表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名も無き物語~無能の白銀騎士~  作者: 木ノ添 空青
天界革命編
57/83

ふたりぼっちの凱旋

 ゴドナーに突き付けた剣を逆手に持ち替え。未だ震える手をもう片方の手で固く握った。

 胸の中央に切っ先をそえて、高く振り上げる。

「俺の信念は、俺が死んでも滅びることはない。むしろここが始まりだ。我々と貴様らの長い戦争が、古の時を経て再び始まる。そして思い知るがいい、貴様らが辿る世界の結末をなぁッ!!」

『か、グやヲ、たの、ム、な』

 僕はまだ、ヤマトにいちゃんとの約束を守れていない!!

 だから、これからもずっと……。

「――――ッッ!!!」

 歯を食いしばり、全身の力を振り下ろす刃に込める。

 ゴドナーの眼光が一際大きく見開かれ、剣が固い地面に押し返された。地から伝わる力の反動に両手は痺れ、そよぐ風と共に、鉄臭い砂塵が舞う。

 震える四肢にどうにか力を込め立ち上がると、その靴底に、すがるような血が流れてきた。

 深く突き立てた剣を引き抜き、目を開けて眠った敵の瞼をそっと下ろす。

 胸に手をあて、そっと顔を伏せて呟く。

「……終わったよ、かぐや。やっと本当の自由になったんだよ」

 因縁晴れた代償に、べったりとにじんだ紅の戦果。

 その汚れた拳を握りしめて、僕はこの戦場に涙を手向けた。

 最後にゴドナーが残していった天竜は、腹に大きな剣筋を残して倒れていた。

 傍らにはまだ火の灯った煙草の吸い殻が一つ。

「……ゴイル団長、ありがとうございました」

 戦場では未だに火柱が昇り、爆破音が響いている。

 時折聞こえる甲高い咆哮は、討伐の進捗を物語っていた。

『お疲れ様、宿主さん』

 どこか疲れたような声色に聞こえる。

 あながち間違いでもないようで、明らかに口数は減っている。

「ありがと。オリジンもお疲れ様。だいぶ無理させちゃってごめん」

「本当だよ。無能な宿主さんをフォローするのは楽じゃないね。もっと慎重に宿を選ぶんだったよ」

 言葉に込める棘の数は相変わらずだけど、今は何も言うまい。

「一緒に戦ってくれてありがとう。ゆっくり休んで」

『そのつもりだよ。……まだ地べたすれすれを這い回っただけだったけどさ。いいもんだね、君の言う翼になるって。いつかもっと高い景色を見せてよ。宿主さん』

 柔らかい橙色が染めた風は、どこか暖かい様な気がした。

 夕日が照らす一本道。不格好に足を引きずりながら、ゆっくりと歩いていく。

 僕とオリジン、二人ぼっちの凱旋だ。

 決して憧れを持たれる様な、立派な姿じゃなかったかもしれない。

 オリジンや博士の言う通り、僕はまだ無能な騎士だ。

 でも、もう歩くことをやめたりはしない。

 まだ見えない僕の信念の為、その信念を貫く為、手にかけた命に応える為。

 それに僕は、もう一人じゃない。

 こんなにも真っ白な翼があるんだから。

「これからよろしくね、オリジン」

ご覧いただきありがとうございます。

今後ともご贔屓に。


木ノ添 空青

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