一言。


この半年の癖で、3人の反応など、気にもせずに、彼女の所に行って、



「行こう」と・・彼女は頷いて、、








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章タイトル: 大阪

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出口のところで、彼女が


「皆さん、色々ありがとうございました」と頭を下げると。


「ん?」が代表して(そう感じた)「元気でな!」と一言。


私は、「目」で「分かったわ」と返事して、


他の二人にも、「ありがとうと、お前らも頑張れよ」の目線を送りました。

二人は相変わらず飲みながら、軽く目線を流して、、、


「おう」と言ったような気がしました。


彼女は泣いてました。男4人は無表情。


車に乗り込んで、振り返る気も全く無い私は、道路に出て、一路


「大阪」を目指しました。


車の中で、彼女が、


「これからどうするの?」


「とりあえず、大阪に行く」


「大丈夫?」


「大丈夫だよ」(何が大丈夫なのか、良く分からなかったが、そう答えた)


途中、コンビニで、ジュースとパン買って。彼女に渡して。



公衆電話に行って、電話番号調べて、電話しました。



2回もコールしないうちに相手は電話に出た。









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「はい、新○急ホテルです」


「予約御願いします」


「お待ちください、、、」


「はい、お電話変わりました・・・・」


「(株)○○の○○ですが」


「お世話になります、○○様」


「今日一部屋とって欲しいのですが・・」


「はい、ご用意できます」


「伊藤治。という者が、二名で伺いますので、よろしく御願いします」


「はい、伊藤治様とお連れ様ですね、かしこまりました」


「チェックインは、遅くなると思うので、お願いします」


「かしこまりました」・・・で電話を切り。。完了。


それから車に乗り、1号線を大阪方面へ、大阪到着は、深夜1時ごろでした。


「梅新東の交差点」

(関係ない話ですが、1号線は確か?ここまで、ここからは2号線)を過ぎ。

「新○急ホテル」の前を通り過ぎ、左折、、場外馬券売り場の近くのオフィス街、、

とあるビルを見上げると、当然真っ暗。それを見て、

「さいせい会病院」の横を抜けて、

もう一度、ホテルに向った。


ホテルのエントランスは車が停めにくいのを知ってましたから、

直接、駐車場へチケットを取り車を停めて、

彼女に、「降りて」と言い。



二人で、エレベーターへ。





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話は前後しますが、道中車の中では、二人で色々と話しました。

これまでの事、3人の「ばったマン」たちの事、、、

そして「これからの事」、、etc、、


エレベーターの前に行くと、異様に


「明るい世界」


久しぶりの


「外の世界」


不釣合いな




「みすぼらしい二人」・・・





私は、なんとも思っていませんでしたが(少しは思っていましたが・・)

彼女は、小さくなっていたような気がしましたね。


エレベーターが一階に付くと、、一面赤茶色の絨毯、、ホテルのロビーです。

彼女は、ますます、、小さくなってるような感じでした、、

私は笑いながら小声で


「この時間でよかったね、人が少ないから、、」


彼女より小声で



「こんなカッコじゃ恥ずかしいよ」・・



「ちょっと待ってて」

「うん」



ホテルのカウンターへ






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受付係の見覚えのある顔が、


「伊藤様お疲れ様です、お久しぶりですね」


私「予約入ってますよね?」(って自分で入れてるくせに!!)


受付「はい、承っております、少々お待ちください」


私「・・・・・・」


宿泊者カードの記入は、名前だけ。それでオッケー。鍵を受け取り。


「ありがとう」


「おやすみなさいませ」・・・


彼女の所に行って、「いこか」奥のエレベータで、客室へ、、


部屋に入り、「巣」に比べると(比べる事が間違ってるが・・)


「別世界」・・・全ての物が「輪郭」から感じる。


はっきり、目に入ってくる。


彼女を、ソファーに座らせ、

冷蔵庫から、ジュースを二本出して、

私もソファーに座り、彼女にジュースを渡し、タバコに火を点けて。


彼女が、、「ここ、幾ら掛かるの?大丈夫足りるの?」


「大丈夫だよ、払わないから、、」


「・・・・クスクス・・・」


「おなかすいたね」


「うん」


二人で、部屋を出て、一階の軽食も出来るカフェーへ


サンドイッチと、鳥のから揚げみたいな奴

(名前なんか忘れました、、横文字でしたが・・)

飲み物を頼んで、


「この近くで、7年間仕事してたんだよ。」


「そうなんだ」・・と


意味の無い会話して、、料金部屋付けしてもらって、部屋に戻りました。




落ち着いた・・・




ソファーにもう一度座り、彼女に、、






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章タイトル: 彼女の強さ

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「明日の朝起きたら、ワシ出掛けてくるから、お前は、ここにおって。

