断罪の光
「虫唾が走る顔をするようになったな。あのクソ眼鏡にそっくりだ……」
「覚悟してください。ここがあなたの断頭台です」
祈りを込めた真っ直ぐな剣を引き抜き、その刃でゴドナーの首を指し示す。
「面白い。ならば再び焼きを入れてやろう。二度と俺の顔を拝めぬようになッ!!」
ゴドナーは白衣の内ポケットからレンガほどの機械を取り出すと、ニヤリと口角をあげたてほくそ笑んだ。
「また爆弾!?」
「本来であれば、地界への侵攻の際に使おうと思っていたのだが……。実戦試験をしてみるのも悪くない」
手に握った装置を起動し自らの足元へ投げ捨てた。それはまばゆい閃光を放つと、地面が黒くひび割れて口を開け始めた。闇から少しずつ浮き上がってきた巨大な影。その先端にゴドナーを乗せ、ついに全貌が見えた。
「これこそが、天界が誇る最高の技術によって作り出した、我が至高の軍事兵器。呼び声に応え次元の門より来たれ。さぁ、仰ぎ見るがいい、この≪天上戦艦・ドレッドノート≫をッ!!」
舞い上がる鋼鉄の戦艦。無数の砲台を乗せた巨大な船が姿を現した。それは冷酷に、静かに、ただその宙に揺れている。
ゴドナーは積んであったらしい長銃を二丁拾い上げ、銃口をこちらに構えた。
「この俺に切っ先を向けたこと、神の審判を待ちながら後悔するがいい。これが天上に君臨する覇者の焔。ゆくぞ!! 遠慮はいらぬ、全てくれてやる。ドレッドノート、全弾放射ァッ!!」
搭載されたすべての砲台と船体から、無数の弾丸が僕めがけて弾き出された。狂うことなく降り注いできた黒い影を、逃げることなく迎え入れる。大気を揺らすほどの爆発、天竜のブレスにも引け劣らぬような衝撃。周囲の地面をえぐり、爆風が瓦礫を吹き飛ばす。
「……おのれ貴様ッ! どういうことだ!?」
掲げた左手から激しく舞い踊る白い稲妻。
確かに怖い、膝が崩れそうだ。でも僕はあの日と違うんだ。伸ばした手を力なく落としたりはしない。
砂塵や煤が付いた頬を右手で拭い、ゴドナーの立つ船首を睨み上げる。
「答えろ!! その力はなんだ!?」
「これですか? これは、貴方の野望を喰い千切った力だ」
「おのれ、くそがぁ!!」
やけを起こして無数にばら撒く銃弾に加え、再び砲撃が飛んでくる。だが、何の感情もない金色の弾丸を、左手に纏った白光がかき消した。
「精霊に媚びへつらう劣等種の分際で、いい気になるなよクソガキ!!」
「オリジン、行くよ!!」
『あいあいさー!!』
横殴りに降り注ぐ鉛玉を、白銀の火花に変えながら一気に距離を詰める。
「はぁぁぁぁぁーーッ!!」
宙に浮いた船底に走り込んで、力任せに振り上げた剣を伝う消滅の光。
「消えろぉ!!」
『コンヴィクションスクリーム!!』
剣に束ねた断罪の光。泣き叫ぶことも許されなかったかぐやの為の一撃。
巨大な光の奔流が空へ駆けあがり、漂う巨船を溶かし、ついにその全てを呑み込み消し去った。再び地上に降りたゴドナーは、苦い顔で後退りながらもまだ立ちはだかる。
ご覧いただきありがとうございます。
今後ともご贔屓に。
木ノ添 空青




