私オネェですが、勇者って冗談ですよね。
そこはまるで底無し沼。あがいても、あがいても決して出ることが出来ない。そんな世界だった…。
人々は呪いに恐れ、自由を奪われ、そして争う事をやめれない世界。希望もなく生きる意味を忘れその瞳は曇った空しか映さない。
青くて鳥が舞う空など何時から見てないだろう彼はそう思った。絶望の沼に沈みそうな己を奮い立たせ幾度死にかけだろう。永遠に終わらぬ闇に恐怖に怒り無力な自分を何度呪ったことだろう。でも彼は諦めなかった。諦められない理由があった。大切なもの家族を故郷を守りたい。だから戦う、傷つき何度打ちのめされてもこの剣を離すことは出来ない。
闇夜にまぎれて迫り来る黒いモンスター達、ガサカザと不気味な音を立て頭から伸びる長い2本の触覚が獲物を追い詰めたと歓喜の舞を舞っているかのように揺れている。
彼は剣をに握りしめた。最後まで戦う決して諦めないと、彼はまだ希望を失っていなかった。あるお方が言われた。もうすぐこの世界に勇者が現れ、全ての現況である魔王を倒すと…。だから今ここでは死ねぬ、自分は勇者と共に魔王を打ち倒す役目をもっている者だから。だからまだ!彼は腹の底から叫んだ。
「まだだ、まだ終われない!クソ野郎どが!」
その時だった彼の目の前に眩し光が現れたのは、傷ついた左腕で目をおおった。モンスター共もあまりの眩しさに後退りしている。
「待って~、行かないでよ」
そう叫びその者は彼の前に倒れ混んだ。眩しかった光はまるで氷か溶けるかのように消えてった。
彼は恐る恐る下を見た人だ、顔面から倒れこみ見たこともない衣をまといブルブルと震えている。思わず
「大丈夫か?」
と思わず声をかけてしまった。
「ひどい!自分より背が高いのが駄目だなんて、愛に身長差なんて関係ないでしょう?」
いや、自分言われても…。
「何で何も言ってくれないのよ‼️」
泣きじゃくりながら不意にその者は顔を上げた。
「…へ?なに?誰?」
完全に固まっている。たがモンスター共はそんな二人を見守ってはくれない。一斉に襲いかかってきた。
彼はなんの迷いもなくその者を担ぎ上げ走った。怪物のような悲鳴を上げて足をバタバタとしている、走りにくいとにかく今は逃げねば。
「おい、大人しくしろ!走れんだろうが!」
「嫌~!殺さないで❗」
「殺しはせぬ、ただ逃げねば奴らに食われるぞ」
「食われる、ギャァァァ!」
やっと我に返ったその者は後ろから迫り来るものが最初は何なのか分からなかった。闇夜に目がなれぼんやりとしたものがハッキリと姿を現す。それはその者にとって信じられない恐怖だった。
2mはあろうか、なんと2本足で迫り来る巨大なGだったのだ。1匹や2匹ではない大量に追ってくる。
「いや!駄目!無理!助けて! 」
「だから大人しくしろ」
この者が何者かよりむしろ腹立たしい。
「ヒイィィィ!ヽヒイィィィ!」
と、何度も叫ぶその時だったその者手から紅蓮の炎が迫り来るモンスター共を炎で包みこんだ。
彼は走るのをやめ振り返った。彼らを追っていたモンスターは1匹残らず炎の海の中でもがいていたのだ。我が目を疑った。これ程の魔法など見たことがなかったからだ。だが炎はモンスターだけではなく森までも焼き付くさんばかりの勢い彼は担いでいたその者を放り投げ右手に魔力を込め解き放った。みるみる一面が氷っていく。一度では駄目だ二度三度と同じ魔法を繰り出しやっと炎はおさまった。
肩で息をし、振り返った。その者は唖然としへたりこんでいたが、ゆっくりと彼を見た。
「豚!が2本足で立ってる」
「豚とは失礼な、我はオークだ」
その返答も聞く間もなくその者は白目を向いて倒れこんだ。
そう、その出会いが運命の出会いだったのだ。