腹減ったら、さっきの店でも良いし、館内の食べたいところで、適当に食べておいて、

地下に行くと、色々と輸入雑貨売ってるから、服でも何でも、

欲しい物あったらサインして買えば良い」


彼女笑いながら、、頷きました、、


本当に女は強いですね、ある意味「怖さ」すら感じましたね、、

このホテルの事は、彼女には何も言ってませんし、

聞かれてもいません。


「大丈夫だよ、払わないから、、」と言っただけ。


この時、





彼女のこの「強さ」にこれまで幾度と無く









『助けられてた事』に気が付いた・・・







何も言わない、


何も聞かない、、、


ただ、、、黙って横にいてくれる、、


ただ、、、黙っている事の出来る、、




『強さ』






自分がまだ幾ばくかの小銭を持って、

アホ面下げて、飲み歩いてた頃。


取引先の社長に連れていかれた

座って「ん万円・・」と言う馬鹿げた店に彼女はいた。


その店を出て社長と別れて、、私は友人のお店で軽く飲み


深夜の3時頃その友人とラーメンを食べに行った。

そのラーメン屋に彼女はいた。



優雅な服を身に付けて女4人で喋っていた。。



私に気がつくと「営業スマイル」で頭を下げた。。




その日のうちに二人は深い仲になった、、






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その日は、風呂入って、二人とも、知らないうちに寝てしまってました。


朝になり、私が起きると、

彼女は起きていて、ソファーに座ってタバコ吸ってました。



「やっぱり、気持ち良いね」



何が「やっぱり」なのか分かる気がした。






爽やかな風景の中の彼女を見るのは久しぶりだった。






「なにか、食べに行こうか」



食事してその後ロビーへ、そこで鍵を彼女に渡して、


「行ってくるわ、部屋で待っといて。」


「うん」


フロントに行って、連泊の旨伝えた、、内心少しヒヤヒヤ、、


「ばれてないだろうなー」


時間は、午前9時過ぎ。


外に出てすぐに、N市のレンタカー屋に電話、


こちらも延長の旨伝える。問題なし。


近くの喫茶店に入り、注文を済まして、タバコに火を点けて、、



「さて、、これからどうする?」




「どう、、話を切り出す?」





あと2時間有る、ゆっくり考えよう、これからの事を、、、









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章タイトル: 違った人種

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近くの喫茶店で、約二時間。午前11時過ぎ。

店の中から、電話しました。


私「伊藤です、ご無沙汰してました。」


社長「おーー生きてたのか?(笑)」

(少数の人しか知らない直通電話にかけました)


私「これから伺いたいのですが」」


社長「これからか?わかった待ってるよ、今何処?」


私「すぐ近くです」


社長「分かった」・・で電話を切って。


席に戻り、コーヒーのおかわりもらって、タバコを吸って、

約10分後に店を出た。


歩いて、3分ぐらいの距離です。


目指すビルに入ると、ビルの管理会社の人が、3人いて、


その中の、二人は「顔なじみ」でした。


一番仲の良かった、「おばちゃんが」


「あらー治ちゃん、お久しぶりやーー元気そうやねー」と・・


(このおばちゃん私が22歳のハナタレ小僧の新入社員の頃から

可愛がってもらったおばちゃんです。)



私は、笑って挨拶しました、



おばちゃん(関西人は良く喋る、、爆)が




「会社戻って、くるん?」・・・




私は内心「このばばぁーするどい・・・」と・・

笑って、やり過ごし、エレベータで、目的の階へ。



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エレベーターを降りると、見慣れた風景。

降りた瞬間に、二人の社員が目の前に、、私を見て、ビックリしながら。


二人は直立不動で


「おつ、お疲れ様です、、」


私「ははーー化け物でも見たような顔すんなよ!」と・・


彼ら「はい!お久しぶりです」


懐かしい空気。


軽く、ノックして、社長室に入ると。

社長は、応接でスペースで社員と打ち合わせしてました。


私「お疲れ様です、突然すみません」


社長「おお〜まぁー座り」


打ち合わせ相手が、私に気が付き、立ち上がって「お疲れ様です」


見たことある顔、、私も「お疲れさん」


社長その社員に「また後で・・」社員「はい分かりました」

立ち上がり、出て行く前に


「統括部長、また仕事教えてください」と笑顔で。


社員と入れ替わりに、事務員がお茶を持ってきて。(知らない人でした)

その事務員と入れ替わりに、副社長と、専務が入ってきて、、


「治ちゃん、元気そうだねーー相変わらずそうで、なにより」


「今晩、食事にでも行こう、またその時ね」


などと、軽く挨拶を交わして、出て行きました。


やっと社長と二人になって、


社長「今日はやけに、突然だなあと5分電話が遅かったら

    出かけてしまうところだったよ、タイミング良くて良かったよ。


    元気そうで良かったけど、

    逃げたと言う噂は聞いてたけど、もう落ち着いたのか?

