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第25話 ノウゼン帝国

「うわあ、すっごい広い!」


裕斗は船の窓から覗く広い街並みに、裕斗は驚きの声を上げた。


「あまりはしゃぐなよ。我々は観光に来たわけじゃないんだからな」


呆れるような声とともにルイーゼが後ろから来た話しかけてきた。


「ああ、そうだね」


苦笑しながら、裕斗はポリポリと後頭部を掻いた。


現在裕斗たちはオルトランデを離れ、ヴァネッサの祖国、ノウゼン帝国に来ている。

理由はもちろん、裕斗たちにが作った戦闘機の作り方をノウゼンに売り、見返りとして分析用の魔導騎士をもらうためだ。



ちなみに、ノウゼンに訪れたのは裕斗以外に団長のユリウス、ルイーゼ、ヴァネッサ、マルセル、アルバート、ハンナの計7名だ。


「それにしても、僕たちライダーが二人も出てきちゃって大丈夫なの?やっぱり一人は残った方がよかったんじゃ……」


「心配せずとも大丈夫だ。現在オルトランデの近くに暴走魔導騎士の姿は確認されていないし、いざ来たとしてもセントウキを使えば被害を抑えられる。……というか、そのためにこれまでセントウキを量産してきたのだろう?」


「まあ、そうだね」


裕斗が頷くと、ルイーゼとは異なる少女の声が彼の耳に届いた。


「……あんた達、こんなところにいたの」


「あ、ヴァネッサ」


「もう少しで停留所につくわ。降下の衝撃に備えた方が身のためよ」


「え、もう?詳しいね」


「私はここの出身よ?知ってて当り前じゃない。……私は帰りたくないなかったけど」


ボソッとヴァネッサは最後の言葉を呟く。


「え?」


「……何でもない。それじゃあ、私は自室に戻ってるわ」


ヴァネッサは最後まで暗い顔のまま踵を返した。


「……ヴァネッサ、どうしたんだろう」


「さあな。だが、ヴァネッサは以前帝国でよく思われていないと言っていた。もしかしたらなにかあったのかもしれん」


「…………」


裕斗は心配げな瞳で去りゆくヴァネッサの後ろ姿を見た。


***


数分後、ヴァネッサの言う通り船は停留所に到着した。停留所はオルトランデに比べ広く、たくさんの船が止まっていた。


裕斗達の船が止まり、裕斗達が船を降りると、一人の帽子を被った小太りの男性が出迎えた。


「案内人のものか」


ユリウスが聞くと、男は柔和な顔を浮かべ頷いた。


「ええ。ユリウス様御一行、お待ちしておりました」


案内人の男は被っていた帽子を外し、裕斗たちに会釈した。その後、顔を上げた案内人はヴァネッサの方を見た。


「……ヴァネッサ様お久しぶりです。元気にしておりましたでしょうか?」


ビクッ、とヴァネッサは肩を震わせる。


「……ええ。この上なくね」


ヴァネッサはそっぽを向き、案内人にそう返す。


「それは何よりです。……では王の元まで案内します。私の後をついてきてください」


案内人は踵を返し、歩き出した。


「ねえ、王様に会うんならこっちも王様来といた方が良かったんじゃないの?」


ヒソヒソと隣にいるルイーゼに話すと、彼女は何を言っているんだといった風に裕斗を見た。


「オルトランデには王はいないぞ」


「え!?そうなの!?」


「ああ、もうとっくの昔に血が絶えてしまったらしい」


「え~、なんか原因があったりするの?」


「私も詳しくは知らないが、王族の間で流行った病で皆息だえてしまったらしい。……だから今はユリウス団長がオルトランデを統括している。あの人は民からの信用も高いからな」


「へ~そうなんだ」


ユリウス団長、自分が思っていたより大物らしい。


「お~い、坊主たち、置いてっちまうぞ~」


マルセルの声に振り返ると、彼らはもう遠くまで行っていた。


「あ、ヤバい!ルイーゼ、早くいかないと!」


「誰のせいでそうなったと思ってるんだ!」


裕斗とルイーゼは慌てながら彼らの後を追い、停留所を後にした。


***


「…………」


ユリウスらに追いついた裕斗は、ノウゼンの街を見回していた。ノウゼンはオルトランデに比べ人が多く、出店などで賑やかだ。だが、その比率は人間が圧倒的に多く、エルフやドワーフといった種族はちらほらとしか存在しなかった。


