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人x竜記  作者: 凩凪
1/1

プロローグ「望んだ景色」

Theme Song: Genesis

https://youtu.be/Hr2xaNAZgeo?si=yAHnWieTDCYd5KLD

 使い古したロッキングチェアに腰を落として、私は過去と記録の散在する埃塗れの自室を一瞥した。

 妻の亡きより、実に己の整頓能力の無さに向き合わされてきた。今やそんな体力すら残されていないのが現状だと言い訳しよう。


 唯だ『#1』とだけ表に書いたこれを手に取ったのはいつ振りだろうか。


―コンコン、と欅製の戸から心地の良い音が響く。


『ネロ様、読書の途中失礼します。お茶をお持ちしました』


「ははっ、なして祖父に敬語を使うかな。いつもの所に置いてくれ。序にエリスの花束を交換しておいてくれないか」


 小柄な足は器用に紙と紙の隙間を踊る様に通り抜けていく。


『…今日こそ、部屋を掃除しましょうか?』


「違う。何度も云うが、これが良いんだな」


 コトン、とティーカップの皿が机にぶつかる。なるほど、今日はルイボスを淹れたのか。


『失礼しました』


 これが、永らく私が望んできた景色だろうか。

 闘いも聞かず、争いも聞かず、遠くのほんの小さな滝から滴る音が鮮明に耳から溢れて止まない。


 息子を王に持ち、可愛い孫も居て。こんなにも寄せ集めに囲まれて、それが奇跡的に美しく均衡を保ったままでいて。

 私の嘗ての側近達は口々に「本当の幸せには気付けないものだ」と宣ったが、それはどうか。私が思う幸せとは即ちそう、寄せ集めだ。他人が定義して良い概念ではない。


 さて。主観ばかりに富んだ独り言は棄てて、此方に戻ろう。


 人と竜との諍いを。調和を。その軌跡を。

更新ペース激遅です


一応底辺気味のボカロp「てよ」としても活動しています。

ニコ動は分からんけどつべで調べたら出てくるはずです。興味あったらぜひ

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