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第52話 エピローグ

 長年続いた魔導騎士の暴走事変。


 その首謀者であるクラウス・ローゼンが討たれたことで終幕となった。


 そして終戦後、ユリウス・ヴァーグナーは榊原裕斗を不当に拘束、排除しようとしたこと、団員の友人家族を人質にかけていたことで失脚した。


 後釜として付いたのはエルザだった。


「いやあ、大出世ですね、隊長」


 少年はエルザに対してそう言った。


 しかしそれに対し、エルザはため息をついて答える。


「隊長ではない。団長だ。……それに、今の隊長はお前だろう、サカキバラ・ユウト」


「ウッ……!」


 少年……榊原裕斗は反応に困る。


 「やっぱり僕なんですか?普通、ここは副団長のシーラさんが勤めるべきなんじゃ……」


 シーラは首を振る。


「私は上に立つよりも陰から支えることが得意ですから。団長はユウトさんの方がいいと思います」


「ええ……」


 ポン、とエルザは裕斗の肩に手を置く。


「……という訳だ。よろしく頼むぞ、ユウト隊長」


▲▽▲


 オルトランデ騎士団本部の地下には簡易的にだが牢屋が存在する。


 そこにはオルトランデ内で起こした犯罪者が収容されており、犯罪者の一人にはある男も収容されていた。


 元オルトランデ騎士団団長、ユリウス・ヴァーグナーその人である。


 面会室にて監視の元、裕斗はユリウスと面会していた。


「あなたの自室と家系図を調べました。やはり、ルドルフさんはあなたの先祖なんですね。どうしてウソをついたんですか?」


「……あんな男、我が一族の汚点だ。獣人と分かりあい、ともに暮らす?ハッ!バカバカしい!」


「安心しました。やはりルドルフさんはクラウディアたちを裏切ったのではないと知れて」


「なんだ?そんなことを聞きに来たのか」


「いいえ」


 ふるふると裕斗は首を振る。


「私はあなたにお礼を言いに来たんです」


「お礼……だと……?」


「ええ。僕は前の世界で一度死にました。ですが、偶然あなたが僕を召喚したことで、もう一度この世界で生を受けることができたんです」


 裕斗は頭を下げる。


「本当に、ありがとうございました」


「…………!」


「それでは」


 裕斗は軽く会釈した後、背を向け面会室を出た。


 ユリウスは最後まで歯を食いしばり、裕斗を睨みつける。


 胸中にざわめく感情は、当の本人でさえも理解することは叶わなかった。


▲▽▲


「あ」


 裕斗は団員に自らの隊長就任挨拶をするべく廊下を歩いていた時、目の前で歩く二人を見て足を止めた。


「ルイーゼ、ヴァネッサ」


「あら。お疲れね、隊長様」


 ヴァネッサがニヤニヤと笑いながら言ったことに、裕斗は苦笑いを返した。


「やめてよ。まだ言われるの慣れてないんだからさ」


「これから就任挨拶か?」


 こくんと裕斗は頷く。


「うん。その後はオルトランデ外の土地開発の管理、違法に製造、流された魔導騎士の調査、僕たちに協力してくれた国々へのお礼……まだまだ予定が詰まってるよ。暴走魔導騎士がいなくなっても、やることはいっぱいあるんだね」


「やはり、あの事件以降暴走した魔導騎士は発見されていないのか?」


 ルイーゼの質問に、裕斗は頷く。


「うん。多分クラウスさんは全国に点在していた魔導騎士を集めたんだ。そして、最期に僕たちを巻き込む形で全員を自爆させた」


「そうか……」


「……それにしても、私たちはともかくあんたはよく無事だったわね」


「自分でも不思議だったよ」


 クラウスの断末魔……というより悪あがきにより、暴走した魔導騎士連鎖的に起爆し、大爆発が引き起った。


 だが、爆風が裕斗たちを焼け焦がす直前、クラウディア、アランが前に出たのが見えた。


 光が収まると、僕たちは無傷だった。

 そして、クラウディアとアランは大破した『ランスロット』の中から消えてなくなっていた。


「気休めでもなんでもなく、彼女たちが守ってくれたんだ」


 最期にクラウディアが向けてくれた微笑み。


 それを脳裏に焼き付け、裕斗は静かに目を閉じた。


『緊急事態、緊急事態。オルトランデ外れの東区にて、魔導騎士によるテロが発生。ライダーは至急向かわれたし』


 突如、通信魔導具から連絡が入った。


「またか……」


 暴走がなくなっても、別の荒事は起こるんだな。


「早く行くぞ」


「置いてくわよ!」


 ルイーゼ、ヴァネッサは走り出し、自らの魔導騎士がある場所へ向かう。


「待ってって」


 ユウトも遅れて走り出し、二人の後をついていく。


 多分……というか絶対、世界は戦いを続けるだろう。


 それでも乗り越えてゆけるはずだ。

 だって僕には、ルイーゼが、ヴァネッサが……騎士団の仲間たちがいるのだから……。

 


最終話まで見てくださった読者の皆様、応援ありがとうございました!

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