    何ですぐ尋ねてこないのや?実家にも電話したんだぞ

    戻ってきてくれるんだろう?」


と、、矢継ぎ早に、、、


話を聞きながら、感じた・・・





人が、人を見る目の、曖昧さを、、






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話を聞きながら、感じた・・・


人が、人を見る目の、曖昧さを、、


玄関のおばちゃん、社員たち、副社長、専務、社長。

お世辞なのか、気を使ってるのか知らないけれど。


みんな、こんな私に、「元気そう」だとか、、気を使う、、どうして?


何故か「ばったマン」たちを思い出した。


やつらが素直なのか、この人達が素直なのか、、分かりません・・・


私「ご心配掛けました、お陰さまで元気です」


社長「何してたんや?」


私「遊んでました」


社長「そうか、、でどうして欲しいの?」(流石、、早い。)


朝から、喫茶店で考えてた事を、社長に言いました。


私「3ヶ月だけ仕事させて下さい。」


社長「それは良いけど、、何故?3ヶ月だけ?」


私「特別な理由は有りません」


社長「借金幾らぐらい残ってるの?」


私「ほんの少しです」


社長「まぁーそこそこ残ってるのは、分かってるけど」


余談ですが、そもそも、自分で起業した時の、銀行関係は全て、社長の紹介でしたから、

私の情報は、殆ど知ってるはずです。

当然4億円の借金も知ってる。




社長「借金全額、払ってやるから、戻って来いよ」









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社長「借金全額、払ってやるから、戻って来いよ」



私「それは、しばらく考えさせてください」


社長「分かった、で希望は?」


私「期間3ヶ月、仕事は言われた事やります。」


社長「うん」


私「3ヶ月で、1500万下さい、一時金で1000万残りは給料と言う形で御願いしたいです」


社長「分かった」


私「ありがとうございます」


社長「で?いつから来る?」


私「今日からでも良いです」


社長「じゃぁー、今晩からでもいいから、東京に行ってもらえないか、

    治は知らないかもだが、その後関東にも、5支店を出したんだが、、

    それが、上手く行ってない、関東ブロックの、責任者は、○○だけど、

    知ってるよね。」


私「はい」(元私の部下でした)


社長「彼の手伝いをして欲しい」


私「何が出来るかわかりませんが、出来る限りのことはします」


社長「じゃぁーこれで決まりで良い?」


私「はい」


社長「これから、治の名前で銀行口座の開設して、1000万振り込んでおくよ」

   「通帳と印鑑は、後で専務にもらって」


私「100万だけ今現金でもらえないですか?」


社長「良いよ」(内線して、経理に指示)


社長「今から、食事でも行こうか?」


私「いや連れ待たせてますんで、、」


社長「そうかーー」




社長「話してみると、雰囲気が変わったけど、今まで何やってたんや?」






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私「その話は、また今度でいいですか?それより、後2点お願いがあります」

 

 社長「なに?」


私「新○急ホテル、勝手に専務の名前で、予約とって、

  昨晩から、泊まっています、それと。

  N市から、レンタカー昨日の夕方から、12時間契約で借りてきてます、

  この2点の処理をお願いしたいのですが」


社長「分かった、レンタカーは?」


私「後で持ってきます」


専務が入ってきて、現金の入ってる封筒頂いて。

社長が専務に、事の説明、、、


専務、嬉しそうな顔をして、、「また、治ちゃんと、仕事できるね」と・・


私「はい」


専務「相変わらず寡黙だね〜〜」と笑い、、私も苦笑い。


社長室はまた二人になって、お金のお礼を言って、、

それから、社長はどこかに電話してる。


「あー○○部長」・・とまたここでも事情説明、、「代わるよ」と言って受話器を私に、


私「お疲れ様、久しぶりですね」(彼は年齢は10歳ほど上でした)


部長「お疲れ様です統括部長!今晩東京駅までお迎えに上がります、嬉しいですお待ちしてます、今晩は私の家に泊まってください、家内も喜びます」


私「ありがとうございます、また後で、東京駅までお願いしますね」  


部長「はい」


電話を切って。



タバコに火を点けて、、お茶頂いて、



又考えた、、、昨日までの自分と今の自分って、、、同じ人??