オルトランデもエルフとドワーフはハンナとアルバート以外に数人しかいなかったが、それは人口自体が少なかったからだと思っていた。


だが、これは……


「エルフとドワーフが少ないね。何でなの?」


それに答えたのはルイーゼではなくアルバートだった。


「そりゃそうさ。なにしろ今じゃエルフとドワーフなんてもう絶滅危惧種だからな」


「絶滅危惧種……?」


「ああ、もともと俺らの種族は人間に比べ寿命が長い影響で子孫なんてそうそう作んねえのに加え、魔獣どものとの大戦でたくさん死んじまったからな」


と、そこでハンナも会話に入ってきた。


「まあ、私らなんてまだいい方だよ。まだ存在はしてるんだから。……けど、残念ながらもう絶滅してしまった種族もいる。たしか、()()だったかな」


「獣人……」


そう言われて頭に思い浮かべたものを裕斗は言った。


「獣人って、犬や猫の耳が頭にあったり、しっぽがあったりする人たちのことですか?」


「大分惜しいね。確かにその特徴を持つ奴もいたんだけど、体の一部に鱗が生えているものや頭に角を持っているもの、半分獣とまで言えるものも総称して獣人と呼んでいたらしい」


それじゃあ俗に言うオークやリザードマンも獣人に分類されるのだろうかと裕斗は考察した。


まあどう考察しようとも、もう絶滅してるのなら確かめようなどないのだが……。


「到着しました。こちらに王はおります」


案内人が足を止める。そこにはオルトランデの騎士団本部とは比べものにならないほど大きな城があった。


「でっか……」


裕斗が息を飲むなか、皆が城の中へと入っていく。


「ああ、ちょっと」


裕斗は慌てながら皆の後をついていった。


***


ギィィ……と軋む音とともに扉が開いた。


城の中もやはり広い。油絵で描かれた絵画や骨董品、シャンデリアなどがあしらわれている、なんとも煌びやかな場所だ。


案内人は「こちらです」と言って階段を登る。裕斗達もそれについていく。階段を登り、長く続く廊下を渡ると、案内人は扉の前で足を止めた。


「王が来られるまでこちらの部屋でお待ちください。……ああ、言うのを忘れておりました。謁見できる者はユリウス様とその付き人二人の計三名までです」


「了解した」


ユリウスは頷くと、裕斗たちの方を振り返った。


「聞いての通り、君たちから二人選抜する。といっても、もう私は決めているがね」


ユリウスは裕斗とヴァネッサを見た。


「ユウト君、ヴァネッサ君、君たちにするよ」


「え?」


「…………!」


裕斗とヴァネッサは驚きに目を見開く。


「僕とヴァネッサ……ですか?」


「うん。理由としてはユウト君はセントウキの開発責任者として、ヴァネッサ君は帝国の関係者として、だね」


「なるほど……」


「決まりましたかな?」


案内人が話しかけてきた。


「ああ、待たせてすまない。大丈夫だ」


「では、他のお客様は別室でお待ちいただくため、私の後をついてきてください」


ユリウスは「ああ」と頷き、ルイーゼたちを見る。


「……ということで、他の者は彼についていってくれ」


「承知しました。……じゃあな、坊主たち、くれぐれも粗相のないようにな」


マルセルはひらひらと手を振り、案内人の後をついていく。その後をアルバートとハンナ、ルイーゼもその後をついていく。しかしルイーゼは裕斗の方を一瞬振り返った。一瞬だけだったが彼女は心配げな顔で裕斗を見ていた。


「…………?」


「ユウト君、入るよ」


ユリウスがかけた言葉に裕斗はハッ、と我に返る。


「あ、はい!」


裕斗は返事を返し、ユリウス、ヴァネッサとともに部屋の中へと入っていった。


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