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健やかに育つ~幸せを願う~

生まれてきた我が子達の幸せを願うアトリア。

勿論育ってきている子達の幸せも願っている──




「カムイ」

「ロゼリア」

「イリアス」

 呼んだ順にカーラのダンピールの男児、フレアのダンピールの女児、最後がミスティの吸血鬼の男児の名前だ。

「いいこね」

「みんなぐっすり」

「というか寝てばかりよね……」

「そうそう、おっぱいあげたらすぐみんな眠ってしまうわ」

「アトリアの時は大変そうだったのに……」

「子どもにも差はありますから……」

 私はそう言って苦笑した。

 どうやら彼女達の子は手がかからない子達らしい。

「まま」

「まま」

「マルス、マリーロゼ」

 自分の名を呼ぶ我が子に近づき抱きかかえる。

「いい子だね」

 子ども達は私にぎゅっとしがみつく。

「よしよし」

「アトリア、子ども達は?」

「アルフォンス殿下」

「ぱぱ」

「ぱぱ」

 子ども達は私にしがみつきながらアルフォンス殿下を見る。

「そうだよ、パパですよ」

 アルフォンス殿下は近づき、子ども達の頬を撫でる。

 しばらくすると、国王陛下と王妃殿下が部屋を訪れた。

「アルフォンス、アトリア。私達の孫は元気かね?」

「はい、健やかです」

「はい、父上、義母上元気そうです」

 しかし、国王陛下が顔を見ようとすると、双子は顔を隠してしまった。

 めったに来ない国王陛下に人見知りを発動してしまったらしい。

「も、申し訳ございません、この子達人見知りが激しくて」

「貴方、仕事が忙しいのは分かるけど、もう少し顔を出した方がいいですよ」

 王妃様がそう言って、双子の顔を撫でると、双子は顔を見せきゃっきゃと笑った。

「ううむ、そうした方がいいな」

 国王陛下は困ったように笑った。

 私はそれにほっとする。

「アルフォンスとフェルミアが生まれた時も忙しくて顔をあまり見せなかったから二人に父と認識されるのに相当苦労したのを思い出す」

「なら、顔をだしましょうね」

「うむ」


 国王陛下や、王妃殿下、アルフォンス殿下は双子の遊び相手をしてくださった。


 その間、私は他の我が子達の様子に集中できた。

 他の我が子達はすやすや夢の中。

 三人はそのまま起こさないように部屋から出て行った。


 そして国王陛下と王妃殿下が居なくなり、アルフォンス殿下とセバスさんと双子の空間になる。

「おねむだね、やすもうね」

 遊び疲れて夢の中に入った双子をベッドに寝かせて、私は椅子に腰掛けるとアルフォンス殿下が近づいてきた。

「アルフォンス殿下、どうしたんです」

「うーん、中々言い出せなかったのだが、もう夫婦になって数年経つし子どももできたのだから、そろそろ私の事をアルフォンス『殿下』と呼ぶのを辞めてくれないでしょうか?」

「えっとそれはつまり……」

「アルフォンス、それだけでいいんです」

 長い間染みついた言葉だったものでうまく呼べるか不安だった。

「あ、アルフォンス……」

「有り難うございます、アトリア。何か私だけ殿下呼びだから線を引かれているように感じて……」

「大丈夫ですよ、アルフォンス殿下」

 セバスさんが微笑む。

「アトリア様がアルフォンス殿下と呼ぶのは横着みたいなものですからね、それで呼び慣れてしまって取るのがなんかできなかったそんな感じです」

「なるほど」

「ははは……」



 それからしばらくが達、子ども達が立って歩けるようになったころ。

「よぉ、アトリア!」

「義父さん」

「元気にしていた、アトリア」

「義母さん」

 義父と義母が遊びに来てくれた。

 この二人はしょっちゅう遊びに来てくれる。

「義兄さん達は?」

「相手を見つけないなら、領地を治める勉強をし直せ。と言ってさせている」

「義兄さん達……」

「あの子達まだ結婚相手見つけてないのよ、ダンピールとか吸血鬼だからいいものの、人間だったら養子を貰わねばならないじゃない」

「ははは……」

「あの馬鹿共『アトリアの子が生まれたならその子と結婚したい』とかも抜かすのだ、拳骨を喰らわせたが効果は無かった」

「オゥイエ」

 ガロウズ義兄さん達そんな事いってたの?

 もしそれ本気ならあと18年近くは時間がかかるよ⁇


 あ、吸血鬼とかダンピールには18年なんてあっという間か。


 人間ならともかく。


「じぃじ、ばぁば」

「じぃじ! ばぁば!」

 控えめなマリーロゼに対し、元気なマルス。

「おうおう、元気だなぁ、マルスは!」

「マリーロゼも可愛いこと」

 抱きかかえられ、嬉しそうにする双子。

 その姿は対照的だ。


 マルスはきゃっきゃとはしゃぎ。

 マリーロゼは控えめに笑ってしがみつく。


 この心地よい幸せを噛みしめてしまう。



 私は幸せになってもいいんだと思えるようになって以来、今の生活が楽しくなってきた。




「母様」

「母様」

「マルス、マリーロゼ」

 そして双子は六歳になった。

 私の母が体を壊した年。


 私が働き始めるようになった年。


「二人は幸せにおなりなさい」

 そう言って私は二人を抱きしめる。

「母様は幸せじゃないのですか?」

「ううん、幸せですよ」

「じゃあ、どうして……」

「お呪いのような言葉です、王族の子として生まれた貴方達は普通の子達と違う道を歩むこともあるでしょう、それでも、幸せにおなりなさい」

「はい、母様」

「はい、母様」

 二人は私に抱きつく。

「今日からはしばらく父様が一緒に寝てくれるそうですよ」

「珍しい、父様が」

「父様とかぁ、それってもしかしてこの間話してた僕たちに血のつながった妹か弟かできる話と関係ありますか?」

「マルス、聞いてたの?」

「やっぱり! でもその子は王族にはなれないって……」

「うん、レオン父様との子だからね」

「レオン父様は不器用だけど優しいよね」

「うん」

「僕楽しみ!」

「私も楽しみ!」

 二人はきゃっきゃとはしゃぎ出す。


 それを私は少しだけ複雑な気持ちで見つめていた。


──確執とかが起きないと良いのだけれども──


 そう願うしか私にはできなかた。


 その日の夜から私はレオンの寝室で過ごすことになった。

 二ヶ月後──


「妊娠しております」

「ありがとう、アトリア」

 レオンは珍しく微笑んでいった。

「いえ……」

 私ははにかんで否定した。

「……」

「アトリア」

「これから私から生まれてくる子が、不幸になるのではないかと不安なのです」

「安心しろ、それにだけはさせないと保証する」

「私もです、アトリア」

「アルフォンス……」

「俺もだアトリア」

「グレン……」

 励まされ、私の不安感はすっと消えていった。

『だいじょうぶ、あとりあおにいちゃんとそのこたちはしあわせになるの!』

 シルフィの元気な声が耳に響いた──







我が子の幸せを願うアトリアの話でしたね。

シルフィが最期に元気よく後押ししてくれましたね。

きっと大丈夫でしょう。


ここまで読んでくださり有り難うございました!

次回も読んでくださると嬉しいです!

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