もしかしたら・・・全く違った「人種」なのでは?




人間って、、なんて「曖昧」なんだろう。。。。。


なんて。。





『いい加減』なんだろう・・・










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社長「明日から、関東方面頼めるか?仕事勘は大丈夫だろうね。とにかく何とか頼むよ」


私「分かりました」


社長「肩書きは?副部長ぐらいで良いか?」


私「そんなものいりません、なしでも構わないでしょう?」


社長「新しい社員も増えてるから、そうはいかないとこも有るからなー」


私「お任せします、でも副部長はまずいと思います。」


社長「そうか、何にしようか?」


私は、邪魔臭くなってきて、、

「統括本部付けの、主任でも良いんじゃないですか?」


社長「じゃぁーそれで」   で決まり。


社長「住まいは、一つ空いてる、部屋が有るからそこでも良い?

 チョット狭いから、気に入らなければ、すぐにでも、自分で探して総務に言って」


私「そこで結構です」


しばらく、私がいる頃の話などして、(社長はこれまでが気になってたみたいですが・・)


専務が入ってきて、新幹線の、チケットを持ってきました。

渡そうとするので、

「後でもう一度来ます、その時にもらいます、車の鍵も渡さないといけませんし」


その後、携帯電話を、持たされて、、会社を後にしました、、


あわただしい時間でした。


一気に、この半年間の、


100倍で時間が過ぎたような感じでした。不思議な感覚。


私は、ホテルに向って、歩き出しました。



上着の内ポケットには、100万円、、実感の無いお金。



ポケットには、「携帯電話」、復帰の実感。





時間は昼の1時過ぎ、、




ホテルに向って歩く、、






寒いなぁー彼女何してるかな・・・・








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章タイトル: 別れ・・・

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ホテルの部屋に入ると、彼女は、テレビを見てました。

「どうだったの?」と聞かれて。

「うん、話は済んだ」と答えた。


ソファーに座って、「ご飯食べた?」「いや食べてない」「そっか」・・

空を切る会話・・・


「チョット良いか?」


(テレビを消しながら)「なに?」


「真剣な話だよ」


「うん」


私は、彼女に、お金の入った封筒渡して、

「100万入ってる、そのお金で、しばらくY県に仲の良い叔母さん居るって言ってただろう?

そこに行っといて。」


「どうして?仕事駄目だったの?」



「違う、逆だよ、仕事の話は上手く行ったよ、でもこれから先、

時間的にも、精神的にも、余裕無くなると思う、から、、」

(社長との話を、全て話しました)


「・・・・」

「しばらくの間、一人で頑張りたい。」

「明日にはお前の口座に800万振り込むからそれで生活していて」





彼女は今にも泣きそうな顔で・・・



「・・・・私が居たら・・邪魔?」




「・・・・そんなわけじゃないけど・・・」


「じゃぁーなんで?」





この時の彼女の白い綺麗な目は今もはっきり覚えてる・・・






-----------------------(p.69)-----------------------


私は、N市を出る時から、考えていた事を彼女に話しました。



多分、社長は私の出す条件は殆ど飲んでくれると思ってた、

出す条件は、とりあえず、「3ヶ月、1500万」で。これも問題ないだろうと思ってた。


問題はそれに、私がどう答えるかだという事。


1500万、、、仕事してる頃(辞める前)なら、大した問題ではないが。

今は、違う。





今の、自分の価値は一日「2000円」






それが、約100倍に、跳ね上がる。

と言うことは、100倍仕事を求められる。


それに答えるには、正直言って、


「彼女と、ご機嫌に暮らしてることすら」社長の好意に対して、


「礼を逸す」そう思う。(この時は真面目にそう感じた)


