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第12話 知らん

「で、次はどこに連れて行く気?」


エルザの後ろを歩きながら裕斗は隣を歩くルイーゼに目線を向ける。


「今は私たちの隊へ向かっているところだ。お前の紹介のためにな」


「ふーん」


しばらく歩いた後、エルザはある扉の前で足を止めた。


「ここが我が隊の部屋だ。今後も使うことになるだろうから覚えておけ」


「あ、はい」


「では入るぞ」


ギィ、とドアが開かれた。


「あー!隊長遅いっスよ!」


次の瞬間、ヒョコッと1人の少女が顔を出した。


年はルイーゼに近いくらいで、八重歯の光る元気っ子なイメージがある女の子だ。


入って一番に顔を出した少女に、エルザははぁ、とため息をこぼした。


「ラウラ…その口調は直せと言ったはずだろう」


「えへへ。すんません」


ラウラと呼ばれた八重歯の少女はあまり反省した様子を見せることはなく、後頭部をポリポリとかいた。


「隊長。会議お疲れ様でした」


部屋の奥から銀色の髪をしたクールめな子がエルザに話しかけて来た。ちなみにこの子も女の子だ。


というかこの部屋……つまりこの隊には女の子しかいなかった。


「ねえルイーゼ」


ひそひそと裕斗はルイーゼに話しかける。


「ん?」


「もしかしてこの隊って女の子しかいない?」


「そうだな。この隊で男が入ってくるのはお前が初めてだ」


――え?気まず


一つのグループに男一人。


男なら誰もが憧れるシチュエーションだが、実際にやると気まずいことこの上ない。


特に自分のようなザ・陰キャなら相当だ。


「んんー?」


ヒョコッ、ラウラはエルザの後ろを怪訝な顔でのぞいた。


その目は、十中八九裕斗を見ていた。


ヒュッ、と変な声を出し、裕斗は数歩下がる。


「隊長ぉ。この人誰ッスか?隊長が男の人連れてくるなんて珍しいッスね」


「ああ、この者については後で説明する。それよりもシーラはどうした。見当たらないが……」


「ああ。あの人なら隊長がいないから小用を足しに行ったッス」


「そうか……」


と、そこで部屋のドアが開いた。


「あれ。隊長到着してたんですね」


声とともに入ってきたのは眼鏡をかけた少女……シーラだった。


「ああ。待たせてすまなかった。」


「いえいえ。こちらこそ席を外してしまい申し訳ございません。……て、あれ?あなたは……」


シーラはこちらを驚くように見た。


対して裕斗は「どうも」と挨拶をする。


「アレ?あなた副団長と知り合いなんスか?」


「あ、はい。……え?」


今、とてつもないことを言った気がした。


「え?副隊長って……」


「?シーラさんのことッスけど?」


「えーーーーー!?」


今日一日で(まだ始まったばかりだけど)一番声が出たかも知れない。


「あの?なんでそんな反応をするんですか?」


ハッ、と裕斗がシーラの方を見ると、彼女は少し怒っている表情をしていた。


「い、いや…シーラさんこれは違うんですよ?」


とてもそうは見えなかった。


なんて言えるはずもなく、何を言おうか迷っていると、エルザはゴホン、と一つ咳ばらいをした。


皆、視線がエルザへと集まる。


「皆、雑談はそのくらいにして、まずは私の話を聞いてくれ。……とその前に、誰かアレを起こせ」


クイッと顎を向けた先に、机に突っ伏して眠る少女の姿があった。


「ヒャ、ヒャイ!クリス!ほら、起きてってば!」


隣に座っていた目隠れの少女がクリスと呼んだ眠っている少女を何度も揺する。


よほど揺する力が強かったのか、数秒の揺らしの後少女の目が開いた。


「んん?ここどこ?」


少女の言葉にエルザは呆れつつも声を出した。


「今日は皆に紹介したい者がいる。ユウト、前へ」


「あ、はい」


「皆に紹介しよう。彼の名はサカキバラ・ユウト。

昨日魔導騎士“ランスロット”を駆り……そして本日、我が隊へ入隊するものだ」


「「「………………」」」


少し間を置いて、


「「「ええ――――!?」」」


先ほどの隊長たちよりも驚いた反応が少女たちにも現れた。


「へー、あなたがあの……」


ジロジロと物珍しそうにラウラは裕斗をじっくりと見つめる。


正直、あんまり見ないで欲しい。


「ラウラ。裕斗さんが困ってるでしょ」


ビシッ、とクール少女がラウラに向けてチョップをかます。


意外と痛かったのか、ラウラは頭を抑えて座り込んだ。


「申し訳ございません、自己紹介もせずに…。

私の名前はシルビア・ハーツ、こっちはラウラ・ハーヴェントと言います」


「あ、はあ……ご丁寧にどうも……」


「そんな敬語を使わなくたって大丈夫ッスよ!“ライダー”なんスから!」


チョップから復活したラウラが会話に割って入る。


「……ライダー?」


その疑問に答えたのは割って入ったラウラをどかしたシルビアだった。


「ライダーというのは魔導騎士乗りのことです。一般兵よりも位が高く、作戦の提案や緊急時の自己判断などが可能となります」


「……なるほど」


そういえば、昨日ルイーゼもライダーと呼ばれていたな、と裕斗は思い出した。


「あ!そういえば魔導騎士って今どうなってるの!?」


裕斗はルイーゼに目を向ける。


「“ランスロット”は今私の“トリスタン”とともに格納庫とは別の場所に置かれている。一緒に行ってみるか?」


「行けるの?」


「ああ。今日中には訪れる予定だったからな」


「えー!?もう行くんスか!?」


「もう紹介も終わったし良いだろう」


「もう少しいてもいいでしょー。ルイーゼさんにはユウトさんと交流を深めようという私の気持ちが分かんないんスか!?」


駄々をこねるラウラに、ルイーゼは息を吐き、たった一言口にした。


「知らん」


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