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三人の妊娠と出産~最後に手が折れた~

カーラ、ミスティ、フレアの妊娠している様子を労りつつ、我が子達の育児をするアトリア。

そこへバロウズ公爵が訪れて──




 子育ての合間を縫って、カーラやミスティ、フレア達を訪ねる。

 皆妊娠の症状がでて、食べ物なんかも偏り始めていた。

 カーラはレモンばかりをかじっていた。

 酸っぱすぎないかなと思ったが、この酸っぱさがいいらしい。

 ミスティとフレアは血をがぶ飲みしている。

 血以外受け付けてくれないらしい。


 フレアは「血以外も食べたいけど食べられないですわ……」とぼやいていた。


 私は三人を労ることしかできない。

 妊娠の際の負担を変わってあげることはできないのだ。

 だからせめて彼女達が望むように。





「マルス、マリーロゼ」

「だうー」

「あうー」

 子ども達の名前を呼ぶと子ども達ははいはいをしながら私に近寄り、私にしがみついてきた。

「どちらも健やかに育っていますね」

 アルフォンス殿下が言う。

「はい」

「ぱぁぱ」

「まぁま」

 男でママなのはどうかと思うが、まぁそれはそれとして。

「はい、ママですよ」

「ええ、パパですよ」

 マルスをアルフォンス殿下が抱き上げ、マリーロゼを私は抱き上げた。

 そして抱きかかえる。

「マリーロゼとマルスの相手はしっかりと見極めないといけないね」

「アルフォンス殿下気が早いですよ」

 最初に生まれたのはマルスなので長子であるマルスが問題が無ければ国を継ぐことになる。

 マリーロゼは何も無ければ公爵家等位の高い家に嫁ぐことになるだろう。


 他国に嫁ぐという選択肢は無い。


 この国は他国から狙われているのだから。

 ごたつきはある者の、多くの種族が共生しているこの国は異質なのだ。



「アトリア、元気か?」

「義父さん!」

「おおーマルスもマリーロゼもすっかり大きくなったなぁ!」

「だう」

「あう」

 バロウズ公爵……義父さんが来るとめったにこない人に人見知りを発揮したのかぷいっと二人は顔を背けてしまった。

「すみません、この子達人見知りが激しくて……」

「ははは、いいんだよ」

 義父さんはそう言って、そっぽ向いたマルスの頬をぷにぷにとつついた。



 二週間に一度、義父さんはやってくる。

 そして子ども達を見て、ミスティ達の様子を見て差し入れのレモンと血を持ってきて帰って行く。


 カーラ曰く、義父さんの持ってきてくれるレモンは美味しいらしく、酸っぱさの中に甘さも入り交じっててすっきりするのだとか。



「それにしても、城下はどうなっているのでしょうか?」

「賑わっているよ、娘の名前に薔薇(ロゼ)が入っているから、ソレ関係のものが特に売れ行きがいい、縁起物としてね」

「はぁ……」

「あと、学園志望者の数も増えてきているよ」

「何故に?」

「真剣に受けていれば、私達のような伴侶に恵まれるのではないかとね」

「下心満載じゃないですか」

「ですね」

「でもまぁ、夢を見てしまうのでしょう、アトリアのような例もありますし」

「あまり良い例ではないかと……」

「それに、アトリアは私達に恋愛感情を抱いていませんからね」

「それは申し訳ない……」

 本当に申し訳なかった。

 未だこの立場にいるというのに、次期国王であるアルフォンス殿下を愛してないとか伴侶としてどうかと思う。

「でも、私達を大切に思ってくれている、それだけでいいのです」

「アルフォンス殿下……」

 その言葉は救いだった。

「そうだぞ、アトリア、お前は気にすることはない。お前はそのままでいい」

「グレン……」

「そうだ、アトリア。お前はそのままでいい」

「レオン……」

「全く、貴方はいつも無理ばかりする」

「そうよ、アトリア、自分を責めてばかり」

「責める必要は無いのよ」

「カーラ、ミスティ、フレア⁈ さ、三人とも安静にしてて下さい! お腹がそんなに大きいんですから!」

 私は慌てる。

「あら、少しくらい運動はしないと」

「これ位は、ねぇ」

「アトリア、私達の事は今まで通りでいいのよ」

「……」

 何も言えない。

 感謝の気持ちを言いたいのに、言えない。

 どうしたら──

「アトリア、そこは素直に『ありがとう』でいいんだぞ」

 レイナさんが部屋に入って来てそう言う。

「……有り難うございます」

「ええ、では部屋にもどりますわ」

「そうね、侍女に怒られてしまいますし」

「ですわね」

 そう言って三人は戻っていった。

「そういえばこの部屋の防犯ってどうなってるんですか?」

「ああ、魔法で登録してない人は扉の前ではじき出される仕組みだよ」

「なるほど」

「それで不審者が来たと分かるからね」

「ええ……あれ、でも妊娠している場合は?」

「その際も再度登録しなおすんだよ」

「なるほど……」

「部屋中にそう言った魔法がかけられてるから何かあったらすぐ私達が反応できます」

 セバスさんとアルフォンス殿下の説明で何となく分かった。





 それから数ヶ月後──

 カーラがまず破水した。

 私は子ども達をアルフォンス殿下とセバスさんに任せてカーラの出産に立ち会う。

 カーラが私の手を握りしめる。

 そして──


 ふぎゃあ、ふぎゃあ


「ダンピールの男の子ですね」

 ダンピールの男の赤ちゃんが生まれた。


「カーラ有り難う、頑張ってくれて有り難う……!」

「貴方の為ですもの……」

 カーラは疲れ切った様子だったが、それでも笑った。



 それから数日後フレアが破水した。

 カーラと同じように子ども達を任せ、フレアの出産に立ち会う。

 手を痛いほど握られ、そして──


「ダンピールの女の子ですね」


「まぁ……可愛い。アトリアに似て……」

「貴方にも似てますよフレア」

 そう言って笑い合った。



 それから更に数ヶ月後。

 ミスティが破水した。

 同じように子ども達を預け、ミスティの出産に立ち会う。


「吸血鬼の男の子ですね」


 吸血鬼の男の子の赤ちゃんが誕生した。

「ミスティ、お疲れ様、ありがとう……」

「あの、アトリア、その手……」

 ミスティは汗だくになって私の手を見る。

「……貴方に握られて折れたようです」

「キャー!」


「急いで治癒士を呼べー!」


 と、一騒動になったのは、言うまでも無い──







アトリアは恋愛感情がないけれども大切という思い出伴侶達と過ごしています、それにまだ罪悪感がありますが大丈夫でしょう。

そして、腕がぽっきり折れましたね、最期。

阿鼻叫喚ですね。



ここまで読んでくださり有り難うございました!

次回も読んでくださると嬉しいです!

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