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罪の監獄シリーズ  作者: 渋介
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大人の晩餐 一章

第1章 「子供と理由」

水無月上旬。少しジメジメして蒸し暑い梅雨入り前のある日。

田舎の住宅街の少しひらけた場所にある住宅ではない大きな建物。

その中のある部屋でお坊さんのお経が鳴り響く。

お経といえばおおまかにお葬式か命日のどちらかであろう。

そして今、この部屋に鳴り響いている種類のお経の時は賑やかな親戚の人も暗い表情で涙を拭きながらたまにお坊さんのお経を合唱する。いつもは出さないようないうなればゾンビのような声をだし、何かを失った悲しみに包まれて合唱する。

もうおわかりかもしれないがこのお経はお葬式のものである。

誰のお葬式かと聞かれればこれはレオの祖母のお葬式である。

部屋の前の方の椅子に座っているレオ(15歳)。

何度目かの親族の死を体験した。

しかし、レオはお坊さんのお経には耳を貸さず、一人で暴れまわっていた。

暴れまわっていたといってもあるデカイ怪獣が暴れまわった時のようになにかを壊すわけではなく、お坊さんのお経に飽きて、椅子からわざとすべり落ちたり、座り直したかと思ったら少し大きな声で鼻歌を歌い出したり、しばらく黙ったと思ったらまた椅子から滑り落ち今度は会場中を縦横無尽に走り回っていた。

ここまでくるとなんでもありな気がするが小さな子供ならまだしも15歳の半分大人であるべきのレオがこれだけ暴れまわっていて誰も何もいわないわけがない。

しかし、数年に一回会う程度の親族がビシッと注意するわけでもなく、いわいる陰口のようにコソコソ話していると、ある人物がスッと立ち上がりレオに近づきそんなに大きくない声で少し怒ったように物申した。

「落ち着けないようだったら外に出てろ」

するとレオは少し驚いたような表情をし、静かにてくてく外に出ていった。

ここで外に出たというのは落ち着けないから外に出たわけではなく、その人物が怖いから逃げるために外に出たのだろう。

そのある人物というのはなにを隠そうレオの父親だ。ちょうどいい機会なのでレオの父親のことについて少し話をしよう。レオの父親はとても〝かたい〟人間だ。

かたいといっても筋肉ムキムキでカッチカッチやでの硬いという意味ではなく、頑固などの意味での固いだ。どう固いかというと1番わかりやすい例えは昭和の頑固オヤジといったところだろうか。

頑固オヤジのような父親とはいったがこの父親はレオに対してある観点からして父親とはいいがたい。どう父親とはいいがたいかというと親子なのにあまり会わないのである。あまりというのは年に数回程度だ。これは別に父親が単身赴任というわけでもなく、レオが生まれてからずっとのことだ。ではこれまでレオはずっと誰と暮らしてたかはまた後で話すとしよう。

