息抜きでもいかがでしょうか
「……っと、寝て……」
声? 誰だろう……。
「疲れちまったんだろ? お前声はでけぇんだから起こすなよチビ助」
「誰がチビよ!? あたしはもう13歳になりました~!!」
「誕生日が来たら身長も伸びるような人体構造ならよかったのにな」
「なんですって!?」
「お二人ともうるさいです!! 病室ではお静かに!!」
「……あ、あれ? 私、寝ちゃって」
「ほら起きちゃったじゃない! あんたのせいよコゲマッチ!」
「ハイお前降格しま~す。騎士学校の入学願書書いといてくださ~い」
「お・し・ず・か・にッ!!」
寝起きの目をこすりながら賑やかな方を向くと、おっきい人と小さい人が頭を抱えてうずくまっていた。
「あっ、すみません。不躾なのを二人も連れてきてしまって」
「っ風花さん!? ティナさんに、パンチ部隊長まで。私こそすみません。気付かなくて」
そこには私服姿の精鋭騎士が三人も顔を揃えていた。
いつもの凛々しい騎士服姿とは別の緩い格好なのに、まとっている雰囲気だけで気が締まる。
「み、見舞いに来たのよ。風花が一緒に来いってしつこいから」
「あ、あぁ。騒ぎ立てて申し訳ない」
「そんな、きっとジンくんも喜びます。とくに、パンチ部隊長は憧れだ、ってよく言っていましたから」
「そりゃ嬉しいな。起きたら剣の稽古にでも付き合ってやるか」
頭を抑え、引きつった顔で笑って見せた。まさかこうも度々お会いすることになるなんて……。天界で馬鹿にしてたのバレてないよね?
「それよりかぐやちゃん。地界神様が心配なさっていましたよ? 退院してから休みなくずっと付きっ切りらしいじゃないですか」
「私は大丈夫です。今度は、私がジンくんを待っててあげなきゃ」
「相変わらずだな。ジンも隅に置けないねぇ」
「あんたよりは人間出来てるから当然でしょ?」
「こいつ……」
「そのお気持ちは大変素晴らしいですね。ですが、今日は地界神様の命により強制連行させていただきます」
そういうと、私に手を差し伸べてきた。
「えっ? あぁの」
「今週は地界神様の生誕祭でしょ!? だから緊急以外は全て任務休止! 少し息抜きに出かけましょ?」
そっか。今日から7月の初週。天界での生活も挟んでいたからすっかり忘れてた……。
地界の7月初週は、地界神様の誕生日に合わせて、丸々一週間、毎年各地で大規模な生誕祭が開催されている。
この一週間は仕事も学校も休日という事が決まっている。
「そ、そうですけど……、ジンくんのお見舞いはお仕事ってわけじゃ」
「今のかぐやちゃんの疲れ切った顔色見たら、ジンだってきっと心配すると思うぜ」
「……っ」
「あんた、まともにご飯も食べてないでしょ!? そろそろ露店も並ぶ頃だし、はやく行くわよ」
「うし、俺は看護師に伝えてきますんで、風花さんたちは先に向かっちゃってください」
「わかりました。お願いします」
「ほらほら、何食べる? 今日はパンチの奢りなんだから遠慮するんじゃないわよ~」
「皆さん!? あの、私はぁ~!?」
ご覧いただきありがとうございます。
今後ともご贔屓に。
木ノ添 空青




