愛の言霊
「『イライラ』って十回連続で言って下さい」
「イライライライライライライライライライライライライライライライライライライライラ」
言われたとおり十回言った。
「どうです? どんな気持ちですか?」
「……なんでだろう。特に理由もないのにイライラしてきたよ」
「これが言霊と言うものです。人は長い歴史の中で、言葉と言うコミュニケーションのための文化を生み出しました。言葉とは自分の意思を他者に伝えるための手段であり、自分の意思を自分で再確認するためのシーケンスでもあるのです。そして人は簡単に言葉に影響を受けます。自分の口から発せられた言葉もまた然り。人は言葉を支配しているようで、実は逆に言葉に支配されているのかもしれませんね」
「どうしよう。すごくイライラする。物に当たり散らしたいよ。ねえ、ボクはどうしたらいい?」
「そうですね。『ソワソワ』と十回連続で言って下さい」
「ソワソワソワソワソワソワソワソワソワソワソワソワソワソワソワソワソワソワソワソワ」
言われたとおり十回言った。
「どうです? どんな気持ちですか?」
「……なんでだろう。落ち着かなくなってきた。集中できる気がしないよ」
「これが言霊と言うものです」
「どうしよう。ジッとしてられないよ。ねえ。ボクはどうしたらいい?」
「そうですね。『ワクワク』と十回連続で言って下さい」
「ワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワク」
言われたとおり十回言った。
「どうです? どんな気持ちですか?」
「……なんでだろう。気分が盛り上がってきた。オラ、ワクワクしてきたゾ」
「これが言霊と言うものです」
「おもしろいね」
「そうでしょう?」
「他にはないの?」
「そうですね。では、『スキスキ』と十回連続で言って下さい」
「スキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキス」
言われたとおり十回言った。
「どうですか? なんだか私の事が好きになって、あまつさえキスしたくなってきませんか?」
「………………………………別に」
Spiritual Love Message///bad end.
『十回言ってみて』って言葉にしたら簡単なのに、文字で見ると面倒くさい!
二年くらい前のGW中にごく短い時間に書いた作品です。
書くのも読むのも、暇つぶし程度にしかならない……!




