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4.

 目を覚ますとカチャカチャと物音が聞こえてくることに気づいた。


「ノア……?」


 私はまだ目覚めきっていない目をこすりながら物音がする部屋に向かった。


「あっ、おはよ。リリア」


 ノアがエプロンを着て、朝ごはんの準備をしていた。


「おはよーノア」


 私が椅子に座ると、ノアがご飯をテーブルに並べた。


 今日の朝ごはんは魚料理と、昨日のシチューのあまりものだった。


「美味しそう」

「ふふっ、リリアのそれ昨日も聞いた」


 ノアはエプロンを脱ぐと椅子に座り手を合わせた。


「「いただきます」」


 ノアの料理は昨日も食べたがやはり美味しかった。


「あっそういえば、昨日のリリアが言ってた嫌われるって話だけど……」


 昨日のことを思い出すと私は顔を真っ赤に染めた。


 あー昨日ノアに抱きしめられてそのまま寝ちゃったんだ!!!!


「うん……」

「あれ多分リリアの呪いが原因かも」

「え? 呪い……?」


 まさかの思わぬ発言に私は連続で瞬きをした。


 の、呪いってまさかあの魔女が人間にかける魔法の一種の……?

 でも、私呪われた記憶ないけどなあ……


「私、魔女と会ったのなんてノアが初めてだよ?」

「リリア、呪いをかけるのは魔女だけじゃなくて魔物もなの」


 魔物はかつて魔女が生み出したと言われるものだ。


 だが私は魔物にも出会ったことがない。

 それに魔物なんて、魔女の世界と人間の世界を分ける境目にしかいない。

 人間がそんなところに近づくなんてありえないし……


「私、魔物にも会ったことないよ?」

「うーん、じゃあちょっと調べてみよっか」


 ご飯を食べ終わるとノアは私の体触り始めた。


「ちょ、ちょっと、ノア、くすぐったいよ」

「我慢して」


 ノアはそのまま全身くまなく調べた。


「じゃあ次は服脱いで」

「え……? それは……」

「つべこべ言わない!」


 そう言うと、ノアは私が着ていた服を脱がした。


「きゃあっ!」


 咄嗟に胸を隠ししゃがみ込む。


「女同士なんだから恥ずかしがらなくていいでしょ?」

「少しはためらってよお」


 泣く泣く私はそう言ったが、ノアは気にしていないようだった。


 呪いの原因を知るためだし、仕方ないか……


 私は隠していた胸から腕をどけ立ち上がると、ノアは私の体をまじまじと見始めた。


「早くしてよお……」


 ノアは私の上半身を見終わると、次はズボンを脱がし始めた。


「ちょ、ちょっと脱がすなら言ってよ!」

「……脱がすよ」

「もう、遅いよおおおおぉぉぉ」


 ノアは私の話なんて聞こうともせず淡々と調べていく。

 

 足を触り、その触った個所をまじまじと見る。

 その繰り返しだ。


「じゃあ、次はここも――」


 ノアは私が履いていたパンツの両端を掴むとそのまま脱がそうとした。


「いやいやいやいやいや、そこはいいから!」

「でも、念のため……」


 ノアに脱がされないよう必死にパンツを掴んでいる私からノアも必死に脱がそうとしてくる。


「自分以外の人がどうなっているか気になるの……!」

「いやそれ呪いを調べるのと関係ないよね!?」


 ――5分後


「はあ、はあ……はあ」

「はあ、はあ……はあ」


 二人とも息が上がっていた。


 激しい攻防をしていた私たちだったが。

 なんとかノアの欲望を抑えることができた。


「そ、それで呪いはどうだった……?」


 少しづつ息を整えながら私はノアに調べた結果を聞いた。


「呪いの原因はやっぱり魔物。呪いの経緯は、多分だけどリリアの親がリリアをまだ身籠っている時に、魔女の世界と人間の世界の境目に近づいて呪われたんだと思う」

「母様は呪われてないの?」

「呪いは力のないものを優先的に呪うから、それでリリアが呪われたんだと思う」

「治す方法は? わかるんだよね……?」

「その魔物を倒すしかない……」


 人間が魔物を倒すなんてほぼ不可能だ……

 私も会ったことはないが、境目に近づいたものはみんなボロボロだったのを、何度も見た。


「む、無理だよそんなの……私には……」


 あーあ、私はこのまま呪われたままなんだ……

 仲良くなれるのは、ノアと同じ魔女だけ。


 私が下を向いて落ち込んでいると、ノアが手を握ってきた。


「大丈夫、リリア私が一緒に行くから」


 顔を上げるとにっこり笑うノアの姿あった。


 魔女のノアがついてきてくれれば魔物を倒すことができる。

 でもノアに色々してもらうのは申し訳ない……


「ノア、嬉しい提案だけど私はノアに何もしてあげられないよ?」

「何もしなくていいよと言いたいところだけど――」


 ノアが何をお願いしてこようと私にできることは少ない。

 それに結局処刑される身なんだし、呪いなんて別に治さなくても……


「生きてほしい」

「え……?」


 ノアは私の心を見透かしているのだろうか。

 

「私を助けたからリリアが処刑されるなんて絶対に嫌」

「でも……そういわれても……どうやって……」


 このダリアン王国で魔女との関りを持ち逃げられたものは一人だっていない。

 それは私が国王の娘だったとしても変わらない国の守りである。


「私と一緒にこの国を出よう! そうすれば誰もリリアを処刑できないでしょ?」


 なんておかしな提案なのだろうか。


 私はノアの提案に呆気を取られながら、内心クスクスと笑っていた。


「ふふっ、そうだねノア。一緒にこの国出よっか」


 私が笑うとノアもつられて笑った。


 この子は私とは違うんだ。

 やりたいことをやって、やりたくないことがあったらちゃんと逃げる手段を見つけられる子だ。

 すぐに諦めてしまう私とは違う。


 ノアと一緒に居たら私もなれるのだろうか、自分のやりたいことを全力でやれる自分に。

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