プロローグ「望んだ景色」
Theme Song: Genesis
https://youtu.be/Hr2xaNAZgeo?si=yAHnWieTDCYd5KLD
使い古したロッキングチェアに腰を落として、私は過去と記録の散在する埃塗れの自室を一瞥した。
妻の亡きより、実に己の整頓能力の無さに向き合わされてきた。今やそんな体力すら残されていないのが現状だと言い訳しよう。
唯だ『#1』とだけ表に書いたこれを手に取ったのはいつ振りだろうか。
―コンコン、と欅製の戸から心地の良い音が響く。
『ネロ様、読書の途中失礼します。お茶をお持ちしました』
「ははっ、なして祖父に敬語を使うかな。いつもの所に置いてくれ。序にエリスの花束を交換しておいてくれないか」
小柄な足は器用に紙と紙の隙間を踊る様に通り抜けていく。
『…今日こそ、部屋を掃除しましょうか?』
「違う。何度も云うが、これが良いんだな」
コトン、とティーカップの皿が机にぶつかる。なるほど、今日はルイボスを淹れたのか。
『失礼しました』
これが、永らく私が望んできた景色だろうか。
闘いも聞かず、争いも聞かず、遠くのほんの小さな滝から滴る音が鮮明に耳から溢れて止まない。
息子を王に持ち、可愛い孫も居て。こんなにも寄せ集めに囲まれて、それが奇跡的に美しく均衡を保ったままでいて。
私の嘗ての側近達は口々に「本当の幸せには気付けないものだ」と宣ったが、それはどうか。私が思う幸せとは即ちそう、寄せ集めだ。他人が定義して良い概念ではない。
さて。主観ばかりに富んだ独り言は棄てて、此方に戻ろう。
人と竜との諍いを。調和を。その軌跡を。
更新ペース激遅です
一応底辺気味のボカロp「てよ」としても活動しています。
ニコ動は分からんけどつべで調べたら出てくるはずです。興味あったらぜひ




