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エピローグ

「今回こそはいけたと思ったんだけどなー」

男の人はパソコンの前でそう嘆いた。

「また失敗なの?」

女の人が問いかける。

「今回は知能指数を高く設定しすぎたみたいだ。危うくこっちの存在を認知して自らの意思で戻ってくるとこだったよ。」

男の人は女の人が持ってきたコーヒーを片手に楽しそうに語った。

「仮想現実における一般常識をコンピュータにインプットすることで現実世界でも難なく動いて完璧なまでに人間に擬態するロボットが完成する予定だったけど一旦別の研究でもして頭を冷やそうかな。」

その言葉を聞き、女の人が首を傾げ尋ねた。

「その実験ってコンピュータだけを繋いで仮想現実でやる必要あるの?ボディもあるし現実でちょっとずつ試せばいいじゃない。大は小を兼ねるって言うしさ。」

男の人は言った

「現実では完璧な乱数が調整できない。てきとうに数字を並べてって言われて同じ数字を何個も並べないだろ、それは確率的には0じゃない並びなのに人間はそうしない。不自然だからさ。

その不自然さこそが一般的じゃない非常識さなんだよ。大は小を兼ねるけど複雑になっていく大きいのもを簡略化していけば結局は小さいものと何も変わらない動きをしてるのさ。大は小を兼ね、大は小になる。そういうことさ。」

男の人はコンピュータのデータを写し終え、ファイルに068と書き込み、パソコンの本体の方へ持っていき、コンピュータ側の記憶をリセットした。

机に戻り、再度コンピュータを機会にセットし、電源を入れる。


ピーピーピー…

後ろでコンピュータのボディが目を覚ます。

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