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3話

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白々しく思ってしまう程の華やかさにほんの少しだけ目が眩んだ。


だって、前世の私は普通の庶民だったんだもん!


ついでにこれまた優美に着飾ったご令嬢様方の羨望と嫉妬の眼差しが突き刺さる。


うん、地獄だね。


でも、こうなるのも仕方がない。


この中で、一番着飾っているのは私だから。


最高級の絹で出来たシンプルな黒いドレスは、胸元が大胆に空いている大人びたデザインだ。


長手袋は黒レース、ネックレスとイヤリングは小振りのパール、長い銀髪は高めの位置で一つに纏め、黒薔薇とパールの髪飾りを付けている。


並大抵の令嬢なら間違いなくドレスに着られてしまうが、セリーナは見事にこれを着こなしている。


まあ、私としては胸元が空きすぎてて恥ずかしいんだけどね!


さぁて、私にはまだ仕事があるんだから、さっさと終わらせちゃいますか。


この後私はヒロインのドレスを馬鹿にし、婚約破棄&断罪イベントを開始させなくてはいけない。


適当に会場をうろちょろしていたら、ヒロインはすぐに見つかった。


隅の方で壁の花と化しているヒロインのミリアは、裾や襟に焦げ茶色のアンティークレースを縫い付けたオフホワイトのドレスに身を包んでいた。


クリーム色にも近い淡い柔らかな金糸の髪は編み込みにし、腹部のサッシュと同じ薄茶色のリボンを結んでいる。


良く言えば()()()()()、悪く言えば只の()()()ドレスだ。


しかし、彼女が着ているなら前者の方だろう。


ふんわりとしたラインの可愛らしいドレスは、彼女の薄いブルーの瞳やふっくらした唇、可憐で愛らしい雰囲気と良く似合っている。


流石ヒロインだわっ!


こんな可愛い子を今から虐めないといけないなんて、何だか悲しくなってきた。


それでも私のやることは、変わらないのだけど。


「あら、ミリアさん。御機嫌よう」


俯いてもじもじしているミリアに話しかける。


「……セリーナ様、こんばんわ」

 

ううん、やっぱり声も可愛い。


「貴女、随分と野暮ったいドレスを着ているのね。恥ずかしくないの?」


「古いドレスしか手に入らなくて……。セリーナ様のドレスは素敵ですね」


「あら、そんなことないわよ。貴族ならこれ位当然ではなくて?…まあ、庶民の貴女には分からないことでしょうけど」  


紅を塗った唇の端をちょっと上げて悪役スマイルを浮かべる。


今にも泣きそうな顔になるミリア。


無理もない。皆セリーナ程では無いにしても、華やかなドレスや高価なアクセサリーを身に纏っているのだから。


「此処、貴女には余りにも場違い過ぎない?先に帰って貰っても良いのよ?」

 

自分で呼んどいて何言ってんだこいつ。


初めてゲームをプレイした時、確かにそう思った。


ミリアが一滴の涙を溢したその時。


「そこまでだ」


良く通る声が聞こえた。


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