校舎への道
校舎に向けて歩く彼ら3人は、まあまあ目立つ。何せ、一人は学年1のイケメンスナイパーで、一人は学年で1番年下で学年1番背が低い剣士で、もう一人は背が高くて体と同じくらい大きな剣を持っている、というようなちぐはぐな3人だ。
周りでは他の生徒がこそこそ話しているのが聞こえる。
「きゃー!やっぱり奈留也様はかっこいいわねー!」
「ほんと、目の薬よ!」
「やっぱ亜夜歌ちゃん可愛いねー!」
「いーなー、妹にしたいNO.1でしょ」
と、それを見て、このりが変に羨んで
「すごい人気だな、2人とも」
といってくるものだから、思わずムッとして言い返す。
「いやですよ、別に可愛くないですし、可愛くなりたくもないですから」
「ふん、そうやって謙遜するから、また好感度上がっちゃうくせにー」
と、特にキャーキャー叫ばれている奈留也がのんきに言う。
「まあ、いいんじゃないの?妹にしたいって言われるなら」
あんな弱い奴の妹になんか、なってたまるか!、と言いそうになって押しとどめる。こんなところで暴言吐いたら、後で先生に何を言われるか知ったものじゃない。だからその代わりに
「もう私は妹ですーっ!」
ベー、と舌を出して誰にも言っていなかった事実を口にすると、2人は驚いて私の方へ振り向いた。
「「え?!そうなの?!」」
息ぴったりな2人に、
「お兄ちゃんいますからね」
と告げると、ぽかんと口を開けて、目を見開いて固まってしまった。
「え、もしかして光学園卒だったりするの?」
「何科だ?」
「情報科卒です。本名隠してるから分からないと思いますけど」
今は光学園の大学2年で、高校生時代からたくさんの事件を解決してきた亜夜の兄。『和樹』という名前から転じて『数』、英語にして『number』という名前で活動するハッカー。功績を認められて、警察や軍から何度も勧誘を受けてきたが全て断り、家で仕事をする。光学園高等部の情報科卒で、大学生ながら誰にも解決できないと言われた高度な悪質AIプログラムを解体する仕事を頼まれる、つまり、最後の砦として裏で活躍する『number』は、亜夜歌の憧れで、目標だ。彼とは違い、亜夜歌は剣術科だが、兄のように頼られ、世の中のための仕事をできるようになれたらいいと思っている。
ライトハッカーというのは、光学園の情報科を卒業した、政府公認のハッカーのこと。「光」卒のハッカーなので、ライトハッカー。
実は、この大きな剣を持った人は、情報科の生徒なのだ。まだ高校生だが、ハッカーとしての名前は『もっちー』だ。抜き打ちテストでは科は関係なしで、誰でも抽選で当たる可能性があるため、護身用の武器をいつも持ち歩いているそうだが剣の腕は不明。しかし剣術には関係ない科の生徒がこのような大きな剣を持つことは珍しい。毎年30人までしか生徒を取らないという最難関の情報科に受かる生徒というのは、天才か引きこもり、あるいはそのどちらもで、このりも例外ではない。情報科のみ認められる体力測定免除のせいで運動をしていないため、細く、ほとんど筋肉のないように見える腕にあの大きな剣が振れるというのがよくわからない不思議なところ。たいていの場合は扱いやすい拳銃や、奈留也のようにコンバットナイフを持つことが多いのだが。
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