この3ヶ月は、100%仕事に生きたいから、部屋に帰っても、仕事の中で生きていたいし、

そうするべきだと思うから、お前は、どこかで、待っていて欲しい。


3ヶ月したら、別の会社に、行こうと思っている、


なぜ?3ヶ月で、辞めるのか?それは。



-----------------------(p.70)-----------------------


なぜ?3ヶ月で、辞めるのか?それは。


この会社は、私が入社した頃は、2つの支店しかなかった。

その後、私が支店を11支店作った。

5年と言う異例のスピードで役員にしてもらい、

社長からはとても可愛がってもらっていた。

子供のいない社長にいつも


「将来、治が社長になるんだぞ!」と言ってもらってた。


勿論、今居る、社長、副社長、専務、以外の社員は、全員部下だった。


私が戻る事において、皆多分喜ぶと思う、

しかし私が好き勝手な事している時に、

頑張った彼らに対して、突然戻ってきて、「上司風吹かすのは」申し訳ない、、


私は、部下として仕事は出来ると思うが、彼らが無理だろうと思う。

勿論私が再び上司になる方が、彼らも表面上は喜ぶだろう。

しかし、それが本音だとは思うわけにいかない。

彼らも、頑張ってたんだから。



だから、今回は、一つの段階としてこの会社にお世話になる事にした。



彼女は黙って聞いてました、彼女には始めて話す話です。

「・・・・」無言でした。



私は振り絞るように、、、



「頼むから、言われた通りにして」


彼女は真直ぐに私を見ながら、、、




「分かったわ」




私は彼女の顔を見るのが辛かった、、、






「ありがとう・・・」





どうして、ありがとうなのか・・・




自分はどうして?ありがとうって言ったのか・・・










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彼女は涙を一杯溜めた目で、、


「これで最後じゃないよね!」

「絶対に迎えに来てよ・・・・」


急に彼女が愛おしく感じて、、、


手を取ってこちらに引き寄せた。




明るいホテルの部屋で泣き顔の彼女を抱きました。



しょっぱい、、キスの味、、、





せいいっぱい、、、しがみつく彼女、、、








「治と離れたくない・・・」だけを繰り返す、、、、











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章タイトル: 新大阪駅、、そして東京

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新大阪駅のホームで彼女に連絡先を、渡して、


「落ち着いたら、連絡してね」と言って。


新幹線に彼女を乗せ、私はホテルに戻り。

しばらくの間、考えてました。




「これで良かったのか・・・」




この、約7ヶ月間一緒に居た彼女です。


7ヶ月間私自身、不安がなかったと言えば嘘になります。




その都度、彼女にいつも救われました。




でも、今こうして、「復活」しようと動き出した時に。



彼女の存在が、




『邪魔』だったと言う事なのか・・・




一緒じゃ駄目だったのか・・・






-----------------------(p.74)-----------------------


逃げるような気持ちで出した結論はこうでした。



「私は、人間としての『価値』は無い、、

だから、人間として生きるなら、何かを失って当然。何かを掛けて当然。」


だから、今は生きることの100%を仕事で生きる、それしか今の状態を脱する事は出来ないだろう。


中途半端に動くと、生涯苦しむ事になるだろう、、だから今はこの選択しかない。


別に彼女が、今の状態を嫌がっていたわけではありません、、

もしかしたら、生涯「ばったマン」でも良かったかも知れません、、

私の独りよがりかも知れません、、


でも、私はあの時は、



「自分だけの、人生を選択したのです」



それを、彼女に押し付けて、しまったのですね。



重苦しい気持ちでしたね。



その日の夜に、新幹線に乗り、東京に向いました。

(「多少狭い」と言ってたマンションは、家賃50万の馬鹿みたいなマンションでした、

そこで4ヶ月間、布団と電話だけの生活をしました。)



-----------------------(p.75)-----------------------



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章タイトル: その後の彼女とエピローグ

-----------------------(p.76)-----------------------


あれから約18年経ちました。


お陰様で借金は約4年で完済しました。

今の私なら、違った結論を出していたと思います。

あの頃は、実力不足。(今でもそうですが・・・)


その後半年後に彼女とは別れました。

(別れの話は、又機会がありましたら・・・)


今彼女には、3人の子供が居て、とても幸せだと言ってくれます。


電話で、この頃の話をすると、二人とも苦笑いです。




最後はいつも「ゴメンね」としか私は言えないです。




それに対して彼女は、いつも




「仕事頑張ってね」と言ってくれます。



(彼女とは、ここ5年ほどお互い連絡は取ってませんが、、元気でしょう)


その後の私は、4ヶ月で会社を辞めて、別の会社に役員として移り、

現在に至ります。


この「時期」を経て私がどう変わったのか、、


それは、「ただの仕事人間」。

情けも何も無い、非情な人間だったと思います。

(おかげで、借金は無くなりました・・・が)

人間味の無い人間ですね。



その後、6年前に、会社を辞めました。



辞めてからの6年間は、とても人間らしい自分が居るような気がします。


仕事人間の「無味無臭」の私ではなく

「柔らかい」「人間の私」が居るような気がします。




でもまた今、ビジネスに向いたい自分がいるのも、事実だと思います。





今度は、もっともっと、パワーアップしてみたいですね!



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最後に、意味不明の「過去日記」にお付き合いいただき有難うございました。


又機会があったら、違う「過去日記」書いてみたいと思います。


こんな私ですが、これからもよろしくお願いしますね。




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『今まで、出逢った人すべてに感謝してます』













-----------------------(p.77)-----------------------


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