さて、気づけばお葬式は終わり、一行は火葬場に向かうため外に出た。

外には約1時間ほど待たされたレオがいる、、、はずだが外に締め出されたはずのレオがいない。どこを見渡してもいない。

一部の人はレオがいないということに気づかなかったがレオを締め出した張本人であるレオの父親が気づかないはずがない。

そしてレオがいないことに気づいた人たちが少し騒ぎ出した。

レオの父親は息子がいないことに対して慌てふためくわけでもなく少し呆れた口調で

「レオはどこ行った。」

とまた少し怒ったような声で言った。しかし冷静だった。

レオの父親はともかくレオがいないことに気づいた人たちは慌てるようにレオを探し出した。

だが、葬儀場の周りの少しひらけた場所にはどこを探してもいなかった。これは一大事だ。もしかしたら、待つのが限界でふらっと外に出たのかもしれない。

彼の性格だ。

道端に落ちてるものを拾おうとして車にひかれるかもしれない。

もしかしたら、怪しい知らない人についていってしまったのかもしれない。一刻も早く彼を見つけなければ!と一行はさらに慌てだし、捜索範囲を拡大させようとした。

葬儀場の敷地を出ようとすると水をさすようにある人が

「彼は、宇宙人にさらわれたか、神隠しにあったんだよ!。」

と叫んだ。急にこんなことを言われても、可能性としてはなくはなかったがそこにいた大人たちはその言葉を鼻でクスッと笑った。

ある人というのはレオと同世代くらいの子供だ。身長はレオより少し小さいくらいで片目を前髪で隠してる。するとその子供が、鼻で笑った大人に対して、

「私のことを信じれないなら、君たちもレオと同様私の手でいなくなることになるだろう」

と。

なんということだろう。

宇宙人や神隠しにあったという仮説を自分が消したといわんばかりの言葉で否定した。

しかし大人たちはその子供を無視してレオを探し続けた。なぜ無視したかというと子供はいわいる中二病だった。

中二病を知っている人ならわかるが、名前の通り思春期になる病気だ。

病といっても大抵は病院に行くほどのものではない。簡単にいうと妄想が膨らみすぎて、おかしな行動をとることを中二病という。そして、大人たちはその子供が中二病ということを知っていた。

一部の人はさっきの子供の言葉で中二病と察した人も何人かいるようだ。そんな子供の突飛抜けた言葉など誰も信じない。これがもし、オカルト系の研究をしている頭のいい優等生がいったのなら話は別だが、その子供ははっきり言ってバカである。学校では愛すべきバカというあだ名がつけられてるくらいバカである。そんな子供の説明はここまでにしておいて、レオを探し始めてから数分経った。まだレオは見つからない。そろそろまずい、車で探しに行こうと言っていた矢先にどこからか

「何を探してるの?」

という声が聞こえてきた。

随分聞き慣れた声だ。

どっかでこの声の歌声を聞いたことがあるような。

探してた人たちがその声に反応して振り返ると、そこにはレオがいた。

行方不明になり、宇宙人にさらわれたとか神隠しにあったとまで言われていたレオがひょこんとそこにはいたのだ。

レオは続けざまに、近くの親戚に

「ねぇねぇ、何を探しているの?」

と聞いた。

するとレオの父親が黙ってレオの方へ足速に近づきジッと睨むと右手を振りかざしレオの頬を叩いた。

「お前は一体どれだけの人に迷惑をかけるんだ。」

レオの頬が赤くなり、レオは叩かれた方の頬を人差し指と中指と薬指でやさしくなぞるように、なで、驚いたというか、少し涙目になった。

普通の人はこの行為を愛のムチというのだろう。しかしこの場合は違う。

レオの父親はそのあとレオと会話することなく、親戚の人たちにお礼と謝罪をし、火葬場に向かうために車に乗り込んだ。

レオの父親は長男だったため棺がのった車に乗りこむ。一方レオはレオの父親の弟の車に乗った。この車のドライバーはこの車の持ち主。つまりレオの父親の弟だ。ドライバーの他に親戚二人ともちろんレオが乗っていた。この車のドライバーは運転が少し荒っかった。荒いといっても怪盗三世のカーチェイスほど荒いというわけではなく本当に少しだった。

免許を取って何十年もたったら慣れができてしまい運転が荒くなるのは珍しいものではないといえる。その慣れたドライバーが運転する車は法定速度で少し急ぐように火葬場へ向かった。その車の中でレオは失踪の理由を問い詰められた。

問い詰められたというときこえが悪いが尋問よりかはマシだろう。レオは数分もの間誰にも見つかることなくどこへいたのか。親戚は不思議で仕方がなかった。あれだけ周辺を探し回ったのに見つからなかったにも関わらずひょこんと現れて不思議に思わないはずがない。

すると窓の外を見ながらレオは淡泊な、というか少し拗ねた口調で

「トイレに行ってた」

と答えた。そう、レオがいなくなったと勝手に騒ぎ立てていたのは周りの方である。勘違いもいいところだ。そのせいでレオは平手打ちを食らったのだからたまったものじゃない。何も理由を知らないで行う愛のムチは愛のムチと言えるだろうか?それはただ単に暴力をふるってるだけではないだろうか。しかも暴力を受けたレオは、事の本末を話すこともできず、ただ他の人に迷惑をかけただけのいわいる厄介者として認識されてしまったのだから、不満が抑えきれないだろう。偏見は誰でも、いつになってもなくならないものだが、偏見を偏見のままで終わらせないようにする。

聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥ということわざがあるように聞かないよりは聞いた方がよいという場合が多いのである。

事の顛末を聞いてそれを知るということが大切なことだろう。

でなければ、一生の恥ではなく、一生の後悔となってしまう。

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