ふたり
二人はいつでも都会の森で、
秘密の扉を開けては、閉めた。
互いの言葉を労るように、
静かに窓から森を見た。
長いそして深い昨日の孤独、
世の理不尽に流れ着いて。
涙が溢れて止められないよ。
情け無いよね、大人のくせに。
二人はそれから時計の川で、
息を切らして緩く泳いだ。
向こうの岸まで時には行った。
戻れないかもしれないのに。
背中見せ合うほど無防備な瞳。
眠りに落ちれば夕闇に溶けて。
涙が溢れて止められないよ。
情け無いよね、男のくせに。
二人がどうして離れないかは
ほんとの理由がどこかにあって。
危険な日差しと同じことかな。
虐げられたか弱いからか。
声を上げなければ何も変わらない。
声を上げるのなら命かけて。
涙が溢れて止められないよ。
情け無いよね、二人のくせに。
二人はこれからどこでどうして、
都会の涙を甘くするのか。
それとも一夜で森から逃れ、
真冬の海まで流れるのか。
強く優しく、理想の人柄に
なれたらどんなに素敵でしょう。
涙が溢れて止められないよ。
情け無いよね、笑えるくせに。